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すぅっ
皆が吸うぴったり揃った息と共に
トランペットの華やかなファンファーレがホールに響き渡る
この日のためにたくさん練習してきた
だからきっと大丈夫
遡ること1年前
ちな
私達1年生は目を輝かせながら
先輩達が素晴らしい演奏をするカッコイイ姿を見ていた
なずな
なずな
るあ
れな
私達は中学校に入学してから仲良しの4人
軽い気持ちで入った吹奏楽部
れなはクラリネットで
なずなはトランペット
るあはフルート
そして私はアルトサックスをやっている
なずな
ちな
なずな
なずな
そう。1年生は入部してからは楽器になれることしかしてなくて
先輩達がコンクール曲の練習をしている間は
簡単な曲や基礎練習ばっかりをしている
夏休みの練習は、私達1年生が週4なのに対し、
先輩達は週6と、結構ハードなスケジュールで練習していた
れな
るあ
るあ
1年生の時のコンクールは、当日のパーカッションの運搬を手伝っただけで
特になにもしていない
そんな私達だったのだが
あっという間に1年が過ぎ
ついにこの日を迎えたのだ
ちな
ちな
るあ
なずな
れな
ちな
このたった一瞬のために
私達は過酷な練習を積み重ねてきた
何度も泣いたし
悔しい思いもたくさんした
唇が真っ二つに裂けて血がだらだら出たとしても
歯を食いしばって練習した
りほ先輩
りほ先輩
りほ先輩
りほ先輩
りほ先輩
ちな
同じアルトサックスだった
凄く厳しかったりほ先輩の言葉が
今となっては凄くありがたく感じる
りほ先輩と一緒にコンクール出たかった…
どうして…
なずな
ちな
れな
れな
りほ先輩はコンクールのちょうど一ヶ月前
病気で亡くなった
あとから聞いた話だが
りほ先輩はずっと病気で、本当は楽器なんて吹ける状態ではなかったそうだ
でも
「ちなちゃんに後悔をさせたくない」
そう言って、毎日無理をして部活に来ていたそうだ
亡くなる直前には
「コンクール、皆と一緒に出たかったな…ちなちゃんと一緒に吹きたかったな…」
そう言って息を引き取ったと
りほ先輩のお母様から聞いた
りほ先輩が吹くはずだったソロは私が吹くことになった
私なんかがりほ先輩の代わりを吹いて良いのだろうか…
りほ先輩
りほ先輩
ちな
なずな
ちな
一瞬、りほ先輩の声が聞こえた気がした
私は頑張らなければならない
そうだ。結果にこだわらなくたって
皆で心を1つにして1つのことを成し遂げる
それが本当に大切な事なんだ!
私はりほ先輩、他のパートの先輩達、新しく入ってきた後輩、同じ学年の仲間達、顧問の先生、部活に毎日送り出してくれる両親…
たくさんの人に支えられてきた
本当に大切な事は
ちな
1人じゃここまで来れなかった
るあ
るあ
れな
なずな
ちな
どこかでりほ先輩が私の事を見ている気がした
ちな
また涙が出てきそうになった
だけど
ちな
ちな
いつか、胸を張って
天国にいる先輩に
私の気持ちを音として伝えられるように
ちな
私は新たな一歩を踏み出した
❤1000来たら次はホラー出します!