先生
転校生が来るらしいよ
その朝のHRで、担任の先生が何気なく言った一言が、学園のバランスを大きく変える事になるなんて、誰も予想してなかった
先生
…入ってこい
先生に促されて教室のドアが開くと、ふわりと風が吹いたような気がした
静まり返る教室に、一歩ずつ入ってきたのは
◯◯
◯◯です。よろしくお願いします
柔らかく微笑んだその瞬間、空気がぱっと明るくなった
男子はざわつき、女子はその愛らしさに思わず見惚れる
女子
◯◯ちゃん…可愛すぎん?
男子
やば…天使やん
そんな中、教室の1番後ろの席で肘をついていた目黒が、すっと立ち上がる
目黒
先生、その子の隣の席、空いてますよね?
先生
え、目黒急にどうした?
目黒
俺、◯◯ちゃんの隣がいいんで
ラウール
おいおい、先手すぎるって
思わず立ち上がったのはラウール
ラウール
隣は先に俺が座ろうと思ってたんだけど?
佐久間
ラウール、勝手な事言うなよ。◯◯ちゃんが困ってるだろ
と、今度は佐久間が飛び出す
ラウール
いやいや、◯◯ちゃんのことは、俺が真っ先に案内したいって思ってたし!
◯◯
ちょ、ちょっと落ち着いてよみんな…!
あたふたする◯◯をよそに、教室の男子たちはどんどんヒートアップ
渡辺はクールに
渡辺
俺の横も空いてるけど?
と、さりげなくアピールしてくるし
向井は
向井
◯◯ちゃん、笑ってる方がもっと可愛いで!
と冗談を飛ばす
その様子に深澤は
深澤
お前ら、学校来てからそんなテンション初めてじゃん
と苦笑いし
阿部は
阿部
あの、◯◯ちゃんもしよければ校内の案内は俺が…
と丁寧に話しかける
岩本は最後まで静かに様子を見ていたが、ふっと笑って一言。
岩本
…俺も気になるな、◯◯ちゃん
教室中がどよめく中、◯◯ちゃんはぽつりと呟いた
◯◯
えっと…まずは、教室に入っていいですか?
全員
あっ……はいっっ!!
こうして、学園一の騒がしさと優しさが詰まった取り合いの日々が、始まった







