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元々俺は、未熟な神の見習いだった
周りの奴らに下に見られて、馬鹿にされる毎日
父さん達ですら俺のことは見放していた
ただ、そんな俺にも夢があった
「人間になりたい」
ただそれだけだった
もしも、俺が神なんかじゃなく
普通の人間の子供として生まれていたら…
そんな叶うはずもない幻想を抱きながら
また俺は馬鹿にされながらただひたすらに鍛錬をする
いつかあいつらを見返すくらい強くなるために
でも、こんな俺にも親友と呼べる奴がいた___
――天界――
クレジア
エル
クレジア
こいつ、エル・ディアブロ
ただこいつは神でも天使でもない
こいつの種族は「悪魔」
天界とは真反対の「魔界」というところにいる
何故そんな奴が天界にいるかというと…
創造神
魔王
クレジア
エル
俺の父さんである創造神とエルの父親の魔王様は仲が良かった
それも相まってか、エルが一人で天界に来ても誰も何も言わなかった
俺はそれがとにかく嬉しかった
いつでもエルに会えるのだから
レイラ
エル
妹のレイラもエルとは仲が良かった
エルは俺の夢を聞いても真剣に聞いてくれた
だから、エルとはずっと一緒にいるつもりだった
でも、そんな日々も長くは続かなかった__
クレジア
創造神
クレジア
魔界から帰って来た時、俺の目には悲惨な光景が飛び込んできた
あちこちから怒号や悲鳴とも言えない声が飛び交って
地面には大量の死体が転がっていた
宙を舞っているのが、火の粉なのか血しぶきなのかも分からないほどに…
俺の目に飛び込んできたその光景は、どす黒い赤色に染まっていた…
鼻を突く強烈な死体が焼ける臭いに、血液の臭い…
俺は思わずその場に立ち尽くしていた
そんな時に、どこからか巨大な槍が飛んできた
俺は驚きでその場から動くことができなかった__
グサッ
クレジア
クレジア
だけど、俺の目に映ったのは__
エル
クレジア
体に槍が刺さって血を吐くエルの姿だった
見ただけでわかる、エルは俺を庇って刺された
エル
クレジア
神には寿命がない
でも、天使や悪魔には寿命がある
だから神は死ななくても悪魔や天使は死ぬ
簡単に言えば不死身か不死身じゃないか
エル
エル
クレジア
エルは悪魔で俺は神
エルも俺を庇えば自分が死ぬことは分かっていたのに…
エル
クレジア
俺はただ、エルの問いかけに答えるしかできなかった
目の前に自分を庇って血を吐いている親友がいるというのに…
俺はただ恐怖で動けなかった
エル
エル
エルは槍が深くまで刺さっていて
今にも叫びたいはずなのに…
最期までずっと笑っていた‥
クレジア
エル
エル
エルはそう笑いながらまた血を吐く
エル
エル
クレジア
エル
エル
エル
クレジア
エルにそんなことを言われたが…
「俺はエルみたいにはなれない」
クレジア
エル
でも、離れる前にこれだけは言いたかった
クレジア
エル
クレジア
エル
エル
そうしてエルは、静かに目を閉じた
クレジア
クレジア
エルの前では必死に笑顔を作ったが
そのあとは、ただエルの亡骸を抱いて泣き叫んでいた
その時は、いろんなことが頭を渦巻いた
「どうしてエルが死なないといけなかったのか」
「俺が代わりに消えればよかったのか」
そんなことばかりが頭をぐるぐると螺旋状に渦巻いて‥‥
俺の手はいつの間にかエルの血液で濡れていた
父さんや魔王様が来ても、俺はエルを抱きしめ続けていた
あれから数千年が経った
でも、いつまで経ってもあの日を忘れることなんかできなくて
あの時の光景が今でもたまにフラッシュバックして
結局俺は、あの頃から何も変われない
何も変わらない、未熟な神のまま
何千年、何万年と経っても
あの頃の光景やエルのことは忘れることなんてできない
俺が忘れたら、エルが生きていた証が消えるような気がして…
エルは俺の中で永遠に生き続ける
そう思い続ければ、いつか本当にエルにもう一度会える気がして
でも、"あの夢"も忘れたわけじゃない
でも、もう一つ
俺の中に夢が追加された
「エルともう一度親友になる」
それが叶う日を夢見て…
俺は今日も生き続ける
エルと一緒に‥‥