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カナエ

…おい羽でてる(小声)

葛葉

もうっ…っく…ムズムズする…、

カナエ

我慢しろ。

葛葉

っは、人間の貴様にはこの気持ちはわからないかぁ

カナエ

そんな事分からなくていいし

カナエ

あと、勝手についてきたのそっちだよね?

葛葉

…まぁね?てかもぉ〜、もっと羽とか出してぇよ

カナエ

出したら死ぬぞ。

葛葉

怖っ

カナエ

これは誇張じゃない。

カナエ

ここに住んでる者は皆キリスト教徒だし、吸血鬼なんて目の敵にしてる。

カナエ

この意味がわかるか?

葛葉

っはぁ〜…ここじゃなくて別んとこにすりゃよかったかなぁ

カナエ

は、吸血鬼が好きな國など何処に?

葛葉

…確かに。

あっという間に時は過ぎ、結局7年経った。

冗談を言い合ったり、一緒に外に出たりする仲になった。

なんだかんだ、一緒にいる時間が増えていった。

…叶との時間を感じさせる…、

…ずはっ!

葛葉

叶…?

葛葉っ!綺麗だね、ここっ!

葛葉

何で…ここに

とても綺麗だった。

何言ってんの、ずっと一緒にいるじゃん!

鮮やかで、きらきらと輝いて、眩しくて…

儚くて_

葛葉

あぁ…、そっか、そうだったよな

?…何泣いてんの?

葛葉

…いや_

葛葉

何でもない。

目の前が…明るい…、

葛葉

かな…え…、

カナエ

…い、お〜い

カナエ

…ここが何処だか、分かってる?

カナエ

吸血鬼。…ふふっ、なんて…、

葛葉

…っ

葛葉

カナエ…、やっぱお前は叶じゃないのか

カナエ

…、また“叶”、

カナエ

…僕は“叶”なんて知らない_

葛葉

なんて…、叶なんて…か。

葛葉

それでも叶は…叶しかいねぇんだよ

葛葉

カナエ…、っ!、

一瞬、カナエが叶と重なって視えた。

葛葉

………っごめん。忘れてくれ。

カナエ

…葛葉。

葛葉

カナエ、

葛葉。

カナエは俺を引き寄せて、とても優しいハグをした。

カナエ

…ごめん。

葛葉

…!カナエ、おま、

カナエ

どんな人で、どんな事があったのかは分からない。けど…

カナエ

…葛葉にとって、“叶”がどんな存在だったかは分かる。

カナエ

…大切な人なんでしょ?

葛葉

…!

カナエ

そんな人を悪く言って…ごめんね。

葛葉

…いいや、俺もごめん。カナエに八つ当たりしたし…、

葛葉

ただでさえ吸血鬼なのに…天罰降るどころじゃねぇわ、ははっ

カナエ

…葛葉…、ふふっ

カナエ

天罰なんて…いまさら遅いよ

カナエ

でも天罰が降る時は、一緒に_

墜ちよう

ある日、聖書を読んだ。

葛葉と出会った日以降全く読んでいなかった聖書。

少し埃を被り、曲がっていた。

カナエ

…、

カナエ

どうして…、

僕は、聖書が読めなくなった。

何年も読み続けた聖書も、禁忌に触れた僕には読めかったんだ。

勿論、葛葉と一緒にいて、後悔はしない。

カナエ

だけど…、

カナエ

この十字架は…

今の僕には少し重い。

ガシャ

僕は十字架を壊し、結った髪を解いた。

カナエ

……僕は……

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