この日は蒸し暑かった
いやきっとこの会議室が蒸し暑かった
プロジェクトの中間報告が終わり
全員がほっとしたように席を立ち始める
上手くできた…大丈夫
二口
○○
○○
○○
二口
二口
と二口さんはぶっきらぼうに言った
○○
私はそれに笑った
二口
二口
二口
○○
二口
二口
○○は悩んだ
これは上司との関係で
行くべき…?
それとも
二口
二口
○○
二口
二口
そう言って二口は口角をあげた
一瞬の戸惑い
でもこれは…ただのご飯
自分にそう言い聞かせ
小さく頷いた
着いたのは仕事が終わった6時過ぎ
私たちは繁華街の落ち着いたビストロに入った
思ったよりも小さくて
暖かい照明の店内
席に着いた瞬間
○○は直感的に気がついた
○○
いる。
隅のカウンター席
メニューに目を落としながらも
明らかに“私を見ている”ふたり
なんであそこに2人が…
一瞬だけ視線がぶつかる
アイは気まずそうに視線を逸らし
ジェイはあえて動じないままワインを飲んだ
二口
二口
○○
テーブルに置かれたメニューに
プリンが見えた○○は
表情が和らいだ
二口
二口
○○
○○
○○
二口
二口さんとのご飯は
思ってる以上に
何も無かった
いや…期待してるとかじゃないんだけど
○○
○○
私はお酒の勢いで聞いた
○○
○○
二口は少し驚いたように○○を見た
二口
○○
○○
○○
二口
二口
○○
○○
二口
○○は少しムッとした顔を見せた
○○
○○
二口
二口
二口
好きな人に…好かれれば
○○
二口
○○
○○
二口
○○
○○はグラスを傾け
少しだけ自分の話をした
○○
○○
二口
二口
二口
二口さんは冗談めかして言った
○○
その時スマホのバイブが鳴った
J┊︎自分のこと話しすぎんな
とだけ
二口
○○
○○
二口
私たちはそのままお店を後にした
“1番”好きなプリンを食べずに
駅の近くにつき
私は足を止めた
二口
○○
二口
二口
○○
○○
二口
二口
二口
○○
私は手を振り二口さんを見送った
○○
○○
○○
背後から近づく足音
駅の柱の影から
歩いてくるジェイとアイ
○○
ジェイ
エルは呆れて鼻で笑う
○○
○○
エルの視線はジェイではなくアイを捉える
アイは一瞬目を逸らし
唇を噛む
アイ
アイ
アイ
アイ
アイ
アイは少し俯いてそういった
エルは表情をひとつも変えず
そのままアイを見つめた
ジェイ
○○
エルがそのまま歩き始めようとした時
ジェイ
ピタリと足を止めた
○○
○○
○○
○○
○○
○○
ジェイ
ジェイ
○○
○○
ジェイ
○○
エルはジェイに近づいた
そして首に手を置いてから
○○
○○
○○
ジェイ
○○
ピリと空気が張りつめる
手を離すとジェイは深く息を着いた
ジェイ
ジェイ
ジェイ
ジェイ
○○
○○
言い終えると
踵を返し駅のホームへ歩いていった
やっぱり
口での説得じゃ無理か
取り残されたジェイとアイは目を伏せた
アイ
アイ
ジェイ
ジェイ
ジェイ
ジェイ
アイ
ジェイはポケットからスマホを取りだした
ジェイ
画面にはXからの未読通知が点滅していた
東京の夜
マンションの小さな部屋に
冷蔵庫のモーター音だけが響く
○○はスーツを脱ぎ捨て
そのまま床に座り込んでいた
机の上には定期便のプリンとスマホ
その横にはノートPCと資料の束
プリンの容器をつまみながら
スマホに目を落とす
J┊︎エル、大事になる前に帰ってこい
J┊︎頼む
○○
分かってる
この人生は自分のものじゃなくて
人工的に作られた“偽り”の人生だってこと
エルとしてじゃなく
○○として生きることって
こんなに呼吸がしずらいの?
スプーンを置いた手は
無意識に震えていた
コメント
3件
角名の物語をみてからきんにくまんさんの物語ぜんぶみました!最高すぎます!これからも応援してます!
きんにくまんさんのストーリーってどれも下がるところがあってめっちゃ好きです、、、!!続き楽しみにしてます!!