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時刻は午後8時過ぎ。
ジーナはホテルから出てくるモリー・シェパードの姿を確認した。
ジーナ
モリーは最初、自分が呼ばれているとは思わず怪訝そうに周囲を見回したが、
目の前に停まっている車の運転席から1人の女性がこちらを見つめているのに気付いた。
モリー
ジーナ
ジーナ
モリーは考え込むようにしばし下を向いたが、やがて「あっ」と声を上げた。
モリー
モリー
ジーナ
モリー
ジーナ
ジーナ
モリー
モリー
モリー
ジーナ
ジーナ
ジーナ
ジーナは事前に調べておいたモリーの自宅住所を振り返りながら言った。
ジーナの厚意の裏に隠された秘密に気付くこともなく、モリーは助手席に乗り込んだ。
車を発進させてから、ジーナはマックスと打ち合わせた計画を脳裏で再確認した。
ジーナは心の動揺を落ち着かせる為、運転しながらモリーと世間話をするつもりだった。
が、旧友の再会を喜んだモリーから口を開いてくれた
モリー
モリー
ジーナ
モリー
モリー
ジーナ
思わず声がうわずってしまった。
アリスが事件の容疑者として警察に勾留されている事実は報道されていない。
モリーが何気なしに尋ねた質問と知りつつもジーナはドキッとしてしまった。
モリー
ジーナ
モリー
ジーナ
ジーナ
ジーナは助手席のモリーを一瞥した。
最後の標的となるモリーを殺める時間が刻々と過ぎているのだが、
当然ながらモリーは身の危険が迫っているとは想像もしていなかった。
モリー
モリー
モリー
ジーナ
ジーナは鸚鵡返しした。
モリー
ジーナ
モリー
モリー
モリー
モリー
モリー
ジーナ
ジーナはそう言ってやりたくなる衝動を抑えるようにハンドルを握る手に力を入れた。
マックスによると、モリーもエレノア殺害に加担しているはずである。
わずかな疑問は抱いているものの、今のジーナには淡々と犯人像を語るモリーが、
エレノアを追い詰めた自分への擁護にひたすら徹底しているようにしか見えなかった。
ジーナ
突然、ジーナは男が現れて慌ててブレーキを踏んだ。
男は、タクシーを停めるかのように手を伸ばしながら車の横に立っていた。
ジーナ
ジーナ
突如現れたロス市警の刑事、ヴィクター・ラングは不慣れな作り笑いを浮かべていた。
モリーがビックリしてジーナを見、歩道の男に目を向けた。
モリー
ジーナ
ジーナは運転席側のウィンドウを開けた。
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ジーナ
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクターは助手席のモリーを覗き込むように体を曲げた。
モリー
ヴィクター
ヴィクター
モリー
モリー
ヴィクター
ヴィクターはまたも慣れない笑みを浮かべた。
モリー
ヴィクター
モリー
モリー
ジーナ
ヴィクター
モリー
ジーナがなにか言おうとする前に、ヴィクターは後部座席に乗り込んだ。
モリーとヴィクターが改めて自己紹介をする中、ジーナはただ1人戸惑っていた。
ジーナ
どうすればいいか考えながら、ジーナはアクセルを踏んだ。
ホテルからモリーの自宅までは約30分の距離がある。
ヴィクターを乗せたのはホテルからわずか10分が経過した頃だった。
ジーナ
と、ジーナが思った瞬間、いきなりヴィクターが声を上げた。
ヴィクター
ジーナ
モリー
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクターは直進から外れた右側のルートを指差した。
モリーは賛同したが、ジーナは渋った。
ただでさえ刑事が乗っていて困っているのに、その上ルートの変更とは…。
ジーナ
そう確信したジーナは、観念したように黙って右折した。
ジーナの運転する車は約40分かけて、モリーの自宅前に着いた。
モリーは2人に手を振り、家に入った。
ジーナ
ヴィクター
ジーナ
ヴィクター
ジーナはドキッとした。
マックスはヴィクター・ラング刑事を頭の切れる男だと言っていたが、まさか…。
ヴィクターは車を降り、後部座席から助手席に移動した。
ジーナは車を発進させ、少し進んだところで右折した。
これもヴィクターの指示だ。
車はさっきまで通っていた道の、今度は対向車線を走り続けた。
やがて、ヴィクターが右折の指示を出したあの道に戻った。
ヴィクター
ジーナ
少しの間があってから、ジーナはアクセルを踏み込んだ。
既に時刻は9時前である。
冷たい冬の風とジーナの車のエンジン音だけが聞こえるだけの静寂。
ジーナ
車内の沈黙に耐え兼ねてジーナが口を開いた。
ヴィクター
ヴィクター
ジーナ
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
突然、ジーナは路肩に車を停めた。
ジーナ
ヴィクター
ジーナ
ヴィクター
ジーナ
ジーナ
ジーナ
ジーナ
ヴィクター
ジーナはゆっくり頷いた。
ヴィクター
ジーナ
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ジーナ
ヴィクター
ヴィクター
ジーナ
ジーナ
ジーナ
ジーナ
ジーナ
ジーナは嗚咽を漏らすと、やがてハンドルに顔を当てて泣き出した。
ヴィクターはジーナが泣き止むのを待った。
ヴィクター
ふと、車内が明るくなった。
対向車線を向かいから走ってくる大型のトラックのライトに照らされたのだ。
それが、どんどん車線を越え、ジーナたちの乗る車へと迫っていた。
ヴィクター
ヴィクターは慌てて体を丸めていたジーナの上に覆い被さった。
夜の闇に響く鈍い金属同士がぶつかる音。
トラックが右前の正面に激突し、車は歩道に乗り上げ、建物に衝突した。
衝撃で、ヴィクターは気を失った。
2020.01.26 作