テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
今日は禿たちみんなで集まってのお稽古だった。
部屋の真ん中に琴と三味線が置かれて順番に触っていく。
るなは端の方に座りながら思っていた。
どちらも嫌いじゃない。むしろ指が自然に動く。
でももっと弾ける曲を増やしておきたかった。
まだ足りない気がして。
禿の女の子
そう言われて少しだけ息を整える。
禿のみんなの前で弾くのはこれが初めてだった。
琴に指を置いてさっきまで花魁が弾いていた曲をひとつ。
音が部屋に広がる。
途中で止まることもなく迷うこともなく最後まで弾ききった。
終わったあとしばらく誰も喋らなかった。
ざわっと小さな音だけが動く。
月
るなは少し不安になる。
間違えたかな。変だったかな。
そう思ったとき。
禿の女の子
ぽつりと声が上がった。
振り向くと同じ禿の子が目を輝かせてこっちを見ている。
禿の女の子
禿の女の子
驚いたような素直な声。
るなは少し困ってしまう。
月
月
そう答えると周りからも小さな声が重なる。
禿の女の子
禿の女の子
胸の奥が少しあたたかくなる。
弾けたことよりもちゃんと伝わったことが嬉しかった。
るなはそっと琴から手を離した。
まだ禿だけどここでできることはちゃんとある。
そう思えたお稽古の時間だった。