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お稽古は静かに続いていた。
誰かが弾いて誰かが聞いてまた次の子へ。
そんな中廊下の方が少しだけざわついた。
障子が開いて女将と花魁が顔を出す。
空気がすっと変わった。
るなは指を止める。
そのまま最後の音が消えるまで部屋は静かだった。
堕姫
花魁がふっと微笑む。
堕姫
月
その言葉にるなは思わず背筋を伸ばした。
堕姫
女将も静かに頷いている。
月
少し間があってから女将が口を開く。
女将
声はいつもと同じ落ち着いた調子。
女将
部屋の空気がまた変わる。
禿のまま芸を見せる。特別なことだとすぐに分かった。
胸がきゅっとする。緊張はある。
でも不思議と怖くはなかった。
やってみたい、そう思った。
月
女将はその返事を聞いて満足そうに目を細めた。
花魁も何も言わずに頷く。
るなは自分の膝の上でそっと手を握った。
今日はいつもと少し違う日になる。
そんな予感がしていた。