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冥界の守護者

第1話 - 冥界

211

2025年04月01日

#司類

#冬彰

#寧々えむ

#こは杏

#瑞類

あかまる🍓🐾໊

天馬司、22歳。

現在人気向上中の、俳優として活動している。

俳優という道も軌道に乗り始め、物事が順調に進んできた頃だ。

キキーーッ

ドンッ

信号無視のトラックに撥ねられ、あっけなく死んだ。

？？

司

(死んだはいいが…ここはどこだ？)

司

(城…？なんとも立派な…)

？

あれ…ここに来るとは珍しいね。

？

実に539年振りかな？歓迎するよ！

司

えっと…？

？

あぁ、そうか。来たばかりだと何も分からないよね。

カイト

僕はカイト。ここ…冥界の、一応王様みたいな存在だよ。

司

め、冥界の王様？！

司

(おぉ、これが…！！1度冥界の王の役をやったことはあるが、まさか本物に会えるとは！！)

カイト

ん…？

司

？

カイト

何か変だね…君、人生で何か悪行をしたことはある？

司

あ、悪行？

司

いや……無いです。思い当たりません。

カイト

ふむ……ちょっとだけ待ってね。

カイト

えっと、天馬司…天馬司…

カイト

……

司

？？

カイト

ま、間違ってる……！！！

司

え？

カイト

君、来る場所違うよ！君が行くのは天国！

司

えっ？！

カイト

はぁ〜…どこかで手違えちゃったのかな…

カイト

やっと新しく入ってきたと思ったのになぁ…

司

…？

司

あの、ここはどんな人が来る場所なんですか？

カイト

ここは…

カイト

天国にも地獄にも行けない人が来る場所、かな。

司

天国にも、地獄にも…

カイト

はぁ、困ったなぁ…ようやく彼のバディがやって来たと思ったんだけど、

カイト

君は天国行きだよ。ここから出て、右に進むといい。

司

あ、あの！

カイト

うん？

司

えっと…彼のバディ、とは？

カイト

うーん……知りたい？

司

気になりはします。

カイト

天国にも地獄にも行けなかった魂はここにきて、どうなると思う？

司

どう……分かりません。

カイト

ふふ、魂の案内人になるんだよ。分かりやすく言うなら、死神かな。

司

！

カイト

死神は2人1組でね、バディを組むんだ。

カイト

死神になれる魂って中々来ないから、常に人手不足で困ってるんだよね…

司

(人手不足…困ってる…)

カイト

ふふ、冥土の土産になったかな？さぁ、天国に行くといいよ。

司

あ…あの！オレでもなれますか？！

カイト

え？

司

その、死神って…オレでもなれますか？

カイト

…え？

カイト

ま、待ってね。なれないことは無いよ。けど…君は天国行きなんだよ？

司

分かってます。けど、人手不足で困ってるんですよね？

カイト

そうだけど…

司

ここにオレが来たのも何かの縁です！困ってるのなら、手伝わせて下さい！

カイト

わ、わぁ……

カイト

君ってば、生粋の天国行きだね…

カイト

なれないことはないんだけど…多分、後悔すると思うよ？

司

オレの最大の後悔は、アカデミー賞をとらずに死んだことなんです。それより大きな後悔なんてありません。

カイト

な、なるほどなぁ…

カイト

……本当に後悔しない？

司

はい。

カイト

そっかぁ…分かったよ。

カイト

司くんだっけ？ちょっと手貸してくれる？

司

？

ピカッ

司

ぬわっ？！？

突然手に、謎の紋様が浮かび上がった。

カイト

……守護者か、やっぱりね。

司

し、守護者？

カイト

うん。さっき、2人1組でバディになることは話したよね？

司

は、はい。

カイト

その2人には、それぞれ役割があるんだ。

カイト

まずは『詠唱者』。魂を冥界に送り届けるための詠唱をする人の事だよ。

カイト

そして『守護者』。守護者は詠唱者が詠唱を完成させるまで、詠唱者を守る人の事だよ。

司

ふむ……なるほど、

司

守るというのは…詠唱の邪魔をされる時があるって事ですか？

カイト

うん。『悪霊』っていうのがいてね。奴らは魂を食べるんだ。

司

！

カイト

そして『悪霊』の魂を冥界に送るのも、死神の役目だよ。

カイト

守護者は主に、悪霊と戦うことになるかな。

司

なるほど…！理解しました！

カイト

ほ、本当に？驚くほど早いね。

司

理解力と記憶力には自信ありますので！

カイト

ふふ、そうか。こちらとしては助かるよ。

カイト

さて、早速君のバディなんだけど…

カイト

会ってみる？

司

はい！

カイト

分かった。着いておいで。

庭園

司

おぉ…！立派な庭園ですね！

カイト

ふふ、そうでしょ？

カイト

あ、ねぇ。あそこに咲いてる花…何色に見える？

司

？

司

えっと……綺麗なピンクですね。

カイト

へぇ…そうか。僕と同じだ。

司

人によって見える色が違うんですか？

カイト

うん。そうだよ。

カイト

あ、いたいた。あの子だよ。

司

…！

カイトさんが指したのは、庭園の花に水やりをしている男だった。

司

(男だよな…？一瞬、女かと思ったが…体格が男だ。)

カイト

おーい、ルイくん！

！

王…何か御用で？

カイト

うん！やっと来たんだよ、君のバディ！

！？

司

(ルイ…ルイというのか？)

司

初めまして！天馬司だ！よろしく頼む！

いいえ。

司

ん？

私にバディは必要ありません。1人で十分です。

司

何っ？！

カイト

そ、そんな事言わないで！絶対に2人の方がいいよ！

不要です。

司

(な、なんだコイツ…)

私は用事があるので、失礼します。

カイト

あ、ルイくん待って！

カイト

はぁ……司くん、ごめんね。

司

い、いえ……

司

あれがオレのバディなんですか？

カイト

うん…

カイト

彼はカミシロ･ルイ。詠唱者で、今いる死神の中で最年長なんだ。

司

さ、最年長…！！

カイト

最年長なだけあって、実力はたしかなんだ。ここ500年は1人で仕事をこなしてる。

司

？！

司

ご、500年も1人で…？

司

なら、アイツの言う通り、1人でも十分なのでは？

カイト

う〜ん……

カイト

たまにね、大怪我をして帰ってくるんだ。

カイト

詠唱中は攻撃も防御も出来ないから…やっぱり、1人でっていうのは無茶なんだよ。

カイト

僕としては、バディを組んで2人で仕事をしてもらいたい。その方がきっと安全だし、効率も上がるから。

カイト

だから…

司

分かりました！

カイト

！

司

オレがアイツを説得して、バディになればいいんですね？

カイト

う、うん。そうしてくれるとありがたいんだけど…相変わらず理解が早いね。

司

芸能界で培いましたから。

司

必ず1週間…いや、3日で説得します！

カイト

み、3日？！

カイト

えっと…焦らなくていいからね！時間はたっぷりあるし！

カイト

それより…ゆっくりでいいから、ルイくんに寄り添ってあげてほしいな。

司

寄り添う…

司

……分かりました。やってみます！

司

いたーーーっ！！ルイ！！

ルイ

？！

ルイ

あ…さっきの、

司

少し話そう！！

ルイ

嫌だよ。

司

何っ？！問答無用！！！

ルイ

っ、離してくれ！！

司

頼む！！少しでいいから、オレと話す時間をくれ！

ルイ

だから嫌だって！

司

何故？！理由を教えて欲しい！

ルイ

教えたら離してくれるのかい？

司

理由による！

ルイ

じゃあ言わないよ‪

司

いいのか？この腕一生離さんぞ。

ルイ

ふん。やれるものなら…

ルイ

……？

司

む？どうした？

ルイ

おかしい……全力で逃げようとしてるのに、腕がビクともしない。

司

ぜ、全力？これでか？

ルイ

？！

ルイ

くっ……き、君の腕、本当にビクともしないんだけど…？！

司

いや…お前、非力過ぎじゃないか？

ルイ

な…っ、それは無いよ！

ルイ

君が馬鹿力過ぎるだけじゃないの…？！

司

何っ？！オレも鍛えてはいたが、そこまでパワーに自信はないぞ！

ルイ

…っ

ルイ

あ、空飛ぶクラゲ！

司

空飛ぶクラゲ？！？

ルイ

嘘だよ。

司

あっ！！こら、待てっ！！！

司

ぜぇっ、ぜぇ……クソ、アイツどこ行った…？

ドンッ

司

どわっ？！？

あ…すまない！大丈夫か？

司

？！

司

(な…っ？！か、顔が綺麗すぎる！？モデルか？！いや、このレベルはモデルにもいなかったぞ！？)

怪我は無いだろうか？非礼を詫びさせて欲しい。

司

あ…だ、大丈夫です！こちらこそすみませんでした！

司

(な、何か威厳を感じて思わず敬語になってしまった…！)

…俺は何の怪我もしていないから、その刃を降ろせ。

司

え？

いつの間にかオレの首に、後ろから短剣が突きつけられていた。

司

？！？！？！

いやぁ、見ない顔だったからつい。

司

な、なななっ？！？

お兄サン新入り？それとも…悪霊？

司

し、新入りだ！！

新入り…ちなみに、どっちだ？

司

どっち？

詠唱者か、守護者か。

司

あ、あぁ。守護者だった。

そうか！

司

？！

守護者って事は……ルイさんのバディか？

司

！

司

そ、そうだ！！ルイ！どこにいるか知らないか？！

見てないが…もしかして、逃げられたのか？

司

あぁ、そうなんだ……「バディは必要ない」とか言って、

あぁ…

そうか……やはり、

トウヤ

申し遅れた。俺はアオヤギ･トウヤ、好きに呼んでくれて構わない。

アキト

シノノメ･アキト。

司

天馬司だ！トウヤとアキトだな！

トウヤ

ルイさんのことを探してるんだったな。

トウヤ

アキト。

アキト

え〜……

トウヤ

頼む。

アキト

……仰せのままに。

トウヤ

ありがとう。

司

？！

司

(消えた……？)

トウヤ

アキトが連れて来てくれると思うから、少し待っていてくれ。

司

あ、あぁ！ありがとう！

トウヤ

あぁ。さっきはアキトが無礼を働いてすまなかった。

司

無礼…あぁ、短剣か？流石に肝が冷えたな…

司

それにしても、いつの間にか背後にいたり、消えたり…アキトは何者だ？忍者か？

トウヤ

ニンジャ？

司

む？

トウヤ

あぁ……すまない。聞いたことのない言葉だった。

司

聞いたことがない？

トウヤ

司の生まれはどこだ？

司

えっと、日本だ。東南アジアって分かるか？

トウヤ

ふむ……なるほど。アキトと近いのか。

トウヤ

俺の生まれは西洋の方なんだ。それも、1000年ほど前の時代だから…

司

せ、1000年？！

司

そうか……西洋で、しかもそんな昔なら「忍者」は知らんか。

ルイ

ねぇ、アキトくん。トウヤくんが呼んでるって本当…

司

あ

ルイ

！

アキト

あー、こらこら。トウヤが呼んでんのに逃げんな。

ルイ

と、トウヤくん以外もいるじゃないか！

アキト

バディなんでしょ。

ルイ

ち……違うよ！

ルイ

僕はもう、バディなんて作らない。僕は1人でいい！

トウヤ

ルイさん、そんな事言わないで下さい。

トウヤ

折角539年振りに入ってきた、貴重な『守護者』なんですよ。

ルイ

だからこそ、僕と組むべきではないんだよ。

トウヤ

またそういう事を…

司

えっと……初対面だが、もしやルイは既にオレのことが嫌いなのか？

ルイ

そ、それは……まだ分からないよ。

司

なら、せめて話す時間くらいはくれないか？

ルイ

……

トウヤ

話してくるといい。ティーセットを用意しよう。

トウヤ

2階の応接室ならきっと空いてるので、そこで話してきたらどうですか？

ルイ

…

アキト

トウヤが提案してんのに、断るわけないですよね？

ルイ

はぁ……分かった、

ルイ

2階の応接室ね。僕はマフィンがいいな。

トウヤ

分かりました、持っていきますね。

トウヤ

司は何か、食べたいお菓子はあるか？

司

えっと…じゃあ、オレもルイと同じものを。

トウヤ

マフィンだな、分かった。

2階応接室

司

し、シャンデリアだ……！！！

ルイ

そんなに珍しいかい？

司

舞台のセットか、パーティー会場くらいでしか見たことないな。

ルイ

パーティー？君ももしかして貴族？

司

貴族？いいや、オレは一般人だ！

司

「も」ということは、ルイは貴族なのか？

ルイ

あぁ、いいや。僕も貴族ではないよ。

ルイ

貴族なのは…

コンコン

トウヤ

失礼します。ティーセットをお持ちしました。

アキト

おい！俺がやるって…

トウヤ

大丈夫だ。俺も紅茶くらい淹れられる。

ルイ

じゃあお願いするよ。

トウヤ

はい！

トウヤ

では、俺たちはこれで。

司

あぁ、ありがとう！

ルイ

ありがとう。

バタンッ

司

トウヤは…なんというか、美しいな。容姿もそうだが、所作や立ち姿が。

ルイ

そうだね、同意するよ。

司

…

ルイ

……何？

司

いや……何を話すか考えてる。

ルイ

えぇ…

ルイ

じゃあ、僕から聞いていいかい？

司

あぁ、もちろん！

ルイ

君の後悔は、何？

司

後悔…？

司

オレの後悔は、アカデミー賞をとらずに死んだことだ。

ルイ

アカデミー賞？

司

世界最高峰の映画賞だ。えっと…そもそも、映画って分かるか？

ルイ

あぁ、まぁ…見たことは無いけど、存在は知ってるよ。

ルイ

世界最高峰ということは、とても名誉ある賞なんだね。

司

あぁ！そうなんだ！

ルイ

いいねぇ…

司

…

司

そうだ！思い付いたぞ！

ルイ

？

司

ルイにオレを知ってもらう方法だ！

司

ルイは演劇を見たことはあるか？

ルイ

演劇……無いよ。

司

なら、物語は好きか？

ルイ

あぁ、うん。物語は好きさ。

司

そうか！分かった！

ルイ

？

司

ルイには特別に、オレがショーを披露しよう！

ルイ

…ショー？

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こういう異世界転生もの大好きです！ありがとうございます😊続き楽しみにしてます！❤️

あかまる🍓🐾໊

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