薄っぺらい日常の中で
薄っぺらい日常が生まれる。
現実か
否か
アイコ
アイコ
アイコ
カンナ
アイコ
アイコ
カンナ
カンナ
校庭に出ると、運動部の活気のある声が聞こえてくる。
その中に混じる黄色い声援。
カンナ
カンナ
アイコ
アイコ
アイコ
カンナ
取り巻く集団の隙間からちらりと覗く。
カンナ
カンナ
カンナ
カンナ
カンナ
ケンタ
取り巻いていた生徒が一斉に私に鋭い視線を向ける。
カンナ
先輩が突然私にハンカチを差し出す。
カンナ
ケンタ
コソッと私に耳打ちする先輩。
カンナ
慌てて口元をハンカチで隠す。
ケンタ
ケンタ
カンナ
どうしよう。
このハンカチじゃ口元は隠せても、
真っ赤に染まったこの顔を隠すことは出来ない。
翌日の放課後
カンナ
カンナ
ケンタ
カンナ
私は真っ赤な顔をしてハンカチを出す。
どうしてだろう。 先輩の顔、見れないよ。
ケンタ
ケンタ
ニカッと悪戯っぽく笑う先輩。
カンナ
カンナ
ケンタ
カンナ
母
カンナ
母
つまらない、そうかな。
小さい頃、お母さんがおかしな宗教にのめり込む前に読んだ漫画、こんな内容だった気がするのだけど。
ノートを見ると、確かにつまらない陳腐な物語を書き綴っていた。
でも、つまらなくてもこれが私の中の世界。
こんな展開、普通の生き方をしている人にも起こりえないことだと思うけれど
教祖の跡継ぎ争いに勝たせるために、もう何年も母に閉じ込められ"教え"についての勉強を強要されている無知な私にとっては、昔読んだこの世界が理想となってしまっている。
ノートとペンを組み合わせた世界でしか、自分を思い通りに動かすことが出来ない。
そう考えると、世界を創造させてくれるノートとペンは、なんて便利な道具なのでしょう。
カンナ
母
母
母
便利な道具はね、
他にもこの部屋にあるのよ、お母さん。
例えばこの悪霊を追い払うという銀のナイフ
これで体を刺せば、命を絶つことが出来る。
例えばこの教祖様の髪を混ぜて編み込んだという紐
これがあれば首を吊るなんて容易いこと。
そしてお母さんがくだらないと罵った ノートとペン
物語を書くだけじゃなくてね
時には
遺書にもなる。
ねぇ
お母さん
貴女にとっての便利な道具って なんですか?
何でも思い通りにいくような、便利な道具
それが壊れ、もう二度と戻らないものになったら
貴女は
どう思いますか?
答えが聞けなくなる前に
私に教えてください。
コメント
14件
ウザいか〜〇な きれたか〜〇な 橋本か〜〇な☆
「答えが聞けなくなる前に」って、何となくカンナちゃんの中ではお母さんがなんて答えるのかわかってて、その答え合わせをしようとしている気がする… でももしかしたら、答え合わせする前に自ら…という考えもどこかにあるのかな😢
空想や小説に救われてきたし 今度は書いてみようかな