妄想女
春に君は
場地さんが亡くなってから1年が経つ
場地さんと共に3年生になるはずだったが俺一人だけ3年生になった
当時はショックで何をしても元気が出なかった
でも1年もすれば少しづつ元気になっていった
それでもまだ時々寂しくなる時がある
そんな時俺はあまり人気のない、春に桜の木が目立つ公園へやってくる
なんだかここにいると心温まる気がするんだ
千冬
だから俺はいつものようにその公園へやってきた
この時に出会ったのだ
○○
君と_
キリッとして細長い綺麗な瞳
それからシュッとした鼻に少し赤みがある唇
そして1番目に映ったのは、
風に靡く黒髪ロングの中に紛れた桜色の髪
そんな姿に俺は見とれていた
○○
そんな中、話しかけてきたのは○○だった
千冬
○○
初めて交わした言葉はなんだか不思議だった
千冬
○○
○○
あの時、○○はそうはっきりと言った
千冬
嫌い、その理由を俺は聞けなかった
千冬
その代わり俺は名前を聞いた
○○
そう○○が名前を言った時、目の前を風を通りすぎた
○○
千冬
今思えば初対面でいきなりタメは良くなかったか
でもあの時はそんな事頭に浮かばないくらいだった
その日から俺達は時間があった日は必ず公園で話をしていた
○○
○○と数日喋って分かったことは
学校という存在を知らなかったこと
それから...
○○
見た目とは裏腹に言葉遣いが男っぽい
千冬
○○
しかも当の本人は自覚なし
千冬
でも、なんだか○○と話すのは心地がいい
一日が過ぎるのは早い
もうはや秋になってしまった
それでも○○との関係はまだ続いている
○○
そう呟いた○○は何処か寂しそうだった
千冬
○○
○○
○○
この時○○はしっかりと答えてくれた
春の時とは違って
冬。
俺はもしかしたら冬が1番嫌いかもしれない
寒いのは本当に最悪だ
まぁ、それでも俺は寒い中○○と話をしている
○○
千冬
千冬
俺はあの時何気なくその言葉を発した
○○
でも何故かその言葉を聞いた○○は酷く悲しそうだった
○○
その言葉になんの意味が込められているかはこの時の俺はわからなかった
そしてとうとう春になった
ここ最近俺は受験とかもあってあんまり○○に会えてなかった
合格発表も出たので久しぶりに○○に会いに行った
千冬
○○
久々に会った○○は前より少し髪が伸びたくらいであまり変わっていなかった
千冬
○○
春の暖かい風がそよそよと俺達の周りを通る
○○
少しの沈黙を破ったのは○○
○○
そう俺を見つめながら言った○○
千冬
俺はこくんと頷く
○○
○○
○○は大きな桜を見つめてゆっくりと話す
○○
○○
千冬
○○
○○
そう言った○○の瞳は悲しそうに揺らいだ
○○
千冬
今度は俺の方を向き
○○
そう、初めて出会った日のように聞いた
千冬
○○
○○
嫌い、その理由はあの時とは違い今は分かった
○○は別れが寂しいのだろう
そう俺は思った
○○
○○
○○
千冬
その言葉になんだか照れくさくなり俺は桜の木の方へ向き直る
○○
○○
微笑みながら_
いや、何かを堪えながら○○は言った
千冬
俺が○○の方を向いた時には
もう、○○はいなかった
ブワッ
そして風と共に桜の花びらが舞い降りた
千冬
あの冬。○○が言った言葉の意味がわかった
君は、
千冬
桜_。か
コメント
2件
千冬くん目線もいいですね!!最高です😭