クロノ
そういえば、スマホンは……?
アカバ
んー、そういえば……。
今日はいないのう。
燃やされたんじゃ、きっと
今日はいないのう。
燃やされたんじゃ、きっと
クロノ
おいおい、やめろよ
アカバ
すまんすまん
── マズイ。 これはかなりマズイ。 おじさんもいない、 スマホンもいないとなったら。
クロノ
(おれは一体
どうすればいいんだ……!?)
どうすればいいんだ……!?)
彼がβだったらどんなに嬉しいことだろう 問題は、彼がαなことである 一応抑制剤は飲んできたが 必ず効くとは分からない それに今回の任務は 『オメガ人間製造所』という違反会社を潰し 実験台にされている人達を救うことである
クロノ
( 史上最悪の任務だ…… )
アカバ
おい、クロノ
クロノ
!……なんだ?
アカバ
着いたぞ、入らんのか?
クロノ
えっ?あ、入る……
途端、中から香る甘いフェロモンの香り その香りに俺は一瞬抑制剤が効かなくなった気がした 隣のアカバを見るとかなり我慢しているようにも見えた
クロノ
おいアカバ……お前大丈夫か?
アカバ
わしを舐めるなよ
お前は大丈夫なのか?
お前は大丈夫なのか?
クロノ
ああ。……おれは、βだからな
アカバ
そうなんじゃな……へぇ
「便利なやっちゃの」 そう言ってアカバは先に ズカズカと社の中へ入っていった
クロノ
(いや違う!!全然βじゃない!!!Ωだ!!なんならΩ中のΩだ!!)
なんてそんなことは言える訳もなく アカバの後ろを歩きながら進んで行った