ないこの家に居候して 1週間くらいが経過した頃
ないこ
ないこ
悠佑
俺は何故か神社に呼ばれていた
ないこ
悠佑
ないこがなんか思った以上にウザイ そんなことを思いながら階段を登る
悠佑
俺ら、ここに来てんの?
ないこ
悠佑
ようやく、階段を登り切ったとき 神社の前に四人、人が立っていた
悠佑
……ないこの知り合いか、それとも…
ないこ
ないこ
悠佑!
悠佑
突然始まったないこの俺の自己紹介
悠佑
良かった、ただの知り合いか
いふ
ほとけ
呼んで!よろしくね♪
初兎
りうら
アニキ!
悠佑
りうら、か
呟くように彼らの名前を復唱した
悠佑
その時、俺を除いた全員の動きが なんか、止まってた
悠佑
どうしたん?
理由すら分からない状況では、 俺は質問することしかできなかった
ないこ
なんでもないよ!!
いふ
ないやんな!
ほとけ
なんでもないない!
3人は全力でさっきのことの否定。 顔が赤くなってることはこの際 無視しても良いだろう
初兎
気にせんで!!
初兎は必死に何かに気づかせないよう にしている
りうら
ないちゃんとアニキの話
聞きたいなぁ〜
明らかに話の転換をしようとしている
悠佑
赤くなっている理由も考えつかない だから、りうらの話にのることにした
悠佑
聞きたいん?
生活のことなのか、経緯のことなのか ある程度予測をする
りうら
関係…とか?
ないこ
りうらが思うようなこと
何もないからね!?
りうら
ないこ
ないことりうらが何か話している 関係ならもう答えは出ている
悠佑
りうら
ないこ
ないこ
何かおかしかっただろうか、と そう思うがまあわからないので保留だ
りうら
りうら
してんの!
ないこ
違う関係になる……かも
だし、、…
モゴモゴ口籠もりながら、 小さな声で話しているためか、 聞き取れないかった
悠佑
何て言ったん?
ないこ
悠佑
絶対何か言ってたけど、 本人がこう言ってるし気にしない 方がいいのかもしれない
いふ
聞きたいことある!
ほとけ
初兎
りうら
悠佑
いきなり4人に一斉に声をかけられた ことでテンパるが、子供を宥めてると 思えばなんともない…かもしれない
ないこ
会ったのに……
そんな言葉は俺の耳には届かなかった
悠佑
ないこ
悠佑
俺からの呼びかけに返事がない 何か考え事でもしているのだろうか
悠佑
ないこ
どうしたの?
ある程度大きな声で呼びかけると ないこは返事を返してくれた
悠佑
ないこの方こそ
どうしたん?
いつもならすぐに返事をする彼が ここまでぼんやりとしていることは 珍しいため、心配になった
悠佑
ボーッとして…
なんかあったんか?
ないこ
ないこ
してただけ!
そう言ってカラカラと笑う彼が まあ疑わしいわけだが
悠佑
どうせくだらないことや。 気にせんでおこう。
これまで見てきたが彼が重たい何かを 持っているようには見えなかった
ないこ
ないこが話し始めた時だった
ドォン…!!
悠佑
ないこ
予兆、か。
悠佑
俺もそろそろやらんといけんこと、 やらんとな。
ないこ
なんか落ちてないよね?
悠佑
悠佑
せんかったもん
ないこ
馬鹿やなぁ、俺の言葉をすぐに 信用するなんて
悠佑
馬鹿なやつやわ
彼に聞こえないように、そっと 呟いた。
突然だけど、俺とアニキ、いふで 夜の散歩に出かけています!
ないこ
良いよね〜
いふ
どういう意味やw?
ないこ
いふはよくこういう絡みをしてくる はちゃめちゃにウザイ。
悠佑
ねぇ?
ないこ
変な意味じゃないからね?!
こういうノリに案外アニキも 乗ってくるので余計に困る
いふ
どーいうことかなぁ?w
悠佑
ないこ
なんやかんや踏切の方までこうして くだらない会話をしていた
ないこ
好きなタイプとかあるの?
悠佑
いふ
二十代後半のくせに可愛い声を出し お目目をキラキラさせている。
ないこ
そんな声がでるの?
いふ
悠佑
ええやん
半分冗談の笑い声でそう答えるアニキ
ないこ
とかの声っぽくて、
可愛いけどさ〜
ないこ
いふ
喉の力でどうにか
してんねんよ
悠佑
ないこ
アイデンティティに
関わるからッ
絶対にやめてほしい案件である
なんか危ないやつら
ないこ、いふ
俺たちの背後からゾロゾロと 黒い服を着た奴らがやってくる ついでに前からも。
悠佑
ないこ
なにやら、様子が変だ
なんか危ないやつら
やがって…
ないこ
コイツら……アニキを狙って?!
なんか危ないやつら
ジャキッ
なんか危ないやつら
抵抗すれば打つ。
あれ、なんだ?銃!?!?
ないこ
いふ
いふ
ないこ
こういう時、いふは冷静だから 頼れる。
ないこ
いふ
悠佑
ただ、大人しく、言われた通りにする
それしかできない自分が、 悔しくて仕方がない
悠佑
ないこ
いふ
彼の顔がよく見えなかったが、 多分、笑っている。
なんか危ないやつら
悠佑
なんか危ないやつら
数十人いる内の誰かがそう言った 気がした
ないこ
なんか危ないやつら
拳銃を突き出される、が、 どうしても理由を聞きたい
悠佑
スッと間に入り、静止させた アニキはやっぱりカッコよかった
悠佑
気づいたらどうや?
利用されとったことに
ないこ
どう、いう……、
いふ
ないこ
今、この時初めてこの場にいふがいて 良かったと思えた。 一人だったら多分、もたなかった。
悠佑
悠佑
お前らを利用した。
悠佑
なんて一ミリも
信用しとらへん。
悠佑
お前らは。
淡々とアニキの口から告げられる それが、真実だとは到底思えなくて
ないこ
いふ
ないこ
だったの、…?
できれば正直に答えてほしい。 お願いだからまだ希望を見せてほしい
悠佑
悠佑
それ以外に理由なんて
あらへんよ
悠佑
悠佑
トビキリの阿呆やったもんで
つい、面白くなったんよ
ないこ
乾いた笑い声を上げている。
悠佑
悠佑
現れるな。
その言葉に何故か酷く安心した。
ないこ
いふ
悠佑
なんか危ないやつら
アニキたちは去っていった
俺たちを置き去りにしたまま
振り返りもしなかった
ないこ
いふ
ないこ
いふ
ないこ
行くぞ。
いふ
アニキの元へ!