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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

2人でバスを降りて、周りを見回す

ボク

わぁ、すごい……

ふふっ、遠いとこまで来ちゃったね

ボク

うん、ちゃんと帰れるかな……?

大丈夫だよ、帰りのバスも覚えてるから。

ほら、早く“旅”に行こ!

ボク

うん!

高い建物がたくさんあって、 人もいっぱいいる

ボク

こんなところ来たの、初めてだ……

知ってる? こういう街って、“都会”って言うんだよ

ボク

とかい?

おっきいビルとか、たくさんの人とかがいるところ。テレビで見たことあるけど、来たのは私も初めてだよ!

あっ、あっちの方行ってみようよ!

ボク

う、うんっ!

初めての都会に、 少しドキドキしながら足を踏み出した

しばらく街中を歩いて、 今度は脇道に入ることに

あっ、ねぇねぇ見て!

ボク

どうしたの?

何かを見つけたらしく、 君がはしゃぎ始める

ほら、ねこさん!

ボク

わぁ、ほんとだ。それに真っ白……

道の端で、気持ちよさそうに 寝ている白猫がいた

お昼寝してるのかな?

ボク

そうみたいだね

あのね、白猫って、幸せの象徴って言われてるんだよ!

ボク

そうなの?

うん! 昼間とか午前に会うと、縁起がいいんだって!

ボク

へ〜……じゃあ、これからいいことが起こるかな?

きっと起こるよ!

ふふっ、楽しみだね!

ボク

うん!

起こさないように、 そっと猫の上を飛び越える

ボク

(これから起こるいいこと……楽しみだなぁ)

それから少し歩いて、 大通りの近くに戻ってきた

ふふっ、ここも楽しかったなぁ〜!

ボク

うん、初めて見るものもまだいっぱいあったし……

そんなことを話しながら、 横断歩道に差し掛かる

ねっ、また来たいなぁ……。

……っ!!

危ないっ!!

ボク

えっ?

突然そう叫んだと思ったら、 背中を突き飛ばされる

ボク

わっ!?

ドンッ!!

ボク

ちょっ、急にどうし……

何かがぶつかる音がしたと思って、 後ろを振り向く

ボク

……えっ?

そこには、君がいなくて

いつも乗っていた、バスがあった

ボク

えっ、な、何?

ボク

どこ行ったの……?

突然のことに頭が混乱して、 必死になって辺りを見回す

すると、視界の端に、 とある“モノ”が映り込んだ

ボク

あ、いた!

ボク

……って……

真っ赤になって、 地面に横たわっている君

動く気配は全くなかった

ボク

え……? ね、ねぇ、どうしたの?

街の人

君! どうしたんだ?

ボク

えっ、あっ、えとっ……

知らない人にも話しかけられて、 さらにパニックになる

街の人

ちょっと、その子……!!

街の人

キャーッ!!

街の人

だ、誰か救急車!!

ボク

え……?

救急車って、ケガした人とか 病気の人を運ぶ乗り物だよね?

ボク

なんで、救急車……。

ボク

ねぇ、君、教えてよっ……。

ボク

君、なんでも知ってるでしょ……?

ボク

ほら、起きてよ……!

ボク

ねぇっ……!!

バスの中で、いつもの窓側に座って、 昔のことを思い出す

きっとあの時のボクは、君が 死んだって事実を、受け入れたく なかったんだと思う

ボク

(返事が来るはずないのに、それを分かってるのに、必死に呼びかけて……)

あの時、突っ込んでくるバスに ボクが気づけていれば

気がついて、そこから逃げていれば

ボク

(そんなことすら、あの時のボクには出来なくて……)

たった2歩を、今でも悔やんでいる

ボク

(……ほんと、馬鹿みたいだ。)

ボク

(いくら後悔したところで、過去はもう変わらないのに)

でも、そんな後悔も今日で終わり

ボク

(これが、ボクの乗る最後のバス)

……ボクの人生の、最終便だ

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