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一ノ瀬
一ノ瀬
うわ言のようにそう何度も呟いた男は 虚ろな目でフラフラと自分のマンション近くの道を歩く。
すれ違う人たちからの奇異の視線などものともせずに。
一ノ瀬
一ノ瀬
一ノ瀬
時を遡ること3時間前。
二條
先程まで降っていた雨もあがり 繁華街にある居酒屋から 若い会社員風の男女7人が出てきた。
全員が全員、酒に呑まれて 足取りも覚束ないが まだまだ飲みたりないと 言わんばかりに 店から出ても騒がしくしている。
男もその中の1人で この時はアルコールのせいか テンションも高く 後輩の肩をバシバシと叩きながら笑っていた。
居酒屋から出て二次会の会場を探し始めた一行は、 週末とこの人数ということもあり すぐに入れる居酒屋を見つけられず右往左往していた。
二條
二條
二條
そんな状況に痺れを切らしたこのグループの年長者、と言ってもまだ20代であろうどこか幼さを残した小柄な女性が男に声をかける。
一ノ瀬
一ノ瀬
男の住んでいるマンションは この繁華街から歩いて10分ほど 電車なら最寄駅から一駅の所だ。
男もこれ以上、居酒屋探しを続けて心地よい酩酊感が失われるのが惜しいと考え、一も二もなく了承した。
3時間後にはこの選択を人生で一番後悔することになるのだがそんな事は知る由もない。