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【 幻想郷の人里︰鴉茶屋前 】
妖怪存続の為に、たとえフリでも「妖怪が人間を襲う」事が重要視されている幻想郷で、人間が命の危機をあまり感じずに生活できる数少ない地である。妖怪が存在するためには人間の持つ心が必要不可欠なので、人間の種を残す意味でこの場所は存在する。
昔ながらの木造平屋が軒を連ねており、主要な店の多さもあっていつも人間で賑わっている。
〈綾瀬 柚子〉
〈綾瀬 柚子〉
〈鴉茶屋のお婆〉
綾瀬柚子の鶴の一声で、この人里に『便利屋』の看板を掲げてから三週間。当初の不安をよそに、今や二人の名は、里の住人なら誰もが一度は耳にするほどにまで広まっていた。
〈鴉茶屋のお婆〉
〈鴉茶屋のお婆〉
〈綾瀬 柚子〉
現在地 【 人里の稗田寺子屋 】
一方で柊火棲という男は、喧騒から離れた寺子屋にて、幼子たちの瞳に映る「教師」を演じていた。
教科書を片手に黒板にチョークで、今日の課題テスト内容を書いている最中だ。
〈柊 火棲〉
〈柊 火棲〉
恐らく安心して授業を学べる寺子屋は、この幻想郷で数少ないと思われる。
幻想入りして三週間ほど経過するが、この世界で1人の人間が生きるには過酷すぎた。
〈人里の子供たち〉
元気に手を挙げる子供たちでさえ、外の世界が危険だと理解している。……中には親を妖怪に食い殺された子も居るはずなのだが、暗い顔ひとつ見せない子供たちが末恐ろしい。
数時間後、テストを終えた生徒たちを見送り、今日の依頼料を受け取るため再び寺子屋へ戻る。
教室の奥の部屋、襖を開けると年季のあるテーブルが置かれた和室がある。
そこで粗茶を嗜む女性〈上白沢慧音〉と呼ばれる半獣が座っていた。
歴史喰い カミシラサワケイネ 〈上白沢慧音〉
〈上白沢慧音〉
〈上白沢慧音〉
竹ペンをテーブルに置き、手渡しで火棲に渡す、それが今回の依頼報酬「幻想郷の歴史が記された古本」だ。内容は大まかにまとめられた幻想郷の歴史、人里に住む人なら一般的に知られる歴史が書かれている。
〈上白沢慧音〉
〈柊 火棲〉
〈上白沢慧音〉
〈上白沢慧音〉
竹柄の巾着袋に古本をしまいながら今日の夕食の事を考えていた火棲は、何気ない表情で一礼を済ませた後、和室から出る。
すると、伝えたいことがあったのか?慧音先生が背後から声を掛けてきた。
〈上白沢慧音〉
〈柊 火棲〉
〈上白沢慧音〉
「時間をくれないか?」とは恐らく"飲みに行く"という意味だろう。慧音先生とは未だ三日の付き合いだが、早めに関係性を築いておくのは得策かもしれない。
そんな事を思いながら僕は、軽く頷いた。
同時刻 【 幻想郷︰人里周辺の森林 】
霧が立ち込める薄暗い森の中で、今日も獲物を探してフヨフヨと飛行する人喰い妖怪がいた。
〈ルーミア〉
彼女はお腹を擦りながら森林を探索していた時、不思議な現象を目撃する。それは、ガラスが割れたかのように空間に亀裂が走る瞬間であった。
空間が砕けた。飛び散る破片の隙間に現れたのは、闇へと続く歪な裂け目だ。ルーミアは誘われるようにその前へ歩み寄る。中を覗こうと身を乗り出したその時、背後から伸びた手が、音もなく彼女の肩を掴んだ。
いかなる窮地にあっても、彼女は常に無邪気な捕食者であり続けた。あの巫女の鋭い視線ですら、彼女の不敵な笑みを曇らせることはできなかったのだ。だが、突如として肺腑(はいふ)を突き抜けたその異質な感覚が、彼女の時間を強引に止めた。
血管を鉛が駆け巡るかのように、四肢は重く、冷たく石化していく。それは、闇に住まう者が初めて「光」ではなく「恐怖」に焼かれた瞬間。
〈ルーミア〉
「絶対的な恐怖心」がルーミアの口を黙らせた。
〈???〉
〈???〉
突如降臨した謎の使いは、慈愛に満ちた微笑を湛え、六枚の白翼を扇のように広げた。その指先は、吸い寄せられるようにルーミアの肩を滑り、彼女の髪を縛る赤き封印───リボンへと届く。
〈???〉
リボンの封印が解かれたその時、ルーミアの内に眠る何かが目覚める。「闇」「深淵」「渾沌」「暗黒」眠っていた力が溢れ出ると黒紫色の光が森を照らし、光が止むとルーミアの姿は変貌する。
〈???〉
〈ルーミア〉
広げられた暗黒の翼が、夜の空を薙ぐ。凄まじい推進力を伴いながらも、彼女は静かなる矢となって人里へ撃ち放たれた。
寺子屋を後にし、火棲と酒を酌み交わしに向かう道中、上白沢慧音は不意に足を止めた。背筋をなぞるような妙な気配が、人里の周辺に漂っている。
〈柊 火棲〉
隣を行く火棲に声をかける余裕もなく、彼女はただ、闇に沈む里の境界へと厳しい視線を投げかけた。
突如足を止めた慧音に、火棲は言い知れぬ違和感を覚えた。覗き込んだ彼女の顔は紙のように青ざめ、こめかみからは一筋の冷や汗が伝っている。
「大丈夫ですか?」と声をかけようとしたその時、突如として空が切り替わるように昼夜逆転する。
〈上白沢慧音〉
彼女が空を仰いだ瞬間、慧音の体は反射的に動いていた。隣にいた火棲を掴み、問答無用で近くの小屋へと放り投げる。刹那、無数の剣が空を切り、彼女たちがいた場所へ降り注いだ。
〈上白沢慧音〉
飛来する無数の刃を、慧音は紙一重でかわし、あるいは剛拳をもって叩き落としていく。だが、驟雨のごとく降り注ぐ鋼の牙を、その身ひとつで凌ぎ切るには限界があった。剣戟の嵐が止んだとき、そこに立っていたのは、全身を朱に染め、見る影もなく傷ついた彼女の姿だった。
〈上白沢慧音〉
窓ガラスが粉砕し、背中から小屋の中へ。受け身も取れずに転がり込んだ。混乱する頭で、慧音のあの行動――問答無用の「投擲」――の意図を探る。だが、思案する時間はなかった。入口へ駆け寄ろうとした瞬間、ガチャリと扉の錠が外れる音が響いた。
〈上白沢慧音〉
微笑む彼女を見て、僕は冷静に微笑み返せなかった。…無数の切り傷から滴る血を彼女は気にせず、一人の青年の心配を優先したのだ。
〈上白沢慧音〉
「人里に居るから安全、以前の僕を殴りたくなる…」そんな彼女の姿を見て、僕は自然と謝罪の言葉が出ていた。
〈柊 火棲〉
慧音は彼の突然の謝罪を耳にすると困惑の表情を浮かべた・・・パタリと小屋の扉を閉めた慧音は口を開く。
〈上白沢慧音〉
〈上白沢慧音〉
〈上白沢慧音〉
と言い慧音は微笑みの中、小屋の扉を開けようとする。…その彼女の手を僕は掴んだ。
〈上白沢慧音〉
握った彼女の手は震えていた。人里は本来、幻想郷の賢者の監視下に置かれていると聞く、しかしその賢者は音沙汰が無い状況。
彼女も恐れているんだ、救えない命が生まれることを。
〈柊 火棲〉
〈上白沢慧音〉
〈上白沢慧音〉
〈柊 火棲〉
塗り潰したような黒い球体が、静まり返った里を凝視している。その滑らかな絶望の内部で、彼女はただ独り、壊れた人形のように蹲(うずくま)っていた。
繭の中で蠢く"芋虫"は、形を変えて溶解すると、新たな形へと姿を変えるのだ。……巨大な黒い球体の中でもそれと同じ事象が起きていた。
黒い液体は人型を形成し始め、臓器は動き、身体に血が巡ると肌の色は明るく命が宿る。
妖怪を超越した存在、封印が解かれた事により彼女は新たな生命を持ってしまった。
切断された黒い球体は形を失い、霧散していく。後に残されたのは、ただ圧倒的な存在感を放つ、生まれ変わったルーミアの姿だった。
〈EXルーミア〉
ルーミア始動まで、残り29秒。解かれた封印、吹き出す闇。これに抗える「個」が、この場にいるか?
「彼と彼女がいた」
〈上白沢慧音〉
〈柊 火棲〉
扉を蹴破った衝撃を、爆発的な加速へと変える。両脇を流れる人里の景色が、一筋の残像へと化した。「二十八秒」──その瞬間、二人は脇道を弾丸のごとく駆け抜けている。荒い呼吸の合間、慧音は隣を走る火棲へ、研ぎ澄まされた言葉でプランを叩きつけた。
〈上白沢慧音〉
〈柊 火棲〉
〈上白沢慧音〉
〈柊 火棲〉
〈上白沢慧音〉
〈柊 火棲〉
〈柊 火棲〉
虚無の深淵より、光の粒子が呼応するように沸き立つ。それらは吸い寄せられるように火棲の手中へと収束し、一つの形を成していく。……それは彼が背負う宿命の具現。仮面ライダーという『道』へと至るための、唯一無二の鍵であった。
〈上白沢慧音〉
幻想郷では大抵の人物が『〇〇程度の能力』を持っている。幻想入りした時点で、柊 火棲は妙な能力を獲得していた。
〈柊 火棲〉
『仮面ライダーに変身できる程度の能力』
特撮シリーズに仮面ライダーと呼ばれる作品が存在する。この力を獲得する前まで仮面ライダーには一切興味すら湧かなかったが、綾瀬 柚子の熱狂的な解説により少しは理解できたが…。
どうやら俺の能力は『知識量』によって変身できる仮面ライダーの幅が広がるようだ。
音声『ビルドドライバー』
腹部にかざした刹那、放たれた銀輪が火棲の腰を締め上げ、強固に固定される。
〈柊 火棲〉
〈上白沢慧音〉
呼び掛けに、火棲が振り返る彼女の瞳には、焦り、信用、決意を感じられた。
〈上白沢慧音〉
火棲は慧音の言葉に黙って頷く、そんな彼の瞳を見て彼女は、とある友人の影を重ねていた。
〈上白沢慧音〉
〈上白沢慧音〉
〈柊 火棲〉
音声『ビルドドライバー』
音声『ビルドドライバー』
〈柊 火棲〉
音声『ビルドドライバー』
駆動音を響かせ、火棲は地を蹴った。ルーミアとの距離がゼロになるコンマ数秒、その刹那に幾多の装甲が組み上がる。肉薄した瞬間、そこにいたのは火棲ではない。勝利の法則を定めた「仮面ライダービルド」だった。
〈柊 火棲︰ビルド〉
創造上のスペックが乗った仮面ライダーの拳と蹴りはkgを超えて、パンチ力『9.9t』を叩き出した、例えるなら大型トラックが衝突する威力である。
〈柊 火棲︰ビルド〉
ルーミアは、迫り来る火棲の熱波を眼前に捉えた瞬間、思考よりも先に体が動いた。
手にした銀の剣を斜めに構え、衝突の衝撃を受け流す。ガギィン、と鼓膜を震わせる金属音が響き、彼女の体は木の葉のように後方へと弾き飛ばされた。しかし、その瞳に動揺はない。
ピタリ、と動きが止まる。 巻き上がる砂塵の中から現れたルーミアは、乱れた髪を払うことさえせず、何事もなかったかのように平然と剣を構え直していた。
しかし、彼女の短剣は砕け落ち、意識がハッキリしてきたルーミアは、火棲を敵と認識する。
〈EXルーミア〉
始まるのだ、幻想郷での初めての実戦が。
#源輝
#地縛少年花子くん