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ガヤガヤ

“曖昧”

あぁ、曖昧

誰かに執着したのは去年の春

誰かと意思疎通したのは去年の夏

誰かと破滅したのも去年の夏

誰かを手にしていたかったと、

誰かを手元に置いていたかったと、

思ったのも去年の夏

誰かを誤解したのも去年の夏

何かを諦めたのも去年の夏

何かを前向きに考えたのも去年の夏

何か私の中で蠢く度に夏の音は 町中に響くようになった

例えば

何かを曖昧なまま放置したら

崩壊する

例えば

何かを手に入れたい、執着しなければ

欲しいものは手に入らない

例えば

ちゃんと会話を交わしていなければ

誤解が生じる

例えば

誰かが誰かに恋するように

また誰かも誰かに恋をする

そう、循環出来たらどれだけ楽な事か

タッタッタッ

後ろから近づいてくる足音

随分聞き慣れている

美咲ーっ!と呼ぶ声が やけに明るく感じる

美咲

おはよう、凜菜

凜菜

うん、おはよう!
ねぇね、明日の夏祭り、

美咲

行くよね?

凜菜

もちのろん、でしょ!

美咲

今年は浴衣着てくるの?

凜菜

暑苦しいから辞めようかな、彼氏もいないし

凜菜

着飾る理由が皆無。

美咲

あはは…

凜菜

その一方美咲はいいよね、隆之介くんっていう人がいるんだから

美咲

いる…っていうか…

美咲

曖昧なところがあるし

凜菜

告白されて両想いならもう付き合っているも同然でしょ?

美咲

そうかな…

凜菜

自分に自信を持ちなって!さ、明日は頑張りましょー!

美咲

隆之介、ちょっといい?

隆之介

いいけど

美咲

明日って空いてる?

隆之介

時間による

美咲

夏祭りの、時間

隆之介

隆之介

あー、ごめん、塾

美咲

あ、そうなんだ、ありがと

美咲

じゃ、おやすみ

隆之介

おやすみー

凜菜

元気、出しなよ。美咲ー

美咲

断られるとか1番辛いやつ…

凜菜

んーまぁね?

美咲

恥ずかしい…

凜菜

まぁまぁ、女子2人で夏祭り、楽しみましょっ

美咲

うん…

凜菜

あはは…

ドドンドンドン

ドンドン

さっきまで聞こえて来なかった 太鼓の音が大きく大きく聞こえる

美咲

いる筈ないと分かっているのに

あの人を探してしまう

美咲

ぁ、隆之介…

凜菜

え?美咲?ねぇ!たこ焼きどーすんのー!

神社の外れの木が生い茂っている場所

少し遠いが 花火を見るにはもってこいの場所

綺麗に見える

そこで____

見た

木陰に隠れて密着しながら

接吻“キス”をしているところを___

パキ

美咲

…はっ…

時間が過ぎて

何分経ったか分からない

無意識に踏んだ細い木で

私は我に返った

隆之介

(ごめんごめんごめんごめん___)

勇気を出して告白したあの日

何ヶ月も経っている

それなのに明確な返事は来ない

隆之介

(誰かと仲良くなって嫉妬させよう作成開始)

ガチャ

隆之介

美月、頼む

美月

…うん、いいよ

隆之介

ありがとう!

隆之介

お、こっちこっち

美月

あ、隆之介くん、こんばんはー

隆之介

じゃ、いこ

俺の作戦はこうだ。

美咲達の後を少しつけて

そしていいタイミングで出会う!

隆之介

(完璧だ…)

隆之介

(いつ会おう…)

美月

ねぇねぇ隆之介くん、そろそろ花火はじまるし、花火見てからにしない?

隆之介

え、でも

美月

美咲ちゃんは後から探せば大丈夫。

隆之介

…うん

美咲

(やだやだやだ)

美咲

あんな、あんな…

美咲

付き合っている人がいる…?

美咲

やだよやだよ、隆之介…っ

美咲

私じゃないの…?

美咲

美咲

…そもそも、私、隆之介の告白、
OKしてないや

美咲

はは、私達はただの…

友達だったんだ

美咲

おはよう

隆之介

…ちっ、汚ね

美咲

(ん?)

美咲

ただいまー

凜菜

おかえりー

隆之介

きも…そういうの俺無理だわ

美咲

美咲

(なんで、)

美咲

あの、隆之介__

隆之介

隆之介

あ、美月

美月

ん?

美咲

(なんで、)

“私じゃないの?”

美咲

はよー

隆之介

今日も来たのかよ、汚ねえ

美咲

あのさ、何があったのか知らないけど

美咲

毎朝毎朝汚いって言うの辞めてくれる?

美咲

はっきり言ってうざいよ

隆之介

汚いもんは汚い。近寄んな

美咲

言われなくてもそんなこと言う人には近づかないし

隆之介

そうしてくれ

隆之介

え、今週の掃除アイツが先週掃除してんじゃん…うげ。

美咲

美咲

そんなに嫌なら本人に言えばいいじゃん

美咲

しかも皆で綺麗にする掃除なのになんなの?

美咲

文句しか言ってない

美咲

私にきもいきもいとか言ってくるけどそれ以上に隆之介、気持ち悪い

隆之介

…っ

カサッ

美咲

(…放課後、屋上。)

美咲

美月

(取られたくない…)

美月

(やっときた私のチャンス)

美月

(全てを捨てても)

美月

(罪を問われても隆之介くんを…)

美月

(好きな気持ちは誰にも負けない)

ガチャ

美咲

どうしたの?隆之介

隆之介

あのさ、俺、美月とこの前遊んだんだ

美咲

…そう、なんだ

空白の時間

音もなく_____

美咲

隆之介

美咲

私達、付き合ってたかも分からないけど

美咲

別れよっか

過ぎる

隆之介

美咲

隆之介も美月ちゃんの方がいいだろうし

隆之介

違う

美咲

私、もういいや

隆之介

おい美咲っ

貴方にも

私のイラナイ心にも

美咲

じゃ、ね

曖昧って、苦しい言葉だと思う

自分で無意識にしていた事だけど

美咲

やっぱり、苦しかったなぁ

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