僕
小学生の頃、お利口仮面というものが流行っていた。
僕
それをつけると、親や、先生に怒られそうになった時うまく回避できるという。
僕
とあるアニメから広まったものだったが、知らない人はいないほどの社会現象になっていた。
僕
見た目は少し不気味な、ただただ真っ白のお面で、目や口のための穴も開いていない。
僕
毎日クラスには仮面を持ってくる友達が増え、僕だけ遅れをとっていた。
僕
宿題を忘れると、仮面をつけ、
僕
遅刻を堂々として、仮面をつけ
僕
そうしてだんだんと注意される人もいなくなっていた。
僕
僕はもともと怒られるのが嫌で、宿題はちゃんとする、遅刻はもちろんしない、親の手伝いも良くしていた。
僕
だからこの仮面をつけるといつかバレて怒られるのではないかと、その心配の方が大きかった。
僕
そんなときある事が起きた。
僕
僕の誕生日の日、家族が僕の誕生日会を開いてくれた。
僕
毎年同じように家の電気が消されケーキの上に揺れるロウソクの火を消す時間がやってきた。
僕
僕はありったけの空気を吸って、ふーーーっと
火を消した。
火を消した。
父
おめでとう!
母
おめでとう〜!!
弟
おめでとう!!!
僕
そういって部屋が明るくなる。
僕
わっ!!!!
僕
僕はこのときに大きな声で驚いてひっくり返ったのを覚えている。
僕
家族みんなが、お利口仮面をつけ大笑いしてるではないか。
僕
そしてひっくり返った僕を起こして、プレゼントを渡してきた。
僕
中身は・・・お利口仮面だった。
僕
確かにつけてみたかった僕は、大いに喜んだ。
が、つけることはしなかった。
が、つけることはしなかった。
僕
そしてその日は、僕以外の家族みんな白い仮面をつけて祝うなんとも不思議な誕生日を過ごした。
僕
そして次の日の朝、
いつものようにリビングへ向かうと、仮面をつけたまま料理をする母、仮面をつけたまま、朝ごはんを食べる、父と兄弟がいた。
いつものようにリビングへ向かうと、仮面をつけたまま料理をする母、仮面をつけたまま、朝ごはんを食べる、父と兄弟がいた。
僕
きっと僕を笑わせようとしてるんだ。
僕
そう思って、またからかわれえるのを避けるため、何も言わずご飯を食べ、学校に向かった。
僕
この日からだ。
僕
学校、そして街では、仮面をつけていない普通の人を見ることはなくなった。
僕
今思うと、なぜその時におかしいと気づかなかったのか。
僕
というよりはだんだんと白い顔しか見ないことに慣れていってしまったのかもしれない。
僕
そして犯罪もなくなった。文字通りのお利口な人間しかいなくなったのだ。
僕
僕
そしてそんな世界でうまく生きてきた僕もついに犯罪を犯してしまい、最後の時間を過ごしているところだ。
僕
目の前にはたくさんのカメラに数え切れないほどのお利口仮面。
記者
最後に言いたいことはありますか?
僕
最後に家族の顔を見たかったですが、僕は最後まで僕として生きる事が出来ました。思い残すことはありません。
執行役員
罪人
執行役員
遅刻の罪で有罪!
僕
執行担当者の男が右手に高くかざした仮面を僕につけた。
街には拍手と大歓声が響いていた。
こうして人間が気づくことなく世界は終わった。






