柊
お母さん、行ってきます!
台所にいる母に聞こえるように
大きな声でそう言って
玄関を飛び出した
青い空、緑の葉。
柊
今日も綺麗だな
〈 カシャッ 〉
私はカメラのシャッターを切って
軽い足取りで学校へ向かう。
柊
おはよーございます
涼風
おっ、珍しく早いじゃん笑
涼風
おはよう、柊さん
珍しく、の部分を少し強調させて
意地悪な笑みを浮かべる。
どこかいつもより嬉しそうで
柊
なにか、いい事でもあったんですか?
なんて聞いてみる。
涼風
あれっ、バレちゃった?
涼風
実はね、結婚するんだ
涼風
4年…くらい前からかな?
涼風
付き合ってた彼女と
涼風
…って、興味ないよな笑
返ってきた答えは
思ってたのと違ってて
くしゃっと笑いながら
幸せそうに笑う貴方が
遠く感じて
柊
おめでとう…ございます
そう言って教室を飛び出した。
人気のないところで
抑えきれなくて
小さい子みたいに泣いた。
きっと貴方に向けた
必死の笑顔は歪で
きっと貴方にかけた
祝いの言葉は震えてた。
柊
失恋記念…笑
そう絞り出して
構えたカメラ越しに見える景色は
灰色で。
私の世界は
柊
貴方がいなきゃダメなんだね笑
もう伝えられない
もう伝えちゃだめ
わかってるけど
我慢できないよ…?
柊
好きです
柊
先生