10タップじゃないアホ美ちゃん

AM8:00頃

教室では幸枝達が何やら話をしていた

幸枝の手には一枚の紙が握られていて

幸枝は怒りを込めた目で辺りを見渡す

静かに怒りを露にする幸枝の姿に少し怯える夕陽達

10分程前

いつものように登校した幸枝が下駄箱を開けると

そこには一枚の紙が入っていた

アホ美からの挑戦状とも取れる内容に

幸枝の中に沸々と怒りが沸き上がる

幸枝の剣幕に驚き固まる夕陽達

だがチャイムが鳴っても三人は現れず

この状況に安藤は

そんな言葉を漏らしていた

三人が空き教室にいることなど知らぬ安藤は

このまま邪魔な三人がいなくなればいいと思っていた

三人の生徒が連絡もなく欠席している状況にも関わらず

こうなってもなお大事なのは自分の立場であり

生徒達がどうなろうと知ったことではないと思っていた

夕陽達は毎朝、落書きの様子を撮られていたことには気づかず

証拠なんてないとたかを括っていた

浪川の指示で空き教室にやって来たアホ美達三人は

教壇に置かれた浪川からのメッセージを発見

浪川はアホ美達が教室に入れない可能性を考え

放課後に使う予定だった空き教室を朝から使えるようにして

放課後までそこで待機できるようにしていた

授業開始のチャイムが鳴り

静かになる校舎内

空き教室には三人の談笑する声が響いていた

アホ美はまだ

早樹と共に掴んだ証拠を友美や蓮斗に打ち明けていなかった

真の黒幕が誰なのか

何故こんなことになったのかをアホ美は全て知っていたが

そこには友美が深く関わっていて

友美を傷つけたくないと言う気持ちから

放課後の決戦時までは秘密にしておこうと考えていたのだ

そしてアホ美からの挑戦状は別の人物にも届けられていた

幸枝がアホ美からの挑戦状を受け取ったのと同じ頃

友美の筆跡を真似て書かれたアホ美の手紙を見た信吾は

完全にそれが友美からの物だと信じている様子だった

海村早樹

外出許可の出ていない早樹は

医師や看護師に見つからないようにこっそりタクシーを手配し

無断で院外へ出ようと考えていた

こうして全ての準備が整い

後は放課後になるのを待つだけとなった