虚空と愛

ワンク 前回+‪α‬

さっき類が怒ったことか…？

でもあれは夢なんじゃ、

でもそれ以外、謝られるようなことなんて言われてない

じゃあ、やっぱり…

もう怒られたくない

もう裏切られたくない

もう殴られたくない

もう、無理やり──

……あれ、オレ類にそんなこと一度もされてないような

どうして？どういうことなんだ？？

" あれ " は夢。

あくまで、夢だ。

現実の優しい類が、あんな風に怒ってくるなんてこと

……もし正夢になったら？

けど、また怒られて今度は絶縁まで行ったりとかしたら、

オレはひとりぼっちになる

ひとりにはなりたくない…。

……どうすればいいんだろうか

話すと言ってしまった以上、裏切ることは出来ないよな

数日後

司くんのああいった顔、やっぱりなにかを感じる

僕がおかしいのだろうか。

というか彼の秘密が本当に何か気になる。

…まさか彼も同じ記憶喪失、だとか

そんなことあるわけないな。彼には過去の僕の記憶があるんだから、記憶喪失だということは流石に…。

だが、それと同時に、彼が嘘をついているという可能性もありえる。

……だとしたら、何のために？

僕に嘘をついてまで、僕と仲良くしたかった？

だとしたらここまで僕の調査に付き合ってくれて、それでいて彼の言うことの正確性は高そうだから有り得ない。

嘘をついてるんだとしたら、その嘘が出来すぎている。

嘘だと言うには彼の言うことの辻褄が合いすぎていて、嘘だと考える方が難しい。

──言いたい。

正直に言えば、記憶喪失のことは類に告げたいと思う。

けど、今の関係を壊すのが怖くて

夢のようになるのが怖くて

ずっと言い出せずにいる。

あの日記は、おそらくオレが記憶喪失になる前に書いたものだ。

記憶喪失なのに類のことを話せてるのは、それを見返して類の情報を確認してるから。

オレも類と同じで、中学半ばまでの記憶がない。

だから正直、今類に伝えてる内容はかなり不確かなものだと思う。

──最後のページは、オレの記憶がなくなったすぐ何ヶ月前かの日付が書いてあった。

……

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