類
……お邪魔します
司
どうぞ、適当に座っててくれ
類
うん。…司くんは?
司
飲み物類をとる!すぐに行くから座ってて大丈夫だぞ
類
あぁ、すまないね
司
──はい!緑茶で大丈夫だったか?
類
ありがとう、問題ないよ
司
え…っと
司
…隣、座りたい
類
……!
司
類…?あの?
類
あ、…大丈夫。おいで
司
ありがとう……
司
……
類
……
司
……その、話す、な
類
……あぁ
司
っ、おねがいだから、引かないで、怒らないで欲しいんだ
類
──っ、うん、わかった
司
オレ……っ、
司
……、う
類
だ、大丈夫、大丈夫だから…落ち着いて話してごらん、ね?
彼が苦しそう、辛そうな表情をする度に、こんな感情になるなんて
司
すまない…ありがとう、
司
オレ、
司
中学の時から
司
…記憶喪失、で
類
───
類
…
類
…は、
類
は……??
先程から衝撃のようなものを少しずつ与えられていたが、
今の「記憶喪失」の一言だけで全ての思考回路を断たれる程度の衝撃。
司
……、る、い…?((がたがたと震えるように怯えながら問いかけ))
類
……それは…
類
本当、かい?
司
ほんとう、だ、
司
今まで言ってた情報は、もしかしたら嘘かもしれなくて…
司
でも全部は嘘じゃない!!絶対、絶対にっ!!
類
待って、落ち着いて!!
類
僕は司くんのことを疑ってる訳じゃないんだよ、ただ質問がしたいだけで…!
司
っ、ごめ、オレ、この事になると神経質になってしまうみたいで
類
あぁ、
類
とにかく、言ってくれてありがとう。やさしいね、えらいえらい…((落ち着かせるように背中をぽんぽんと優しく叩き))
司
あ、お、怒らないのか?
類
怒るわけないだろう?
類
せっかく勇気を出して話してくれたんだ、そんな酷いことしないよ
司
〜〜!!!
司
っ良かった……!!
類
それで、
類
記憶喪失のことだけど
司
……あぁ
類
いつから記憶が無いのかと、どうやって僕のことを思い出したか……
類
話せる限りで、無理はしなくていいから、話して欲しいな
司
全部、話す
類
!
司
記憶がないのは、類と同じで中学半ばからで
司
どうやって思い出したかは…
司
多分前のオレが書いてた日記だと思う。
類
…日記?
類
ちょっ、と待ってね、疑問に思うことが多すぎる
司
分かること、やれることならなんでもする!!
類
まず同じ時に記憶をなくした理由がわからないし…偶然にも程があるよね
司
それはオレにもわからん…母さんたちになぜ記憶が無いのか聞いても誤魔化されて終わりだ
類
僕も同じだよ
類
……
類
ねえ、まさかだけど
司
む?
類
僕達記憶を無くす前、特別な関係だったのかな
司
……へ?
類
いや、ううん。変な意味じゃなくて
類
ただの友達ではなさそうだよね、幼馴染とか色々
司
あ……
司
だとしたらなぜ記憶が?
類
わからない、けど
類
何か僕達の親が関係してそうだね
司
しかもオレ、記憶が無くなったその日から転校したんだ
類
……うん
司
最近類のことを話すと、両親が凄いぎこちない表情をして聞いていて…
類
……
司
…多分、何かあったんだと思う
類
それもかなり大きな事件性のものだろうね
類
記憶が無くなった、というよりは
司
消されたかもしれない…?
類
記憶を消すほどなにか大きな事件が……?
司
あっ…そうだ!!
司
少し待っててくれ
類
え?あ、あぁ
司
これ、日記!!
司
多分全部類のことが書いてあって、
司
途中まではすっごく幸せそうなんだ、でも
司
最後見てくれ
類
……「こわい、たすけて」?
司
そう、それで終わってるんだ
類
あ、あの、ね
類
考えたく、ないんだけど
類
っ、僕、記憶消される前、君にとんでもないこと……!!
司
大丈夫だ!!!今のオレにはその記憶がないわけだし、類のことは本当に大切な友達だと思ってるし、今後もそれは変わらない!!
類
けどもし記憶が戻って君に酷いことをしたら──!!!
司
っ、類!!!!
類
──っ
類
す、すまない…少し興奮しすぎてしまったね
司
大丈夫だ…
司
記憶が戻ったとしても、今度はちゃんと止めてみせるから
司
類は不安にならなくていい
類
……司くん…
類
ありがとう、君は本当に頼り甲斐があるね
司
そう思ってくれてるなら嬉しい限りだ
司
…じゃあ、明日から色々と捜査してみるか?
類
あぁ、そうだね
類
時間はかかりそうだけど…
司
…頑張ろうなっ!
類
うん、よろしく頼むよ!