君が死ぬはずじゃなかった。
あの日死ぬのは私のはずだった。
君が死んだらいけなかった。
だから私は、あの日を繰り返す・・
○月×日
その日、私は夢を見た。
沙織
かづみ
和己
なに?
いつものように君ー
和己と話している、そんな夢だった。
沙織
ごめんね
沙織
私のせいで・・
和己
沙織は悪くない
和己
なんにも悪くないよ
私はずっと和己に謝っていた。
沙織
でも、
沙織
今日は私が死ぬはずだった
そこで夢は終わった。
ただの夢だと思えなかった。
教室
私は和己に真っ先に聞いた。
沙織
かづみ!
和己
ん?
沙織
今日、夢、見た?
和己
・・うん
和己
沙織が謝る夢だった
和己
「私が死ぬはずだったのにごめん」って
同じ夢だった。
少しの違いもなかった。
下校中
私にはわかっていた。
この下校中に、私は死ななければならないと。
沙織
かづみ
和己
なに?
沙織
次の曲がり角、先に、行かせて?
和己
・・・
黙っている和己を追い越して角を曲がる。
そこにきたトラックに、私はひかれて、
和己
・・させないよ
死ぬはずだった。
和己は死んだ。
君が死ぬはずじゃなかった。
あの日死ぬのは私のはずだった。
君が死んだらいけなかった。
だから私は、あの日を、あの瞬間を繰り返す・・
歪んだ夢の中で
歪んだ君との思い出の中で
死ねなかった私は
歪んだ私は
あの日を繰り返す。
私が死ぬまで
君が生きれるようになるまで
沙織
ねぇ、
沙織
いつになったら私は死ぬの?
沙織
和己と入れ替わって
沙織
和己を生かせるようになるの?
だから私は、あの日を、あの瞬間を繰り返す・・
大好きな君を生かせるようになるまで・・