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Episode5─嘘と祈り
A new story begins
桜の木の下で話した以来─────
祈莉先輩を見かけることは少なくなっていった。
正直、寂しかったし不安だった
だから花宮に聞いてみることにした
赤葦 京治
花宮 薫
不思議そうに小豆色の瞳がこちらを見る
赤葦 京治
そう尋ねてみた
花宮 薫
薫視点
花宮 薫
花宮 薫
姉ちゃんは子供の頃から肺炎のせいで体が弱かった
花宮 祈莉
そう言いながら咳き込む姉を
只々心配するしか無かった
花宮 薫
姉ちゃんは赤葦が好きだ
だからこそ言った方がいい。そう俺は思った
花宮 祈莉
花宮 祈莉
今にも消えそうな掠れた声で訴える姉を 否定するなんて出来なかった
花宮 薫
花宮 薫
花宮 祈莉
なんで謝るのかなぁ、姉ちゃんは悪くないのに
それに、いちばん辛いのは姉ちゃんのはずなのに
薫side
姉ちゃんに止められていた、わかってる
解ってるけどやっぱり赤葦に言うべきなんじゃないかって
でも言ったらきっと姉ちゃんも赤葦も悲しむ、
花宮 薫
赤葦side
花宮 薫
花宮 薫
俺が尋ねると花宮はそう答えた
でも
小豆色の瞳が揺らいでいたことに気づいてしまった
赤葦 京治
赤葦 京治
花宮 薫
花宮は真っ直ぐに返事をして頷いた
何となく、来てしまった
”祈り”という意味が込められている桜の木の下に
居るはずないってわかってた
けどもしかしたらって期待してしまったんだ
そんな時ふと目が見覚えのある後ろ姿を映した
でもその姿は車椅子の後ろ姿だった
赤葦 京治
そう呼ぶとその後ろ姿はこちらを向いた
そして驚いたように口を開いた
花宮 祈莉
赤葦 京治
そう尋ねると
花宮 祈莉
花宮 祈莉
無邪気な笑顔ではなく儚い笑顔でそう言った
花宮 祈莉
赤葦 京治
赤葦 京治
「嘘に祈莉を」
Continued next time