テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
次の日の朝。
るなが廊下を掃いていると奥から柔らかい声が飛んできた。
女将
その呼び方にるなは少しだけ驚いて顔を上げる。
月
女将はにこにこと近づいき昨日よりも親しげな表情をしていた。
女将
るなの胸がきゅっと縮む。
女将
そう言われ、るなは思わず俯いた。
月
女将は一度るなの顔をじっと見つめる。
整った顔立ち白い肌どこか人離れした雰囲気。
女将
女将
女将
女将はやさしいけれどはっきりした声で続けた。
女将
女将
そう言って、ひとつひとつ指を折る。
読み書き。
生け花。
茶道。
和歌。
琴、三味線。
囲碁、将棋。
女将
るなは、真剣な顔で頷いた。
月
女将
そう言って案内された部屋には静かに楽器が並んでいた。
女将が座りゆっくりと琴を爪弾く。
澄んだ音が部屋に広がる。
月
るなは、じっと音に耳を澄ませた。
指の動き。
間の取り方。
音の流れ。
一度、最後まで聴いてから。
月
恐る恐る、琴に触れる。
そして――
同じ旋律をなぞるように弾いた。
音はほとんど狂っていなかった。
女将
女将は目を見開く。
三味線も迷いなく同じように音を出した。
女将
女将はしばらく言葉を失ってからふっと小さく笑った。
女将
その目は明らかに“見込みのある子”を見るものだった。
女将
その言葉にるなは気づかないうちに少しだけ胸が軽くなっていた。
芸事の音が静かに響く京極屋。
るなはまだ知らない。
この“覚えの早さ”がこれから遊郭で――
良くも悪くも、注目を集めることになるということを。
はーとおねがいします🙏🏻 ̖́-