TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

1人の小柄の少女を背負って 森の中を歩いていく

自分が思っているよりもツタが 足に絡まっていって軽くコケかけた

エアル

うおっ!

エアル

あ"あ"ぁ"……やっぱ邪魔くせぇな

リア

『大丈夫ですか?』

そう書かれた小さな紙を差し出し 心配そうに俺の顔をのぞきこんできた

エアル

あぁ、大丈夫だ

エアル

んー…変化してツタを切っていったほうがいいだろうか…でも嬢ちゃんがなぁ…

知ってる人も多いだろうが 俺は人間じゃない

…と言うと嘘になる ”元”人間だ

いやまぁ、今の俺の姿は人間よ? …オッドアイだけど

そんな俺は半動物になることができる それを変化(へんげ)と呼んでいる

ちなみに、俺の中での半動物は 人間の見た目にすこーし動物が 加えられていること、と思っている

エアル

はぁ…まぁいいか、どうとでもなるだろ…

エアル

嬢ちゃん、しっかり掴まってろよ

リア

『はい』

意識を研ぎ澄ませる…

エアル

ふぅ…よし

エアル

リア

!!?

エアル

おっと…危ないぞ

リア

…『あの、エアルさん…ですよね』

俺の背から落ちそうになった少女は 微かに震えながら紙を見せてきた

エアル

あぁ…怖い、か?

リア

少女は少し暗い顔で俯く

その反応は正しい

今の俺の姿は犬か猫かも分からない 耳と尾が生え、左目が紅くなっている

髪の色も違い紅と黒のグラデーションがかかっている

リア

…『びっくりはしましたけど、怖くは無いです』

エアル

…!

リア

『私狼が好きなので!』

エアル

…え?

リア

暫しの沈黙

エアル

…嬢ちゃんには狼に見えるのかい?

リア

『狼じゃないんですか?』

エアル

…狼に見えるだろうけど一応猫なんだが…

リア

『え』

エアル

まぁ、これまでも何回か間違えられたこともあるが…まさか嬢ちゃんまでもが…

リア

『す、すみません』

エアル

いや、いいよ

エアル

俺はもう”狼に見える猫”として生きていくから…

エアル

はぁ…

エアルー!

はっきりと聞こえた声と言葉

エアル

エアル

その声、フォスかー!!?

エアル

どこにいる!!

上だよ!上ー!

エアル

…上?

フォス

やっと助けが来たー!

フォス

ねぇねぇ!早く下ろしてー!

エアル

…何してんだお前ら

トゥール

ははっ…悪ぃな、少ししくじっちまった

エアル

少しどころじゃねぇぞ、これは

フォス

罠があるなんて思ってなかったんだし!僕達は悪くないよ!

エアル

事前に”ここら辺にはツタや罠が多くあるから入るな”と言ったはずだが?

トゥール

面目ない…

フォス

とにかく!早く下ろして!

フォス

もう僕のズボンが限界!!

エアル

あー……なるほどな

俺はゆっくり少女の瞼に手を添える

リア

??

エアル

さ、思う存分ずり下げていいぞ

エアル

大丈夫だ、責任は取らん

トゥール

いや取らんのかい

エアル

はぁ…めんどくせぇなぁ

エアル

だいたい、そんなツタお前らの力で十分切れるだろ

トゥール

重力ってご存知?

トゥール

もうとっくの昔に頭の血ぃ登りきってんのよ

トゥール

頭ガンガンしてんのよ

トゥール

なんならお前もこの痛みを体験してみるか?

トゥール

いくらでも吊り下げてやる

エアル

キレてんじゃねぇよ

エアル

まずそのツタ切ってから言えや

フォス

あー…そろそろ意識途切れちゃいそ…

エアル

分かった分かった

エアル

ちょっと待て

少女の瞼から手を離し ローブの中に手を入れ鞘を握る

目を閉じ、ゆっくり刀を抜く…

次の瞬間「ふぎゃっ」と間抜けな声が 聞こえ、目を開ける

フォス

いてて…

フォス

もうちょっとソフトに下ろせないの?!

エアル

俺はご要望にお答えしただけだが?

不貞腐れた顔を見ながら鞘を確認する

エアル

よし、ホコリはついてないな…

トゥール

はぁ…助かったよ…ありがと

エアル

どーいたしまして

フォス

というか何で変化してるの?

エアル

いや、ツタが邪魔だったから引きちぎろうと思って

トゥール

助けに来ると同時に草刈りもしてきたってことか

エアル

そゆこと

フォス

まぁ目的は達成したし変化解いてもいいんじゃない?

エアル

だな

エアル

ふぅ…疲れた

リア

『体大丈夫ですか?』

エアル

あぁ、大丈夫だ

エアル

それにしても、変化は本当に嫌になる…

リア

『どうしてですか?』

エアル

たまに身体能力に体が追いつかない時があってさ、人を傷付けたりしちまうんだよ

トゥール

本当は?

エアル

…感情が表に出やすくなる

フォス

やっぱそっちが本音だよね

エアル

…8対2

トゥール

どっちがどっち?

エアル

…自分らで考えろ

エアル

とりあえず帰るぞ

フォス

はーい

エアル

…なぁ、嬢ちゃん

背中に凭れ掛かっている 少女に話し掛ける

リア

『なんですか?』

エアル

…俺はずっと考えてた

俺らと嬢ちゃんが一緒に 行動出来る方法を

そして、嬢ちゃんの記憶を 取り戻せる最短距離を

エアル

嬢ちゃんさぁ…

背中越しに”提案”する

ただ、一言の提案

エアル

─────俺の娘にならない?
loading

この作品はいかがでしたか?

46

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚