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君は、君を生きているか?

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君は、君を生きているか?

1 - 第一話:鏡の中の僕たち

2025年07月27日

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静まり返った部屋。モニターに映るのは、 笑顔で配信する自分 でもその笑顔が、まるで他人のように見えた。

ないこ

……今日も、ちゃんとできた、かな

笑うたびに、胸の奥が痛んだ。 誰にも見せないその痛みを、 今日もまた、画面の外に隠した。

ないこ

――寝よ

ベッドに横たわり、まぶたを閉じる。 闇に溶けるように、意識が沈んでいく。

???

やっと会えた

ないこ

……誰?

???

僕は――冬心。君の中にいた、もうひとりの“僕”だよ

ないこ

冬心……?

冬心

ずっとここにいた。笑ってる君の背中で、泣きながら見てたんだ。助けてほしくて、でも、声が届かなかった

目の前に立つのは、まるで“自分”そっくりの少年。 でも、彼の瞳には、 ないこが失ったはずの“痛み”が残っていた。

ないこ

君は……僕なの?

冬心

うん。
“君の中の僕”。
ずっと、寂しかったよ。
ずっと、忘れられてた

ないこは息を呑む。 胸が――軋むように、苦しかった。

ないこ

ごめん……何も、覚えてない……

冬心

いいよ。思い出してほしいなんて、思ってない。ただ君に、知ってほしかったんだ。“僕”のことを

闇の中、ふたりは向き合っていた。 忘れられた記憶。閉ざした感情。 その全てが、少しずつ――ほどけていくように。

冬心

ねえ、ないこ。“君自身”って、誰だと思う?

ないこ

……僕は……僕、だよ

冬心

そうだね。でもその“僕”の中に、“僕”もいるんだよ

重なる“僕”と“僕”。 それは、たしかに同じ存在で―― けれど、ずっと遠くに感じていた。

冬心

また、来るね。もう少しだけ、“君”の中にいさせて

目覚めた朝、心に何かが残っていた。 それは痛みでも、悲しみでもない。 “もうひとりの自分”がくれた――小さな灯火だった。

ないこ

……冬心

【第一話 了】

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