国狩り ～影の国民と諸国の光～

アメリカは自宅から飛び出しニューヨークのタイムズスクエアへと向かった

理由はもちろん、抗議の配信をするためだ

配信を開始したばかりにも関わらず、アメリカの元々の人気と『国狩り』の影響で2万人もの同接数を獲得

チャット欄は 「お前を信じる！！」や「オーダー許さねぇ！」など支持が多数だが 「裏切り者！！！」「戦争の元凶！！！」 などアンチも混ざっていた

刺客が短剣を投げ、アメリカの胸を狙う

アメリカは咄嗟に身をひねり、胸への直撃は避けたが右腕をかすめ血がポタポタと流れ出している

スモークグレネードが炸裂し、タイムズスクエアは白い煙に包まれる

刺客たちがワイヤーや短剣で襲いかかる中、アメリカは看板ポールを掴み近接戦で応戦

ポールや短剣の風切り音やワイヤーが擦れる音がネオンの夜に響く

そうアメリカが叫んだ瞬間、紫の光が霧を裂いた

そう言いながらイギリスはティーカップに口をつける

Countryhumansの団結によって、コメント欄は更にカオスになっていた

イギリスが呪文を唱え終わると、紫の光とともに装甲車が現れた

タイムズスクエアを抜け、黒い装甲車が道を突き進む

ハンドルを握るロシアは、鋭い目で前を見据えアクセルを踏んでいる

助手席に座るアメリカはスマホを右手にそう言い、ニヤリと笑う

その陽気さとは裏腹に 左手で素早くハンドサインを送り、ロシアに次の交差点を指示する

真面目な前方に比べ 後部座席はまるで修学旅行

中国はシートに寝そべりながら

と呟き 日本は刀を磨きながら

と相槌を打っている

これには思わず眉をひそめ

と呆れる フランスはレイピアを磨きながら

と言う イタリアは帽子を被り直しながら

と陽気に言った

そんな後部座席の騒がしさの中、ドイツはモニターをいじり終え満足気に一息つく

目的の場所まではあと数マイル

ここで、モニターが甲高い 警報音を上げた

ロシアはハンドルを握り、歯を食いしばる

日本は日本刀の柄を握り、静かに呟く

各国が車から飛び出し、ハイウェイに散開

刺客の黒いシルエットが月光に浮かぶ

無機質な機械音が響き、戦闘が始まった

アメリカは拳銃を連射し 刺客の動きを牽制

弾が火花を散らす

ロシアは頷き、拳を振り上げる

中国は扇子を振り 太極拳の流れで刺客の刃をかわす

扇子の鋭い縁が敵の腕を切り裂く

中国は日本に目配せをし、小さく笑う

日本は日本刀を一閃 刺客の脚を切り落とす

イギリスは魔法の杖を掲げ 青い結界を展開

刺客の飛び道具を弾く

フランスはレイピアを閃かせ 刺客の関節を正確に突き、陽気に笑う

ドイツは重火器を構え 爆発音がハイウェイを揺らす

イタリアは後方で医療キットを構え

刺客の残骸がハイウェイに散らばる

だが 遠くの闇で新たな機械音が響く

アメリカは拳銃を構え直し低く笑う

全員乗り終え 装甲車が再び疾走した

やがて 廃墟のシルエットが月光に浮かぶ

崩れた壁に囲まれた古い工場

ここが Countryhumansの拠点であり避難所

ロシアは車を止め、ドアを開ける

各国が降り立つ

廃墟の中は薄暗く あっけらかんとした風景が広がる

ドイツは比較的新しそうな机に モニターを設置し、冷静に言う

イタリアは医療キットを広げ、笑う

アメリカは地図を広げ、ニヤリと笑った

揚々と意気込むアメリカに反して 日本は何か嫌な予感を感じていた

また武器を構え 廃墟の外へと向かう

日本が立ち止まったのは装甲車の前だ

心配する周りに反して 真剣、鋭い目で装甲車を睨んでいる

すると 何かに気づいたように小さく呟いた

その声に 日本は迷わずGPSを床に叩きつけ 革靴で踏み砕いた

金属とプラスチックの破片が飛び散り 点滅は止まる

遠くの森から かすかな機械音が聞こえる

オーダーの刺客が動く音

フランスがレイピアを柄から抜き 唇を引き結ぶ

その瞬間 廃墟の外で爆音が響き オーダーの刺客のシルエットが闇に浮かぶ

黒い装甲に身を包んだ無機質な影が まるで機械のように整然と迫ってくる

アメリカのその声に

おー！！

と皆で盛大に返事をした