ナレーター
レッスンスタジオ
日野森志歩
それじゃ、始めるよ
星乃一歌
うん、よろしく
天馬咲希
オッケー!
いっちゃん、しほちゃん、やろう!
日野森志歩
(……ふたりとも、ちゃんとついてきてる。
かなり練習してきたみたい)
星乃一歌
(……大丈夫。いける。
ミク達の練習で、完璧に弾けるようになったんだ)
天馬咲希
(音もピッタリ!
これなら、しほちゃんとまた一緒に……!)
天馬咲希
(あ……)
天馬咲希
(やばい……なんか……グラグラしてきた……)
天馬咲希
(ダメ……!あと、少しなのに……)
日野森志歩
……!咲希!?
星乃一歌
咲希、大丈夫!?
もしかして具合良くないの!?
天馬咲希
え、えへへ……隠しててごめんね……。
ちょっとアツくなりすぎちゃった……
日野森志歩
っ……救急車……!
天馬咲希
だ……大丈夫。今日はただの風邪だから……。
ちょっとだけ横になっていいかな……?
星乃一歌
どう?少し、楽になった……?
天馬咲希
……うん、ありがとう。
落ち着いてきたよ
星乃一歌
ずっと一緒に練習してたのに、
体調のこと気づけなくて……ごめん
日野森志歩
……最初に無理させるようなこと言った私が悪い
天馬咲希
ううん。アタシが勝手に
がんばりすぎちゃったのが悪いんだよ
天馬咲希
それに……ちょっと無理しちゃうくらい、
今日は楽しかったの
星乃一歌
……咲希……
星乃一歌
……うん。そうだね。
今日、一緒にできてよかった
日野森志歩
…………
星乃一歌
私、志歩に嫌われたって思ってたから、
もうこんな風に一緒に何かしたりできないかもって思ってた……
日野森志歩
別に、嫌いになんか……
天馬咲希
……ねえ、しほちゃん。
アタシが入院してたあいだに、何があったの?
日野森志歩
…………
日野森志歩
みんなとクラスが離れてすぐの時、クラスの子に、
『一緒に帰ろう』とか『一緒にお昼食べよう』とか、
よくそういう風に誘われてた
日野森志歩
私はひとりが好きだし、一緒に行動する必要はないって思って、
……そういうの全部断ったんだ
日野森志歩
でもそれが原因で、
クラスメイトから避けられるようになった
星乃一歌
…………
日野森志歩
それ自体は別に良かった。放っておいてくれたほうが楽だし。
でも……
[志歩のクラスメイトA]
たまに別のクラスから日野森さんに会いに来てる子いるよね。
星乃さんだっけ?
よく日野森さんとつきあってられるよね
[志歩のクラスメイトB]
ね。小学校からの幼馴染みみたいだけど……。
なんか、日野森さんと同類って感じするよね
[志歩のクラスメイトA]
あ、それちょっとわかるな。
ぶっきらぼうっていうか、周りのことどうでもいいっていうか
[志歩のクラスメイトB]
クールぶってるところがちょっと嫌だよね。
自分は他とは違うから馴れ合わないぞ、みたいな感じしてさ……
日野森志歩
……陰でみんなのことまで悪く言われたから、
思わず言い返して……そうしたら余計にいろいろ言われて……
日野森志歩
……私は別にいい。
でも、私のせいで、一歌達まで悪く言われるのは……イヤだから
天馬咲希
だから……ずっとひとりでいようって思ったの?
日野森志歩
……そう
星乃一歌
そんなの、言ってくれたら……!
日野森志歩
言ったら一歌は心配して、絶対様子見に来るでしょ。
そしたらもっと酷くなる。だから……
天馬咲希
……よかった。
やっぱり、しほちゃんも変わってなかったんだ
天馬咲希
いっちゃん達のことが大切だから、我慢してたんだよね
日野森志歩
…………
星乃一歌
志歩……。私は、誰に何言われても、志歩と友達でいたいよ
日野森志歩
…………
日野森志歩
……ハァ。
やっぱり、こうなるよね
星乃一歌
え?
日野森志歩
本当に一歌達のこと考えてるなら、
セッションなんかしなきゃ良かったんだ
日野森志歩
弱いな……私
日野森志歩
でも……私はちゃんと、警告したから。
もうーーー知らないからね
星乃一歌
『……!』
天馬咲希
『……!』
天馬咲希
しほちゃん、それって……
日野森志歩
……一緒にバンド、やらせてよ
星乃一歌
もちろんだよ……!やろう、志歩
日野森志歩
うん
天馬咲希
……やった!やったぁ!
しほちゃんとバンドできるよ、いっちゃん!
星乃一歌
うん……!
天馬咲希
もしかしたらほなちゃんも、
ちゃんと話したら、戻ってきてくれるかもね!
星乃一歌
あ……
天馬咲希
もう一度話してみようよ!
それで、今度こそ4人で一緒に……あっ……
星乃一歌
咲希、急に立ち上がったら危ないよ。
もうちょっと横になってて
日野森志歩
はぁ……咲希はまず体治すこと。
穂波のことはその後考える。いい?
天馬咲希
は~い……ふふっ