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いつものように ショ ー ケ ー ス に ケ ー キ を並べ 、コ ー ヒ ー 豆をセットする
あの頃の私からは全くもって想像できない日常
舞台に立ち 、ライトを浴び 、歓声を貰う
私は元々 アイドル だった 。
テレビに出て 、歌って踊って …
そんな日々も 、遠い思い出
ステ ー ジ の 私 と 今の 私 。
どちらも私なのに 、まるで別人のように感じる 。
あの頃は一分一秒が忙しく 、疲労と緊張の連続だった。
振りまく愛も 、笑顔も 、歌も 、踊りも 、
すべて「仕事」として身につけたもので 、果たしてそれが本当に自分のしたいことだったのかは全くわからない 。
… それでも 。
一度思考を切り替えるように息を吐く 。
今は今だ 。
それに変わりは無い
翠
桃葉
桃葉
翠
そう言って彼は笑う
翠はここのバイト
桃葉
桃葉
翠
カウンターの奥で電源を入れ、ミルの音を確かめる 。
ドアの札を CLOSE から OPEN へ
CafeLeafの一日が静かに始まった 。
午前中は基本穏やかで 、客は少ない
店内には 珈琲 の 香りが広がる
私はカウンタ ー の 内側で 珈琲 を淹れていた
カウンタ ー の 向こうから 話し声が聞こえる
くすくすと笑う声と何気ない会話。
聞き流す程度にしていたら突如話題を振られた
一瞬動きが止まる
私はカップをソ ー サ ー に置いてから 、顔を上げた 。
桃葉
桃葉
桃葉
本当に 本音だった
誰かに想われることも 、想うことも 、全部どこか遠い話で実感がない。
アイドル だった頃は 、「 好き 」 や 「 愛してる 」なんて言葉を 振りまき 、時には何百回と聞いてきた
でもそれが私個人に向けられたことはあまりなかった 。
あくまで役割としての私に向けられた 、熱 。
だからきっと 、私は恋をする感覚をどこかで置き忘れてきたんだと思う。
桃葉
これ以上この話題は広がらなかった
カウンターの端で 、翠が静かに作業をしている 。
私の会話を聞いていたのかいなかったのか 、表情はいつも通りだった 。
桃葉
翠
その返事を聞きながら 私はまた次のコーヒーを淹れる 。
カップから立ちのぼる湯気は 、ステージのライトよりずっと優しい 。
恋愛は 、できるものならしてみたい
それでも果たして 、このままの自分を好きになってくれる人はいるのだろうか
今日もCafé Leaf は 穏やかである
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝ 「 それだけ 」