どれくらい時間が経ったのか……
陸が目覚めた時
校内にはチャイムの音が響いていた
松崎陸
…………
不意に時計を見ると
丁度、四時間目の授業が始まった直後だった
橘(養護教諭)
気分はどう?
松崎陸
さっきよりは……
橘の問いに答えた直後
織部(担任)
起きたか……
織部が保健室に戻ってきた
松崎陸
先生……
織部(担任)
気分はどうだ?
松崎陸
さっきよりは……いいかなって……
織部(担任)
そうか
松崎陸
うん……
橘(養護教諭)
あのね、松崎君……
橘(養護教諭)
さっき見えちゃったの……腕の……
松崎陸
あ……
松崎陸
こ、これは……
慌てて腕を隠そうとするも
既にリストバンドがずれていたため
イルのつけた傷が少し見えてしまっていた
今までずっと隠し続けてきた秘密
両親にも空にも
大好きな海にも言えなかった
イルだけが知っている秘密を
織部と橘に知られてしまった
松崎陸
こ、これは……
松崎陸
その……
松崎陸
えっと……
松崎陸
お、俺……
激しく動揺する陸
橘(養護教諭)
落ち着いて……
織部(担任)
大丈夫だ……
松崎陸
で、でも……
松崎陸
俺……
織部(担任)
大丈夫だから……
織部(担任)
一旦深呼吸しよう……
織部の言葉に涙が溢れる
織部(担任)
お母さんは知ってるのか?
その問いに首を横に振る陸
織部(担任)
他にこの事を知ってる人は?
松崎陸
と、友達が一人……
織部(担任)
クラスのやつか?
松崎陸
違う学校の……
それはもちろんイルのことだった
初めて会ったあの日
二人は誓いを立て
お互いの腕に傷を作り
もう二度としないと誓い合った
松崎陸
もうしないって……誓ったんだ……
松崎陸
だから……
織部(担任)
よしよし……
織部(担任)
わかった……
織部(担任)
これ以上は聞かないから
織部(担任)
でも、もしまた辛くなったら
織部(担任)
言っていいんだからな……
橘(養護教諭)
話したくなったら、織部先生か私に話して
溢れる涙をぬぐいながら
陸は一度だけ頷き
再び眠りについた
橘(養護教諭)
よほど疲れていたんでしょうか……
織部(担任)
家で何かあったのか……それとも学校内で何か……
橘(養護教諭)
自分で自分を傷つけるなんて……
織部の脳裏に陸を追い回す麻衣子の姿が浮かぶ
織部(担任)
(まさか松田が……)
橘(養護教諭)
私ちょっと、知り合いのカウンセラーに話を聞いてみますよ
織部(担任)
ありがとうございます
織部(担任)
私もちょっと、松崎の母親に話を聞いてみます







