マフィアパロディ

部屋には誰も居ない、俺だけの 空間。

自分の愛用パソコンを開いて、 慣れた手つきでキーボードを叩く。

「向井 康二」

5ヶ月前に新人として入ってきた 期待の幹部らしい。

俺は高校生の時に関西から関東へ 引っ越してきた転校生。

だから、俺は関東のノリとか空気が 全く読めずにクラスでは少し 浮いていた。

その上、虐められたりもした。

俺はもっと生き生きしてたハズなのに。

他人の笑顔が、笑わせる事が、笑う事が 好きだったのに。

家には誰も居ない、一人暮らしだから 学校が終わってからはよく泣きながら 知らない道を歩く事が多かった。

……だけどその日は違った。

知らぬ間に奥深くまで 来てしまっていた。

「……誰お前。」

明らかに闇の人間。

殺されてしまう。

と言って、リーダーらしき人は 俺の事をジロジロと見てくる。

着いていくと、そこは普通の部屋の様で、ベッドや机などの家具が置いてある。部屋は整理整頓されていた。

棚を漁る知らない男性は、白い箱を 持ってきた。

その箱を開けながら、俺にそう問い掛けた。

上の制服を脱いで、さらけ出した肌を 彼に見せる。

そう言われ、消毒液を染み込ませたコットンを腕に付けられる。

その瞬間に腕から痛みが走る。

それだけ聞いて、後は黙々と傷の 手当てをしてくれた。

翔太と言う人はこの部屋から 出ていった。

ﾋﾟﾘﾘﾘﾘ

……そして、知らない部屋でただ1人 俺は残された。

彼が出ていってから10分程が経過 した。

俺は未だに決められずに居た。

……その時だった。

ﾊﾞﾝｯ!!!

銃声が近くで、本当に近くで 聞こえた。

そして、誰かが階段を登って 此方に向かってきている。

そう思っていたのも束の間、扉が 開かれる。

そう言われた瞬間、手首を迅速に 拘束された。

彼の片手に込められた物凄い力で 俺の手首を締め付けている。

一瞬の出来事で何か分からず、ただ 手首に感じる痛みしか分からなかった。

頭に突きつけられたのは、銃だ。

そして、俺の手足は紐で縛られる。

携帯を取り出し、誰かに電話を している。

ビデオ通話で、俺の姿が映される。

銃で、お腹辺りをドスっと 思いっきり殴られる。

彼は窓から飛び降りてどこかへ 行ってしまった。

その瞬間、再び部屋の扉が 開く。

これが、俺がマフィアの世界に 入るまでの過去だ。

"翔太"君にしようかな？