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君が遺した四つ葉

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君が遺した四つ葉

3 - 最悪な出会いを。

♥

632

2025年10月04日

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看護師

ねぇ、聞いた?、

看護師

え?、なになに??、

看護師

天馬先生のこと!!

看護師

えぇ、聞いた聞いた!!

ツカサ

……………。

看護師

やばいよねぇ、

看護師

それ!、ほんとショックすぎて、

ベラベラと話し続ける看護師の隣を素通りする。

看護師

え、天馬先生ッ"!?

看護師

う、うそっ!?

ツカサ

(チッッ、話す暇があるなら仕事しろよッ、)

移動が決まってからというもの、オレの機嫌は頗る悪い。

一見して見れば、普通に見えるが内心は本当に煮えたぎっていた。

ツカサ

(くっそッ"、イライラするッ")

患者

ぁ、天馬先生ッ"

チッッ、なんで今なんだよッ"

仕事上、無視して行くなんて出来やしない。

患者が呼んでいる。

医者であるオレを……呼んでいる。

ツカサ

……どうされました?((ニコッ

患者

あぁ、ごめんね、凄く急いでいるようだったから……

ツカサ

えぇ、少々用事が……((ニコッ

患者

そうだったの?、

患者

少し聞きたいことがあって…

ツカサ

……………、

ツカサ

聞きたい事とは移動のことでしょうか?、((ニコッ

患者

えぇ!?、よく分かったわねぇ、!

ツカサ

(笑顔笑顔笑顔笑顔笑顔、)

ツカサ

(大丈夫、大丈夫だ、オレ。)

頬がぴくぴくと引き攣る。

無理やり作られた笑顔が上手く保てない。

患者

移動…されるの?、

ツカサ

……えぇ、移動が決まりまして、

患者

じゃ、じゃあ、もう診てもらうこともっ、

ツカサ

生憎ですが、厳しいですね、

患者

………そっか、、

何時診たかも分からない、この患者。

名前も病名も、カルテも、思い出せやしない。

ただのパッと見で何の病気か判断するのみ。

ツカサ

(名前もカルテも何か貼り出してくれれば、仕事の効率は上がるだろうな。)

患者

ど、何処に移動するの、?

ツカサ

…………小児外科、ですね((ニコッ

患者

しょ、小児科!?、

ツカサ

ですので、成人の方はもう診察出来ませんね、((ニコッ

口にした言葉ですら、怒りが隠せない。

オレが小児外科の医者?、

考えれば考えるだけ反吐が出てくる。

患者

そっか、本当に会えないのね……

会う目的で来ていたのか、こいつは。

ツカサ

オレよりも腕の良い医者はいます。必ず貴方のことを助けてくれますよ((ニコッ

この現場ともお別れだ。

患者

……そうね、ごめんなさい、忙しい中引き止めちゃって、

ツカサ

いえいえ、大丈夫です((ニコッ

振り返っても何も残るものはなかった。

仕事、仕事とやってきたのみ。

患者が死んでても、

病態が良くなって退院しても、

特に何も響くものなんて無かった。

ツカサ

…………鬱陶しい。

ただ残るのは、

何処にも変え難い怒りのみだった。

__小児外科の移動。

小児、それを聞くだけでも嫌気がさしてくる。

ツカサ

(オレが子供を見る?、)

ツカサ

(それに、)

院長から貰った担当患者のカルテ。

中身はすっからかんで。

ツカサ

(難病持ちの小児外科の問題児。)

ツカサ

(自傷癖に自殺行為が多数。)

こんな奴が何故病院にいるんだ?

それに、

ツカサ

(家庭環境も劣悪か?、)

カルテの枠に綺麗な空白がぽつりと目立つ。

家庭欄には何も無く、電話番号も関係も特に書かれていない。

ツカサ

(何がピッタリだ、)

結局、アイツの良いように丸め込まれただけだ。

ツカサ

……………はぁぁ、

ツカサ

(仕事を辞めることも出来なければ、オレに残っているものなんて、)

奥の方まで続く廊下をぼんやりと眺める。

何の変哲のない、何処までも続いていく廊下。

これから、上手くやっていけるだろうか。

……こんな時、誰かが傍に居てくれれば。

ツカサ

……………。

ふらふらと小児外科の病棟へと歩く。

これから何が起こるかなんて分からないが、良い事が無いのは確かだ。

ツカサ

………嫌気がさすな、

ツカサ

(……何も無いとは、こんなにも__)

???

…………。

???

……っ、!!((タッタッ

ツカサ

………む?、

ツカサ

(こ……ども?、)

目の前を走る小さな影。

その影は突然廊下に伸び、消えていった。

ツカサ

(こんな廊下に子供なんて珍しい、)

ここの廊下は極めて人通りが少ない。

……医者であんな小さいヤツ、居ただろうか。

それに走っていった場所は……。

ツカサ

(……着いていくか。)

その時も何も考えていたなかった。

ただ、気になっただけ。

あの子供を探そうとか、見つけ出そうとか、一切考えていない。

本当に自分の好奇心だけで。

ツカサ

(……何故か嫌な予感がする、)

少し過ったこの雑念が、

この後起こる最悪な出会いに繋がるとは知らずに。

ツカサ

(あぁ、やはり屋上だったか。)

階段を上がって扉を開けば、広がる青一色の世界。

暖かい風が心地いい。

ツカサ

(……久々に外に出たな)

靡いて揺れる髪が少々邪魔だが、気分を紛らわすには丁度良かった。

ツカサ

(にしても、日差しが強い、)

ギラギラと照らし続ける太陽に目眩を覚える。

外に出る回数も増やすべきか?、

ツカサ

(そんな暇は無駄に過ぎない、…が)

ツカサ

今日……ぐらいは、

今はただ風に吹かれて居たかった。

先が見えない未来に不安を抱く気持ちを抱えて。

まさか、病院にもこんな施設が…

まぁ、ただの屋上だが。

綺麗な青空に手を伸ばす。

ずっと続く果てしない青空に。

ツカサ

…………。

_ガシャンッ

ツカサ

……あぁ、幻聴が

………………、

ツカサ

……え?、

素足のままフェンス越しに立つ青年。

靴は丁寧に揃えられており、その周りには血が飛び散っていた。

その光景に不思議と釘付けとなる。

ツカサ

(…………人間だよな、)

まるで漫画から飛び出してきた者のような青年は美しく

そして何処か儚い。

ツカサ

………?、

ツカサ

(こちらには気づいていない?、)

紫の髪は綺麗に揺れ、表情も見えない。

ツカサ

(……何かの気晴らし、か?)

ツカサ

(あんな危険なことしなくても…。)

青年は下をまじまじと見つめていた。

……そんな、まさ…かな

脳裏に浮かぶ嫌な予感に早まっていく鼓動。

手が妙に震えている。

ツカサ

(んな、そんなこと、)

ツカサ

(ここは病院…だぞ?)

ツカサ

(まさか、……そんな、)

人の死なんて何回も直面してきた。

何回も見てきた。

ツカサ

(考えすぎだ、……働きすぎ、働きすぎなんだッ)

その日は、やけに風が吹いていたと思う。

背中を押してくれるような風が何回も。

…………、((フラッ

ツカサ

…………あ"ぁっ、!!

青年の体がふんわりと浮く。

予期した違和感は、

ツカサ

……ッ"っ、まに、あえッ"っ!!

予想的中だった。

…………?、

ツカサ

はぁ"ッ"っ、はぁ"ッ"っ!!

間一髪だと思う。

もしあのまま、立ち止まっていたら。

この青年に未来は無かったんだ。

ツカサ

(身体が勝手にッ"っ、)

フェンスに捕まり、腕一つで引っ張っている状態。

そう長くは持たないだろう。

…………え?、

ツカサ

お"ぃッ"っ!!、おまえッ"っ!!

……ぁ…?、

ツカサ

腕が血だらけではないかッ"っ、もう一つの手を……ッ"っ

……ッッ"っ、!

離してッ"っ、!!

ツカサ

……ッ"!?、

ツカサ

あッ"、ちょッ"っ、動くなッ"!

暴れ出す青年を腕1本でなんて不可能に近い。

ぷるぷると震える筋肉で何とか持ちこたえようと踏ん張る。

こいつ、今離して、とッ"、

ツカサ

〜〜〜ッ"っ、!

ツカサ

(重いッ"、重すぎるッ"!)

ツカサ

はやくしろッ"っ、!

離してと言ってるんだッ"!!

ツカサ

はぁッ!?、お前、今どういう状況なのか分かっているのかッ"!?

わかってるも何も僕はここから飛び降りたいんだッ

だから、離してくれッ"!!

ツカサ

何故ッ"、何故そこまでッ"っ

まずい、手がッ"、

ツカサ

(頑張れオレッ"、もう少し持ちこたえろッ")

ツカサ

ともかく、手を出せッ"、

嫌だッ"っ!!!

ツカサ

……ッ"っ!!

ツカサ

そんなに死にたいのかッ"!?

ツカサ

こんな屋上で誰一人として見られずに、一人で死ぬことにッ"、

……ッ"、構わないッ"、

僕は…僕はずっと、ずっと一人ぼっちだッ"

生きる理由も、意味も何も残っていない、

……コイツッ"っ、!!

澄んでいた瞳が一瞬にして光を失う。

ツカサ

(あぁ、なんでそんな目をするんだ、)

何かを諦め絶望しきった、その瞳。

それは1番オレが知っている。

ツカサ

〜〜ッ"っ、!!

ツカサ

そんなもの知るかッ"っ!!

えっ、ちょっとッ"っ!?

頭に血が上るような今までで出したことも無い力を腕に集中させる。

そして、勢い良く_

ツカサ

ずっと、ずっと一人ぼっちッ"?

ツカサ

生きる意味も理由ないッ"?

ツカサ

笑わせるなッ"っ!!!

…………っ、!

_グイッッ!!

ツカサ

……い"ッっ、

腕に痺れるような痛みが走ったがそんなことは気にせず、

青年をぎゅっと強く抱きしめる。

__ガシャンッッ"!!

ぁ……あぁ、何で、…

ツカサ

はぁ"っ、…はぁ"っ、…

……ッッ"っ、離せってッッ"っ

ツカサ

離すわけ無いだろッ"!!

……っ、!!

知ってるんだ、その瞳の奥そこで、

ツカサ

命をなんだと思ってるッ"、

ツカサ

自分勝手に捨てて、自分を傷つけてッ"、

ツカサ

今日、生きたくても生きれない奴が居るんだぞッ"!?、

ツカサ

明日を震えて待ち望む奴が居るんだぞッ"!?

ツカサ

そんなやつの為にッ"、

うるさいッ"っ、!!!

うるさいッ"、うるさいッ"、!!

そんな説教、聞きたくもないッ"!!

胸の中でドタバタと暴れ回る。

それを離さまいとより一層強く抱きしめる。

僕はもう…死にたいんだ、

こんな世界も、こんな自分も大嫌いだ…

ツカサ

…………、

家族もいなければ、周りに寄り添ってくれる人も居ない、

自分にあるものなんて、壊れていく身体のみだ、

僕が死んだところで誰にも響かないし、…誰の心にも残らない、

だったら、

せめて、飛び降りて死んだら、

……周りは嫌でも見てくれる。人に囲まれて、

もう……、一人じゃなくなる、

胸元の方をぎゅっと強く掴まれる。

瞳の奥底に見えるSOS。

ツカサ

……もう、1人ではないだろう、

………………ぇ、?

綺麗な黄色い月のような瞳に少しだけ光が灯る。

ツカサ

神代……ルイ、だよな

ルイ

……ぁ、ぇ、僕の名前っ、

ツカサ

難病持ちで小児外科での問題児、

ルイ

……う"ぅ、、

ツカサ

野菜嫌いで自傷癖に、自殺行為も多数。

ルイ

………………、

ツカサ

そして、極度な人間不信。

ツカサ

全部知ってる、

ぁ、れ、オレ…自然に笑えて?、

今まで出したこともない声色でそっと囁く。

ツカサ

でも、まだ知らないこともあるな、

ツカサ

そうやって苦しそうに飛び降りようとしてるのは知らなかったし、

ツカサ

一人が嫌いなこともオレはまだ知らない。

ルイ

………………ッ、

ツカサ

だが、確信して言える。

ツカサ

お前はもう一人じゃない、

ツカサ

お前のことをオレは絶対に一人にしない。

ルイ

そんな……こと、はっ、

ツカサ

今は難しいかもな、

ぐすんっ、と啜り泣く声が聞こえてくる。

青年…いや、ルイが飛び降りようとした時。

確かにあの時ルイは__

ツカサ

今は思う存分泣け、

ツカサ

オレが絶対に証明してみせる、

ツカサ

お前が安心して信じて貰えるよう

ツカサ

もう一人では無いと自覚出来るまで、

ツカサ

ずっと、…隣に居てやる。

ルイ

……ぁ"、あぁ"、っ、、((ポロッ

ツカサ

泣いても拒否ってもオレはお前を見捨てたりしない。

ルイ

ぁ、あ"ぁ"ぁ"ぁ"ッッっ!!((ポロポロ

何故あんなことを言ってしまったか、なんて

今でも分かりっこない。

アレだけ人間に興味や関心を示さなかったオレが

何故あんなことを口に出来たのかなんて、分かるわけない。

ツカサ

(でも、でも…なぁ、)

ルイ

う"ぅ"ッッっ、!!、((ポロポロ

ツカサ

お、おぉ…あんまり白衣濡らすなよ

ツカサ

洗うの大変なんだから……

ルイ

……ひっぐッ"っ、((ポロポロ

ツカサ

………………、

あのまま、止まることだって出来た。

立ち止まって見ることだって出来た。

ツカサ

…………よしよし、?((頭撫

ツカサ

(こ、子供とは何をしたら泣き止むんだ??)

ルイ

あ"ぅ"…ッ"っ!!!、((ポロポロ

ツカサ

こらっ、お、おい、思う存分泣けとは言ったが…っ、

飛び降りる時にあんな顔されたら、

まるで昔の自分のようだった。

だからきっと、助けたかったんだと思う。

ツカサ

(これから面倒だな……)

溜息混じりにオレはまたより一層強く抱き締めた。

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コメント

7

ユーザー

天馬先生、類くんに会う前にはめちゃくちゃイライラしてたのにあったら会ったで本心で優しくしてるのが本当に大好きです

ユーザー

むっちゃいい ごめんなさい語彙力どっかいきました 続き楽しみにしてます!

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