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縁の短編ストーリー集

11 - 『雨雪を翔ける二つの剣は。』二人の出会い編

♥

20

2023年08月23日

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このお話は『雨雪を翔ける二つの剣は。』の本編を読んでからの方がより楽しめます!

もし、本編を読んでないよという方がいたらぜひ一度読んでからこちらをお読みください♪

それではどうぞ!

最初は、ただ面倒を見るだけだった

十三年前、俺が八つだった時のこと

彼方

え…?

???

…………

組織の所有する屋敷の庭で、俺が少し歩いていた時、1人の子どもが道でしゃがんでいたのが始まりだった

彼方

(誰だろう、組織にこんな小さい子どもなんていたか…?)

   

あ、おい"真冬"!

そう言いながら駆けつけて来た人は、その白髪の子どもを抱き上げた

彼方

…その子、誰ですか?

   

あぁ、彼方はまだ知らなかったな

   

こいつは"真冬"って言うんだよ

初めてその名前を聞いて、なんだか真っ白な髪色に似合った名前だな、なんて思った

   

どうやら、事故で両親がいないらしいんだよ…路地裏にいたところを、俺らが拾ったんだ

   

ただ、うちは今忙しい奴が多くて、面倒が見られなくてなぁ

彼方

へぇ……

   

…あ、彼方に任せればいいのか

彼方

はぁ…?

彼方

いや、何でそんな急に…

   

頼むよ、今忙しくないやつはお前くらいしかいないし、年も二つしか変わらないんだから仲良くなれるって!

彼方

まあ、いいですけど……

   

そうか!よかった!

   

じゃあ早速頼んだ!俺は任務があるから行ってくる!

彼方

は、はい……

彼方

(すごい急だな…それだけうちが人手不足だってことなんだろうな)

真冬

………?

彼方

え、えぇっと……

彼方

ま、真冬…?

真冬

真冬

は、はい…っ

彼方

俺、一ノ瀬彼方

彼方

……よろしく

真冬

よ、よろしく…お願いします……

彼方

(…まだこんなに小さいのに、俺に敬語で話してるし、お辞儀して礼儀正しいな……)

彼方

(いや、敬語なのは俺が警戒されてるからか)

正直言って、いきなり頼まれた世話役を、俺は最初あまり真面目にはやりたく無かった

あの時は剣のことばかり考えていて、小さな少年に気を配る余裕はなかったから

でも…

彼方

はぁ…はぁ…

彼方

(まさか大人がやるような作業を俺に任されるなんて、人手不足すぎるだろ…)

彼方

(それにこの屋敷広いから、俺の部屋からかなり距離あるんだよな…)

彼方

…移動だけで疲れるな

真冬

…………

彼方

えっ…真冬?

真冬

あ、彼方さ……

ある日、部屋に戻る途中の廊下に真冬が泣きながら立っていた

そして俺の姿を見つけるなり、俺の元に駆け寄って来た

彼方

お前、部屋にいたはずじゃ…?

真冬

…起きたら、彼方さんいなかった

彼方

え…?

彼方

まさか、屋敷中探したの…?

真冬

…うん

真冬

お母さんとお父さんみたいに、いなくなっちゃったらどうしようって思って…

彼方

……!

真冬

…だめでしたか?

小さいながらに理解した、真冬のこと

両親が突然居なくなってしまった様に、俺が急に姿を消したのに驚いてついて来たのだろう

彼方

……駄目じゃないよ

何の前触れもなく、大切な人がいなくなった時の辛さは、俺もわかるから

彼方

真冬、安心していいんだよ

真冬

…?

彼方

俺は勝手にいなくなったりしないから、心配しないでいい

真冬

ほんと?いなくなったりしないですか?

彼方

うん

真冬

っ……!

彼方

…真冬、部屋戻ろう

真冬

はい…っ

真冬

…あの

真冬

お手手、繋いでいきませんか?

彼方

っ!

だから

彼方

……ふふっ、わかった

真冬

…!!

真冬

ありがとう、ございます!

真冬

…お約束ですよ、僕に何も言わないで勝手にどこか行かないでくださいね

俺よりも年下で、俺と同じ思いをした真冬のことを

俺は、家族みたいに接したいと思った

真冬が俺を追いかけて来たあの出来事から少し経った

真冬は最初に見たものを親だと認識する雛鳥のように、俺にすぐに懐いた

真冬

彼方さん、彼方さん!

彼方

ん〜…?

真冬

おはようございますっ!

彼方

うん、おはよ……

彼方

…………

真冬

…彼方さん?

バシッ!

彼方

痛っ…!!

真冬

えへへっ、おはよーございます!

彼方

叩く力強すぎるだろ…

彼方

…ていうかまだ時間じゃないから、あと少し寝させて……

真冬

ん〜……

バシッ!バシッ!

彼方

わかった!起きる、起きるから……

懐きすぎたのか、幼いからなのか、真冬は俺にべったりだった

俺と真冬が同じ部屋なのも、そんな理由があったからだ

俺は正直言って、真冬が大きくなったら部屋を分けたがるだろうと思っていた

実際組織からもそう言われてたし、俺が十六、真冬が十四の時に半ば強制的に部屋を分けられたこともあった

でも……

彼方

…………

ごそっ……

彼方

ん……っ…?

彼方

…はっ!?真冬……

真冬

ふふ…組織の目をくぐって来ちゃいましたよ

彼方

何でだよ…一人でも寝れるだろ、子供じゃないんだし……

真冬

だって、隣に彼方さんが居るのに慣れちゃって寝れないんですよ

真冬

じゃあ彼方さんは、僕がせっかくここに来たのに追い出すんですね…?

彼方

いや、それは……っ

彼方

………はぁ、わかった

真冬

! ありがとうございます…

真冬

じゃあ早速なんですけど、もう少しそっちに詰めてくれます?

彼方

つまみ出すぞ

十四にもなって、寝る為に部屋に忍び込むなんてと思った

ただ、俺はどうやら真冬に"甘い"らしいから、追い出せずにそのまま寝た

次の日に、組織の人にしっかり怒られたけど

普段は俺が真冬のことを気にかけていたけど、真冬もまた俺のことを気にかけてくれていて

彼方

…………

真冬

彼方さん、どうしましたか?

彼方

……いや、何でもない

真冬

ん〜…?

真冬

…彼方さん!

彼方

…何、まふ……

彼方

わ…っ!

彼方

何、急に抱きついて…

真冬

…僕、昔彼方さんにこうやってもらって嬉しかった思い出があるので

彼方

…!!

真冬

だから、そのお返しですよ

彼方

…ありがとう、真冬

真冬

元気出ました?

彼方

うん、ありがと

真冬は俺の、そして俺は真冬の異変にいち早く気づくことができた

このようなこともあってか俺たちは、約十三年もの間を共に過ごすことになった

そして現在…

彼方

…………

真冬

彼方さーん?

真冬

…寝てるんですか?

彼方

ん…?

真冬

あ、起きた

真冬

ほら、もう稽古も終わりましたし、戻りますよ!

彼方

うん…

真冬

この呼びかけで起きなかったら、僕彼方さんを置いてくところでしたよ〜

彼方

置いてくな

真冬

あははっ!冗談ですよ〜

彼方

(あの小さい時の純粋な真冬とは大違いの性格…)

彼方

(こういうとこ、誰に似たんだ…?)

俺のことをよくからかってくるし、俺を新技の実験台にするし、寝てる時わざわざ俺の布団とってくるし…

成長して少し捻くれたところは増えたけど

真冬

ん?どうしました彼方さん…

剣の腕とか、性格とかは良い方向に成長した気がする

彼方

…いや、なんでもない

誰よりも真冬のことを一番近くで見てきたからわかることがある

真冬は、誰よりも『大人』になった人だ

〜おまけ〜

真冬

あ、そうだ彼方さん!

彼方

何?

真冬

今日部屋に帰ったら、やりたいことがあるんですけど…

彼方

嫌だ

真冬

えぇ!?せめて話を聞いてみてからでもいいんじゃないですか?

彼方

お前がそういうことはろくな事がないんだよ

真冬

まあまあそう言わずに、僕の新技試させてください!ねっ!

彼方

…………

前言撤回。やっぱりコイツまだまだ子どもだった

みなさんこんにちは、縁です!

今回は『雨雪を翔ける二つの剣は。』の番外編でしたが、いかがでしたか?

もう小さい時の真冬くんが可愛すぎて、書いてて何度か心臓が止まりかけました…←

ちなみに真冬くんが小さい頃から敬語なのは、亡くなったお母様の癖だったからです…

もしよければ、この2人の小さい頃の妄想をいくらでもしてください!!

そして欲を言えば、どんなお話なのか教えて欲しかったり…((((殴

というわけで、この辺で終わります!

縁でした!

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コメント

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ユーザー

幼いまふくん…めっちゃかわいい… なるほど…そらるさんはまふくんの 親代わりみたいなものだったんだねw そらるさんにべったりなまふくん…天使w 本編のあれはそうゆうことか…… ただ面倒を見るだけの存在だったけど 一緒に過ごしていくうちに”大切な存在” になってたんだね…… 出会い編、ありがとうございます!

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