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注文の多いチェーン店【全六章+a】

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注文の多いチェーン店【全六章+a】

9 - 猫のチェーン店【おまけ】―日常―

♥

7

2020年09月06日

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理彩

えぇー……

理彩

予定あったの?

カランとコップの中の氷が心地よい音をたてる

絵里華

昨日も言ったじゃない

理彩

そうだっけ?

絵里華

言った

絵里華

三回は言った

裕子

ごめんね、リサ

絵里華と裕子は私たちのそれぞれの幼馴染みだ

もちろん

リサが絵里華 私が裕子だ

志織

リサは忘れっぽいからね…

志織

気にしなくていいよ

理彩

失礼ね!

理彩

この頭は大切なことに使ってるから容量がいっぱいなの!!

志織

どうせ食べたいスイーツでいっぱいなんでしょ?

リサのテーブルには所狭しと限定スイーツが並べられている

理彩

そうよ! 何か悪い!?

そこで開き直られても困るのだけど…

一応 言っておくがここは猫カフェだ

デザートメインで食べる人間がどこにいようか……

絵里華

とにかく、私と裕子はコンテストに出ないといけないから

絵里華

今週末は無理

志織

その大会?って賞金が出るって言ってたよね

裕子

うん

裕子

まだ賞金の額は発表されてないんだけど…

裕子

私たち学生が手の出せないくらいの額だってことは確かね

ずっと抱いて 膝で眠りこけている三毛を撫でながら裕子が答える

理彩

それ すごくない?

理彩

私も参加しよっかな…

理彩

そのベルメイズって大会

志織

"ブルメイズ"ね

絵里華

残念

絵里華

チームは2人で参加しなきゃならないの

理彩

じゃあ、私 志織と組む!

志織

えー やだよ

理彩

なんで!?

志織

だって、おっきな迷路から2人一緒に脱出しないといけないんでしょ?

志織

絶対無理だもん

方向音痴だし

志織

私 運動苦手だし

巨大な迷路でリサと二人 迷子になるのがオチだ

志織

キツいのは嫌!

理彩

お金 欲しくないの?

スイーツを凝視しながら、こちらに問いかけられても返答に困る

やっぱりリサは賞金を全てスイーツにつぎ込むつもりだ

絵里華

で?

絵里華

志織たちはどこに行くの?

理彩

ふふ…

理彩

エリ!

理彩

よくぞ訊いてくれた!!

がたりと音を立てて立ち上がるものだから、それに驚いて数匹 猫が足元を逃げていく

絵里華

リサに訊いてない

裕子

まあまあ…

理彩

私たちが行くのはここよ!!

いつの間に起動させていたのか、スマホを絵里華に見せつける

絵里華

海猫 軒……?

グルメサイトのページの検索にひっかからない分類不明の謎の料理店

★4.9を持つ人気店らしい

しかし私はその評価は怪しいものだと思っている

サクラの可能性だって捨てきれない

だけど私たちは今週末 そこに行く予定になっている

勝手にフェリーのチケットを私の分まで買われては、断りきれなかった

理彩

ここにある幻のデザートを――

志織

デザートのお店と決まった訳じゃないでしょ

どのような料理店なのかという情報は一切なし

幻のデザートスイーツがあるとリサは信じてやまないが

そんな都合よくスイーツ店な訳がない

絵里華

ふーん

絵里華

伊豆大島か…

絵里華

帰ってきたら お土産お願いね

理彩

えぇー……

絵里華のこういう抜け目なさはリサと似たところがある

理彩

………

理彩

賞金山分けで手を打ちましょう

大袈裟な振る舞いでリサが口を開く

絵里華はキリッと鋭い目線をリサに送る

絵里華

10%

理彩

いや 20%

リサは間髪入れずに答える

絵里華

……15%ね

理彩

やった!

私は友人が幼馴染から現金をむしりとった瞬間を見た

裕子

わ 私…志織とも山分けするからね!

苦い顔をしていたのを勘違いされたらしい

別に大丈夫だから

リサを見るような目で私を見ないで!!

スイーツの亡者の殺気を感じてか、先程から猫たちがこのテーブルに寄りつかなくなった

あれでも一応 彼女は猫を飼っているのだけど…

裕子

よしよし

残っているのは、裕子の膝ですやすや眠っている三毛だけだ

理彩

ほーら

理彩

おいでおいで

渾身の猫じゃらしも無視された

理彩

何でこっちに来てくれないの?

リサ、胸に手を当てて考えてごらん

絵里華

リサって蜜柑の皮って感じだよね

理彩

え?

みかんの皮……?

理彩

どういうこと?

絵里華

蜜柑の皮の成分に『リモネン』っていうのがあってね

絵里華

それ、猫からしたら毒みたいなの

理彩

へぇー、知らなかった

遠回しに…というかストレートに悪口を言われていることにリサは気づかない

絵里華

猫の飼い主ならそれぐらい知っときなさいよ

結局、その日はリサのせいで私もあまり猫が触れなかった

志織

じゃあ…

志織

今日はここで解散ね

裕子

うん またね

絵里華

リサ、電柱にぶつからないようにね

理彩

私を何だと思ってるの!?

絵里華

……幼馴染

理彩

答えになってない!

他愛のない会話を交わす日常

私たちはいつもと変わらない週末を過ごすはずだった

三日後―私たちはそれぞれの事件へと巻き込まれる

まだそれを私たちは知らない

この作品はいかがでしたか?

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