私と三ツ谷隆のストーリー

始まりは私からだった

3日後

お父さんも、お母さんも、

きっと裏では怒っている

うちは貧乏で病院に行くお金など無い

なのに私が倒れたせいで"無駄"なお金を払うことになったんだ

それに病気は高額なお金がかかる

だから、2人は怒っている

家で暴力を振るわれてきた

服の下は痣だらけ

お腹とか背中とか目立たない所ばかりで 誰も気づいてくれない

あいつ、とは姉のことだ

姉は私よりも美人で、頭も良くてなんでも出来る

"姉を越えろ"とずっと言われてきた

何もかも負ける私が勝てるわけが無い

だって、私の親は、

努力を認めてくれないから

2ヶ月後

病院生活は退屈で

学校にも行けてないし

戻っても勉強には追いつけない

たかちゃんに会いたいな…

残り"3日"です

次の日

私の"ストーリー"が 始まった場所です

あぁ、ダメだ、

覚悟を決めてきてるのに、

泣いちゃダメってわかってるのに、

新しい人を探して欲しいって

思ってるのに、

心の底ではまだ

この人のことが好きで好きで

大好きで、

本当はずっと一緒にいたいのに、

別れたくなんてないのに、

まだ、

見えない壁があるかのように

私はあと一歩のところで

立ち止まってしまっている

これ以上は進めない

涙があふれる

心配した瞳でこっちを見つめてくる

たかちゃんの手が近づく

優しい

大好きだったこの感覚

この感覚さえも他の人に取られてしまう

そう考えると胸が痛かった

私はもう隠せなかった

気づいたら全てを打ち明けていた

たかちゃんは私に好きだと言ってくれた

明日死ぬと言われている私に

そう言ってギュッと抱きしめてくれた

これまでとは違う強さだった

もっともっと強かった

でも

すごく優しく強く抱きしめてくれた

暖かくて

この温もりが私は大好きだった

頼むｯ！

助かってくれｯ！

がんばれｯ！

麗空ｯ！

これが最終手術

これが成功すればもう少し長く生きられる

たかちゃんと一緒に居られる