僕はその日、いつも通り退屈だった。
学校から帰ってきたら、いつも何もやる事が無い。
…本当はやるべき事はたくさんあるのだけれど
本当に退屈だ。
親も居ないから、家の中は静かだ。
ただただ、外で雨の降る音が聞こえていた。
るぅと
…
僕は無意識に立ち上がり、部屋を出た。
キィ…
ドアをゆっくりと開け、外に出る。
その瞬間、風が吹き、雨粒が頬に当たる。
…涼しいなぁ
…もう梅雨の時期だもんなぁ。
そんなことを無意識に考えていた。
ふと、泣き声が聞こえた気がした。
驚いて、泣き声が聞こえた方を見た。
梅雨時、ずぶ濡れのまんま、泣いていたのは———
るぅと
莉犬?
彼の名前を呼んでみる。
すると、彼——莉犬は、ゆっくりと顔を上げた。
莉犬
っるぅとくん…
莉犬の顔は、涙でぐしょぐしょになっていた。
莉犬
…るぅとくん
莉犬が、今にも消えそうな声で、僕の名前を呼ぶ。
そして、真っ直ぐに僕を見た。
今までに無いくらい真剣な目で僕を見た。
莉犬
あのね…
莉犬
俺っ…
昨日、人を殺したんだ
その言葉だけが、はっきりと聞こえた。
るぅと
…
莉犬
殺したのは隣の席の、いつも虐めてくるアイツ
莉犬
もう嫌になって、肩を突き飛ばして、
打ち所が悪かったんだ
莉犬は、虐められていた。
莉犬が言っている、「隣の席の、いつも虐めてくるアイツ」に。
その日、莉犬はまたアイツに虐められた。
莉犬は、もう嫌になって、とっさにアイツの肩を突き飛ばした。
アイツの後ろにあるのは階段だった。
莉犬に突き飛ばされて、落ちたアイツは————
打ち所が悪くて死んだ。
莉犬
…俺っ、今日学校に行ったら、みんなになんて言われるのか、怖くて…
莉犬
だから、今日学校を休んだんだ
そうか。
だから、今日は居なかったのか。
莉犬は。
そしてアイツも。
莉犬
もうここには居られないと思うし、
莉犬
どっか遠いところで死んでくるよ
そんな君に僕は言った。
るぅと
それじゃ
僕も連れてって






