ここ、どこ?
大西流星
大西流星
大西流星
大西流星
大西流星
大西流星
あれ?
誰やっけ。あと1人、 大事な人がおったはずやのに。
ー。
全然思い出せへん…。
大西流星
大西流星
大西流星
思い出したい大切な人は、 まだ目の前におる。
僕の目の前で、 優しく微笑む彼は、 1番忘れたくなかった人。
1番、大切な人。
それなのにー。
その人は、悲しそうな、 暗くて優しい表情で微笑みながら、 僕に背を向けて歩き出した。
大西流星
どんなに叫んでも、 どんなに手を伸ばしても届かへん。
今、この時を逃したらダメやって、 ちゃんと分かっていた。
でも、その気持ちとは裏腹に、 僕の体は鉛のように動かない。
溢れ出す涙と共に、 思い出が、好きの気持ちが、 真っ暗な闇に溶けていく。
大西流星
流れた記憶が頬をつたい、 冷たい床に叩きつけられた。
粉々になったそれは、 もう原型を留めておらず、 面影すら残っていない。
思い出の破片が、 潰された心に突き刺さる。
大西流星
大西流星
大西流星
大西流星
大西流星
大西流星
大西流星
大西流星
大西流星
大西流星
早く、3人のところへ戻らなきゃー。
コンコンー。
藤原丈一郎
控えめなノックに丈くんの声。
大橋くん、大丈夫やったかな?
丈くん、ちゃんと大橋くんのこと、 連れてきてくれた?
長尾謙杜
謙杜が病室の鍵を開け、 静かに扉が開いた。
藤原丈一郎
大橋和也
丈くんに背中を押され、 躊躇いながら戻ってきた大橋くんの目は パンパンに腫れとって、 あの後の2人の苦労が伝わってくる。
高橋恭平
大橋くんを支えきれなかった 悔しさから、自分が思っていたよりも そっけない声が出た。
大橋和也
俺が名前を呼ぶと、 大橋くんは怯えたような表情で 顔を上げる。
違う。
そんな顔させたかったわけやない。
ただ。
これだけ伝えたかった。
高橋恭平
今度はできるだけ、優しい声で。 ゆっくりと、俺の気持ちを伝えた。
大橋和也
高橋恭平
大橋くんの瞳から、 ブワッと涙が溢れ出す。
大橋和也
恭平に申し訳ない、と 小さい子のように涙を流す大橋くんが とても幼く見えて、 俺は大橋くんの頭を撫でた。
高橋恭平
大橋和也
背中を摩っても摩っても 涙が止まらない大橋くんに、 丈くんが吹き出した。
藤原丈一郎
西畑大吾
道枝駿佑
長尾謙杜
大橋和也
そのとき。 俺は久しぶりに大橋くんの 笑顔を見た気がした。
こんどこそ、大橋くんは大丈夫や。
俺は確信を持ってそう思えた。
はっすんが戻ってきてから、 俺たちにまた笑顔が増えた。
やっぱりなにわ男子は、 7人が揃っていないとダメや。
誰か1人でもかけたら、 それはもう、 なにわ男子やない。
だから、流星。
俺たちは、ずっと待ってんで?
流星が倒れてから10日がたった。
流星を除いた俺たち6人は あの後すぐに仕事に復帰し、 今までどうりにお仕事を頂いている。
流星が起きるまで なにわ男子全体として休みをもらう 話もあった。
でもきっと、流星はそれを望まへん。
やから俺たちは、流星の分も、 今まで以上に気持ちを込めて 仕事をさせてもらっている。
流星の居場所を守っていくためにも、 俺たちは踏ん張らなきゃあかん。
今が、1番大切なときやから。
ブー、ブー。
はっすんから電話や。
大橋和也
通話
00:00
西畑大吾
大橋和也
西畑大吾
大橋和也
大橋和也
は?
はっすんの言葉が、 すぐに理解できへんかった。
流星が、 起きるかもしれへん?
西畑大吾
西畑大吾
大橋和也
西畑大吾
大橋和也
通話
01:28
半ば急かされるようにして電話を切り、 俺は流星の元へと急いだ。
大橋和也
さっき先生に言われた、 大西さんが、 目を覚ますかもしれません。という 言葉を聞いてから興奮状態の 大橋は、いつもよりかなり 口が回っている。
そりゃ、あんだけ心配してたもんな。
嬉しいよな。
藤原丈一郎
あの後精神科で診断を受けた大橋は、 心をやられる直前まで 追い詰められとったことが分かった。
メンバーの支えと持ち前の明るさで 驚異的なスピードの復活を果たした 大橋は、もう完全に今までどうりや。
でも。
いつも、心のどこかに 流星がおったんやと思う。
リーダーとしてだけじゃなく、 一人の人間として、 長く関わってきたメンバーを ずっと見守ってきた大橋にとって、 流星の目が覚めるかもしれへんっていう 報せは、きっと何より嬉しいものや。
小さな子供のようにはしゃぐ 大橋の笑顔が、俺は好きやった。
でもー。
この大橋の笑顔が、 あんな形で曇ることになるとは、 俺は予想もしとらんかった。
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