──────5000年後の天界にて。
ウラヌス
……。
レグルス
……ウラヌス。
ウラヌス
……レグルス……?
レグルス
こんな所で何してるんだ?
ウラヌス
……空見てた。
レグルス
……そうか。
レグルス
……。
レグルス
ならいい所あるぞ。
ウラヌス
……?
レグルス
本当は『星の仮人間』しか入る事が出来ないけど……お前を誘う事が出来る。
ウラヌス
『星の仮人間』……。
ウラヌス
俺は『神の仮人間』だが、入れるのか?
レグルス
入れるよ。
レグルス
星の俺が言ってんだから、大丈夫だ!
ウラヌス
……。分かった。
レグルス
ちょっと移動するぞ。
転移する。
──────。
夜空の空間。
レグルス
此処が『星の仮人間』しか入れない……『夜空の空間』だ!
ウラヌス
……!
辺り一面に星が沢山並んでいた。
ウラヌス
綺麗……。
レグルス
だろ?
レグルス
ほら!彼処!
レグルスが指を指したのは『獅子座のレグルス』だった。
レグルス
俺の血の星!
ウラヌス
綺麗だな。
レグルス
あぁ!
ウラヌス
まさか……5000年後の世界でも……見れるなんて……。
レグルス
空間だからな。
レグルス
実際だとな……。
ウラヌス
……。
ウラヌス
天が壊れたせいで……見れない……。
レグルス
……。
ウラヌス
俺と……ユピテルのせいだ……。
レグルス
……。
レグルス
ううん。
レグルス
大丈夫。お前らのせいじゃねぇよ。
レグルス
世界が……壊れたのが悪いんだ。
ウラヌス
……。
レグルス
それもそれで……。
レグルス
なんか……だよな。
ウラヌス
……うん。
レグルス
ずっと……こうして『お前と夜空を見ていたい』のになぁ……。
ウラヌス
……。
レグルス
俺はさ。好きだよ。
レグルス
お前と夜空を見るのが……。
ウラヌス
……!
レグルス
現在の世界でも、『お前と見る星が一番好き』なんだ。
ウラヌス
……!
ウラヌス
[瞳を丸くする]
レグルス
……。
レグルス
こんな世界が……続けばいいのに。
ウラヌス
……。
レグルス
なんで、おれらは、従うんだろう。
レグルス
なんで、おれらは、自分の自由に動けないんだろう……。
レグルス
そして、『世界は壊れて、空も割れる』……そして『星が見えなくなった』……。
ウラヌス
……。
レグルス
……ぇ?ウラヌス……???
ウラヌス
[無表情ではあるが、『瞳から涙が溢れていた』……。]
レグルス
な!?なんで泣いてんだ!?
ウラヌス
ぇ……?
レグルス
お前、泣いてんだよ!分からないのか!?
レグルス
[初めて泣いた所を見て驚いている]
ウラヌス
俺……泣いてるの……?
レグルス
泣いてるよ!
レグルス
ほら……。目からさ……。
レグルス
[右の親指でウラヌスの涙を拭う]
レグルス
『涙が出てる』ぞ……?
ウラヌス
……!
レグルス
お前……。
レグルス
おれの話を聞いて……泣いてるのか?
ウラヌス
……。
ウラヌス
[なんて答えれば良いのか分からず、とりあえず頷く]
レグルス
無表情なのにな。お前。
レグルス
泣いた所……初めて見た。
レグルス
お前って『人の為に泣ける』んだな。
ウラヌス
……???
レグルス
お前の涙は『温かかった』んだ。
レグルス
人の為に泣く奴の涙は、温かいって聞いた事があるんだ。
レグルス
おれが……『お前と見る星が一番好き』って言った時、自分の情けとおれの想いを聞けなくて、『悔しかった』んだな。
ウラヌス
……。[少し哀しそうな顔になる]
レグルス
……。
レグルス
良いよ。[両腕を広げる]
レグルス
おれは、そんなので『許さない』なんて言わねぇよ。『親友』だから。
レグルス
泣きたいなら泣けよ。
レグルス
その想い……全部『おれが受け止める』からさ……!!!
ウラヌス
……レグ……ルス……っ!
ウラヌス
[レグルスを抱く]
レグルス
[ウラヌスを抱く]
レグルス
おれは……いつでも……お前のそばにいるから……。許さないなんて言って、離れないから……。
ウラヌス
レグルス……っ!
ウラヌス
[『初めて』泣き声をあげた]
レグルス
現在の世界でも……この世界でも、一緒に夜空を見よう。ウラヌス。
ウラヌス
[頷く]
レグルス
よしよし……。[背中を撫でる]
ウラヌス
……。
レグルス
よし……落ち着いたか?
ウラヌス
うん……。
ウラヌス
[少しだけ離れる]
レグルス
[ウラヌスの顔を見る]
ウラヌス
ありがとう。レグルス……♪
ウラヌス
[『初めての笑み』を見せる]
レグルス
……!!!
ウラヌス
[だが表情筋が動かない為、すぐ無表情になってしまう]
レグルス
今……笑った……?
ウラヌス
え……?
レグルス
笑った……!!!
レグルス
笑ったよな……!!!!!!
ウラヌス
……???
レグルス
[泣き出す]
ウラヌス
レグルス……?
レグルス
良かった……っ。
レグルス
お前……ちゃんと笑ってくれた……!
レグルス
おれの夢だったんだ。
ウラヌス
……?
レグルス
『いつか、お前を星空の下で笑わせる』っていう、おれの夢……。
レグルス
ようやく……叶った……!
レグルス
叶ったんだ……っ!!!
レグルス
ウラヌス……!!![ウラヌスを抱く]
ウラヌス
……!
ウラヌス
[抱き返す]
レグルス
叶った……!
レグルス
叶ったよぉ……っ!!!
ウラヌス
……。[小さく微笑みを浮かべる]
ウラヌス
……良かったな。レグルス。
レグルス
あぁ……っ♪
ウラヌス
……。[レグルスを優しく見守る]
レグルス
……。[涙を一滴零して、嬉しそうに抱く]
二人の真上には 綺麗な夜空が、キラキラと輝いていた。