TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

中島side 家に戻って2時間後。 キッチンでご飯を作っている 彼女に今日の話を振り掛けると あからさまに目が泳いでいた。

中島

俺に言えないこと?

美波

そういう訳じゃ…

中島

んじゃ、なんであそこに…

美波

伯母さんと一緒にお墓参り行っただけで…

中島

あそこにいなかったじゃん

美波

あれはその場で解散だったからいなかったの

中島

じゃあなんであそこで楽器吹いてたん?

美波

日課だから。中学から続けている日課。大輔にもあるでしょ?

中島

しかも男いたし。

美波

浮気疑ってるの?

中島

疑わざるを得ないでしょ。しかもお墓参りで会うって。俺じゃダメなん?

何も言えない彼女に嫌気が差し 一言も交わさずに 上着と財布、スマホを手に取って 家を飛び出した。

美波side お墓参りから帰ってきて 晩御飯を作っていると 彼氏からの言葉をキッカケに 今までにないぐらいの喧嘩をしてしまった。 私が言葉に詰まったのを 気にしたのか彼は家を出ていってしまう。 とりあえず自分のご飯を食べて 彼の分はラップをかけて 冷蔵庫に入れる。

古謝

『え?喧嘩?なんで?』

美波

今日、伯母さんと一緒にお墓参りに行って、偶然幼なじみに会った所を大輔に見られていたっぽい。

古謝

『史陽これは完全に大輔の嫉妬じゃない?』

黒川

『それぐらい許してあげて欲しいわ。』

数分前に 古謝くんから電話がかかってきて 彼氏の話になり さっきの様子をこと細かく話すと 私に同情するような言葉だった。

美波

ちなみにさ、その幼なじみ結婚したらしくって。私も手を出そうとか考えてないし…

古謝

『てか、大輔どこ行ったん?』

黒川

『美波ちゃん浮気するような人じゃないよな。』

古謝

『うん。』

黒川

『そもそも大輔が深堀しすぎやから。』

古謝

『心配なのはわかるけど、美波ちゃんの性格よく見ないと…』

黒川

『てか大輔どこ行ったん?』

美波

わかんない。

古謝

『美波ちゃん玄関開けて』

美波

え?なんで?

古謝くんに言われた通り 玄関を開けると 黒川くんと古謝くんが立っていた。 何がなんだか分からないまま 家の中に招き入れ お茶をテーブルに置く。

黒川

押しかけてごめんな。遥楓さんに相談したら彼女さんのとこに話聞きに行けって助言貰って。

美波

それで大輔は…?

古謝

大輔のことは俺らわかんない。てか電話繋がらない。多分他の同期のとこに行ってるかも。

黒川

あいつ美波ちゃんのこと好きすぎる節があるから、浮気は絶対ない。

美波

でも、粗方私が悪かったから早めに謝らないと…

古謝

大輔なら帰ってくるから…

黒川

いや、不安やねんって。帰ってくる途中で死んだらこの子また抜け殻になってしまう。

多分大輔があらかじめ 話していたのか 私の家族のことを知っている様子だった。 確かに大事な人を失う辛さは 今でも忘れなれなかった。

黒川

明日には家戻れって言っとくから。

美波

私、明日から入院…

古謝

は?

黒川

なんで?見るからに健康体…

美波

大輔から聞いてない感じ…?

古謝

いや何も?

美波

子宮頸がんで子宮全摘って聞いてない?

古謝

…やる事やったんだ…

美波

やってない。怖くて出来ない。大輔にも言ってる。子供産みたくないって。

黒川

俺よくわかんないけど、子宮頸がんの原因っさ…

美波

ネット情報あてにしちゃダメ。婦人科の先生曰く数パーセントの確率で経験なくてもなるんだって。

黒川

ワクチンは?

美波

全部ワクチン打った。インフルエンザのワクチンと同じ感覚。なるものはなるの。

古謝

え、待って?大輔に言ってるの?

美波

言ってる。多分忘れてる。月イチで病院行って、お墓参り行ってるの。

黒川

今日がその日だったんだ…

古謝

入院前のやつかぁ…なるほどねぇ

黒川

…忘れてる大輔が悪いよな

古謝

うん。そんな気がする。

黒川

大輔どうしよう

古謝

変に言っても悪化するしなぁ…

黒川

言わなかったら俺ら殴られる気が…

古謝

でも遥楓さんの指示だし

大輔に私の入院の報告をするか否かで 話し合っていると 古謝くんのスマホに 何やら通知が届いた様子。

古謝

あ、遥楓さんから『大輔俺の家にいるから今日は夜遅いから泊まらせる』って。

黒川

結局遥楓さんか。まぁいいや。

美波

今日遅いし大輔の部屋で寝ていいよ。

古謝

え?なんか申し訳無い…

美波

あと、明日の朝ごはんに大輔の分のご飯食べて欲しくて…

黒川

大輔晩御飯食べずに出ていったんや。

古謝

んじゃ、俺ら今日車で来てるから明日病院まで送るわ。

黒川

ちなみに手術はいつ?

美波

明後日

とりあえず 大輔の部屋にもうひとつ 布団を敷いて1晩過ごしてもらうことにした。

中島side 美波と喧嘩した日の次の日の夜。 遥楓さんと裕哉さん、裕季也さんに 黒川と古謝と一緒にご飯に来ていた。

伊藤

はぁ?喧嘩した?

小郷

ほら言った通りじゃん。

山田

昨日ドラマ見てたら急に電話で『今日泊まらせてください』とか言うからビビったの。

伊藤

んで、こいつら(黒川・古謝)なんで来てるん?

黒川

大輔の彼女のことを報告しに来ました。

古謝

大輔忘れてますけど、彼女さん今日から婦人科に入院です。

伊藤

なんで?

黒川

子宮頸がんの全摘手術だそうです。

古謝

ちなみに手術は明日の9時から行うらしいです。

中島

手術…全摘?

少し前に 女の子の日じゃないのに 不正出血があったから婦人科行って その話を切り出されていたが 内容はこれっぽっちも覚えていない。 そんな様子を見破ったのか 史陽が口をだす。

黒川

大輔、医療事故のことも考えときや。

中島

でも、全摘で命落とすことは…

小郷

そうとは限らないよ。

伊藤

明日地震起きて津波に飲み込まれたらもう終わりだけど。

山田

彼女ちゃんそれを知ってるから。明日言えると思っても言えなかったこと。

古謝

それを踏まえて考えたら、彼女さん強いよ。

黒川

だって9歳で家族全員亡くしてるんだもん。しかも兄貴は目の前で死んでるんだし。引きづって当然。

山田

昨日の様子は?

中島

古謝と黒川、美波のとこ行ったんですか?

遥楓さんが首を縦に振る。 さすがに女性1人 家に残すのは危ないと感じらしい。

古謝

彼女さん自身が責任感じているように見えました。

黒川

めちゃくちゃ優しいっす。心の底から大輔のこと想ってるんやなって。

伊藤

確かに、あの子が吹いてた音色優しかったなぁ…

小郷

俺YouTubeで彼女ちゃんが吹いてた楽器聞いたけど、意外とパワフルなんやな。音が。

山田

何吹いてんの?

中島

トロンボーンです。腕を動かすやつ。

遥楓さんがおもむろに トロンボーンの動画を流し始める。 裕哉さんが言う通り 動画じゃパワフルな音色に聞こえた。

山田

確かにパワフル…

古謝

とりあえず大輔の彼女さんほんとに優しいんですって。

黒川

ちなみに大輔が見た男の人結婚したんだって。手を出すなんてこれっぽっちも思ってないらしい。

伊藤

あのガタイいいひと結婚してたんや。

小郷

思いっきり思い違いだったわ。

山田

入院するって言ってたけど、お見舞い行けるの?

黒川

なんか、コロナとかインフルエンザ持ち込みされたら困るから全病棟お見舞い禁止らしいっす。

山田

そうなんや。これはしょうがないわ。

小郷

とりあえず大輔は彼女ちゃんが退院したら謝ることやな。

伊藤

彼女ちゃんも絶対謝ると思うし。

中島

はい

空気が重くなったのが 嫌になったのか 遥楓さんが次の話題を振りかけてきた。 史陽もそれに乗っかって ご飯を食べながら話を続ける。 だけど俺の頭の中は 彼女と喧嘩するんじゃなかったって 後悔の念しかなかった。

ハーデンベルギア

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

18

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚