放課後のチャイムが鳴っても、誰も動かなかった
玲王が殴った机の角には、薄く血が滲んでいた。教師は何も知らぬふりで、足早に職員室へと消えていった。ざわめく教室の空気の中で、誠士郎がただ一人、静かに席を立つ。
誠志郎
その一言に、背筋を伸ばすように世一が立ち上がる。昨日まで不登校だった男の、異様な落ち着きがクラスを静寂に包む。
そのときだった。玲王が誠志郎に詰め寄ったのは。
玲王
誠志郎
誠志郎ははっきりと答えた。世一の腕を取って、教室を出ようとしたそのとき、玲王の目が世一を射抜いた。
玲王
玲王の叫びに、廻が鼻で笑う。
廻はいつも通りニコニコしていたが、どこか冷めた瞳だった。彼は世一が好きだったはずだった。それも、異常なほどに。でも振られて、笑ったまま平然と虐めた。今もその延長だ。
誠志郎は世一の手を引いた。誰にも構わず、どんな声にも振り返らず、ふたりで帰る。ただの一本道が、牢獄の廊下のように長く感じられた。
帰宅後。
世一はリビングのソファで丸まっていた。誠志郎の服からまだかすかに玲王の香水の匂いがした。それだけで、呼吸が乱れて、視界が揺れた。
誠志郎
世一
誠志郎が去った後、世一は一人、手のひらを見つめた。震えていた。玲王の言葉が、廻の嘲笑が、頭の奥でこだましていた。
《なんでこいつなんだよ》
誠志郎は世一のものじゃない。誰のものでもない。自由気ままなその性格が、世一を苦しめていた。
風呂上がりの誠志郎がタオルで髪を拭きながら現れる。世一は立ち上がって、その胸に飛び込んだ。
世一
誠志郎
世一
誠志郎
その夜もふたりは同じベッドに入った。握った手は、離れることがなかった。
翌朝、学校
レオは欠席していた。噂が飛び交った。あの潔に暴言を吐いたせいで、誠志郎が完全にブチ切れた、とか、教室で玲王が暴れた、とか。豹馬は興味なさそうにスマホをいじり、廻は窓の外を眺めていた。
豹馬
豹馬がぼそりとつぶやいた。が隣で、
廻
と無邪気に笑う
誠志郎と世一がそろって登校するたびに、何かが崩れていく。周囲はそれに気づいていたが、止める者は誰もいなかった。
放課後、世一がひとり教室で荷物をまとめていたとき、玲王が現れた。
世一
玲王
世一
玲王
世一
玲王
世一
玲王
潔は無言で立ち上がり、玲王を避けるようにして教室を出る。
玲王
肩を掴まれた瞬間、潔の表情が歪んだ
世一
突き飛ばして、逃げるように走る。視界は滲んでいた。酸素がうまく入ってこない。胸が苦しい。
道路を渡って、家の前まで来たときには、立っていられなかった。しゃがみ込んで、両手で顔を覆った
誠志郎が部屋から飛び出してきた
誠志郎
世一
誠志郎
世一
誠志郎
誠志郎が抱きしめる。震える身体ごと、自分の胸に押し当てて、必死にさすった。
世一
誠志郎
その夜、またふたりは一つの布団に潜り込んだ。壊れた心が、壊れたままで寄り添い、愛を確かめあうしか術がなかった。
そして、誰も知らないルールが、一つ、また一つと増えていった。
next250♡and2comment
コメント
18件
そうだね…🦋✨とかかな…
今回も神作×最高でした.ᐟ.ᐟ 次回楽しみに待ってます✨ 無理せず頑張ってください🔥 🫶260にしました.ᐟ.ᐟ あの、ファンマークとかありますか.ᐣ✨
ぐへへへへへ死ぬやばい死ぬ 最高かよ