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アイン
シュウ
シュウ
アイン
アイン
???
すると、後ろから急に爽やかな声が聞こえてきた。
シュウ
ルーノ
ルーノさんは会ったことがないだけで、スライブ王国…いえ、世界中で人気な人なので、私でも知っている程です。
魔物を討伐する際にも女性が周りに群がるらしいですね…
ルーノ
シュウ
ルーノ
アイン
ルーノ
ヴァウルス
一撃一撃が重すぎる…何なんだこれは…
ルカ
私は周りに剣を纏わせ、飛ばしていく。
もっと強い武器や物を召喚すると、魔力が足りなくなる。ここは節約しながら耐えるしかない。
ルカ
離れたと思ったらすぐに接近される。また高火力の大剣が振り回される。
魔力よりも先に、体力が尽きる…
ヴァウルス
私だけでは、この魔王を倒すことは出来ないだろう。
だからこそ…今は耐えるしかない。
昔の私だったら、きっと一人で片付けようとしていたが、今は周りを頼ることを覚えた。
私は一人で焦って走っていって、そのせいで仲間が死んで、私はまた新しい仲間を守るために、一人で解決しようとして…仲間が死んでいった。
その繰り返しだったんだ。
1番周りが見えていなかったのは私だった。
ヴァウルス
ヴァウルス
ヴァウルス
向かってくる大きな刃をノーブリスで受け止める。普通の剣だったら一撃で折れていただろう。
ヴァウルス
重い一撃が容赦なく降りかかる。
ヴァウルス
全ての力を込め、その大剣を押し返す。
ルカ
動揺した隙に、その懐へノーブリスを突き刺す。
ルカ
刺されたのにも関わらず、ルカはピンピンしている。
ヴァウルス
ルカ
傷はどんどん癒えていく。深い傷だったはずなのに、それはもう元通りになっていた。
ここで初めて対面した時も感じていたことだが、ルカの身体全体に魔力を感じる。表面だけでなく、魔物のように内面まで魔力で出来ているかのようだった。
本当に体が魔力で出来ているのだとしたら、もうあれは人の体ではない。魔力で出来た体は簡単に修復可能だ。魔力さえあれば。
でも、どうしてだ。なぜそんな体なんだ…?魚人族はほとんど人間と同じ。体の構造が少し違うだけの種族だ。なのに、これはまるで魔族のようだ。
ヴァウルス
ルカ
ルカはまだ魔法を使ってきていない。膨大な魔力があるのにも関わらず、だ。
まだルカは本気の1%も出していないのか…?
アネモ
アネモ
クロン
シュウ
アイン
アネモ
シュウ
アネモ
アネモ
その長く、うねっている髪の隙間から、静かな怒りの目が見えた。
ルーノ
私の傷はまだ完治していない。あまり激しく動くことは避けたい所だが、今はそんな事を気にしている場合じゃない…
一度だけでいい。触れることが出来れば…有益な情報が得られるはず。
クロン
アネモ
クロン
複数の小さな魔法陣が2人の背後に現れる。
ルーノ
何かを察したのか、ルーノは素早く盾を構え、広範囲の防御魔法を使った。
次の瞬間には一瞬の光る線がぱらぱらとその魔法陣から出される。
それをルーノさんの防御魔法が全て受け止めている。
ルーノ
クロン
クロン
クロン
ルーノ
その細いビームが数を増やす。その度ルーノは防御魔法を強くし、我々を守っている。
ルーノ
アネモ
アネモ
シュウ
シュウ
アネモ
アネモ
アネモ
ルーノ
また出力が上がり、防御魔法の壁が崩壊しそうになっている。
アイン
つくづく、私の無力さにはうんざりする。私は、何一つ守れていない。
この世界を守ると心に決めた癖に、目の前の物は…何も守れていない。
アイン、ネモさん達…ヴァウルスさん。
周りの人達に守られてばかりだ…
ルーノ
ルーノ
そのバリアにヒビが入っていく。
打開策を見つけようとするも、ここから逃げられるようには思えない…
どこにも逃げ場がない…
終わりを悟ったその時、彼の声が聞こえた。
颯
その声が絶望的なこの場所に響く。一筋の希望のように。
アイン
車から飛び、刀を持ちながら完全に油断していた2人を斬る。
颯
その一太刀は長い髪を斬った。
そしてその中に隠れていた子供が晒された。
アネモ
シュウ
私は一気に踏み込み、2人に触れた。
今日も私はスライブ王国の地下深くで、奴隷として労働をさせられていた。
スライブ王国に気味の悪い魚人族というだけで捕らえられ、こうして地下に放り込まれた。
この地下ではまともな食事も与えられず、私は人として扱われなかった。
何故こんなことをやらされているのか、そんなことも知らされず、ただ無心で作業を進めていた。
そんな時、豪華な服を着た人間や獣人族がぞろぞろとやってきた。恐らく貴族だろう。
スライブ王国の制服を着た人間が、ここの説明をしている中、両親と一緒に来たであろう子供が興味深そうに周りを見渡している。まだ言葉も話せないほど小さかった。
しかも、私と同じ魚人族だった。
ふと目が合うとその子は、こちらに向かって走ってきた。
クロン
アネモ
クロン
アネモ
するとその子の両親が気づいたようで、駆け寄ってきた。
クロンのお母さん
クロン
クロンのお母さん
クロンのお母さん
クロンのお母さん
アネモ
クロン
クロン、と呼ばれたこの子はすりすりと頭を擦り寄せてくる。
よっぽど離れたくないようだ。
クロンのお母さん
その人はクロンを無理やり引き離す。
クロン
ただずるずると引きずられていくクロンを見つめることしか出来なかった。
ずっと私の人生なんて、意味の無いものだと思っていた。
ただ生きながら死んでいるだけ。
傷だらけの手を虚ろな目でぼーっと見つめながら、目を閉じた。瞼の裏であの子が映る。あの時だけは心が安らかだった。
クロン
か細い声が聞こえた。
驚いて目を開けると、檻の外には今日の子供がいた。
アネモ
クロン
クロン
アネモ
その今にも泣き出しそうな目を見て、私はその子の目の前まで行って、頭を撫でた。
アネモ
クロン
私はどうすればいいか分からなかった。この子のお姉さんを演じるか、現実を伝えるか。
でもこの子はお姉さんが亡くなったこと自体分かっていない。きっと現実を伝えても、無駄だろう。
だから私は…
アネモ
クロン
その時、警報が鳴り響いた。
きっとこの子が入り込んできたのがバレたのだろう。
アネモ
クロン
その時、どこからか出てきたビームが鉄格子を切り裂いた。
それは綺麗に切断され、私が出ていける程になった。
アネモ
クロン
逃亡の夜だった。
きっとこの夜が私にとっての分岐点だった。
このまま意味の無い毎日を奴隷として過ごすか。
それとも、リスクを犯してでもこの世界を見て、知って、駆けてみるのか。
考えている暇もなかった。
ただ私はその子に導かれるまま、地獄から這い出た。
アネモ
クロン
私はもう地上に出ていたようだ。
久しぶりに見た月は、私たちを照らしていた。
息苦しい地下とは違い、綺麗な空気。
全てが理想的だった。
クロン
アネモ
…分かっていた。こんなことをしてしまったら、スライブ王国は絶対に許さない。
どこまでも…追ってくる。
アネモ
クロン
アネモ
私のせいでこの子まで危険に晒す訳にはいかない…もうここで別れた方が良かった。でも、この子にとってそれは辛いことだったようだ。
ぶわっと涙を浮かべ、抱きついてきた。
クロン
アネモ
私はぎこちなく、その子の頭を撫でた。
私にも姉がいたから分かる。離れ離れになることがどれほど辛いことか。
だから、私はただ姉がやってくれたように頭を撫でて、落ち着かせた。
クロンのお母さん
今日見たこの子のお母さんが、心配そうにクロンへ駆け寄る。
クロンのお母さん
クロン
クロン
その子のお母さんは驚いたように目を見開いた。
クロンのお母さん
そう言うと、すぐに諦めたようにクロンを撫でた。
そして、真剣な顔をして私の方へ歩いてきた。
クロンのお母さん
アネモ
クロンのお母さん
アネモ
クロンのお母さん
クロンのお母さん
クロンのお母さん
アネモ
私がこの子の姉の代わりになるなんて、私には無理だと思う。でも、不完全でもいいから、この子に一時の安らぎを与えたかった。
姉という大きな存在。それが偽物でも、この子が喜んでくれるなら…それでいい。
そうして私はこの家へやってきた。
魚人族の貴族は少ない。生まれが貧乏で隠れた村のことが多いからだ。
私の生まれた場所もそういう場所だった。
この家に来てからは幸福な時間が流れた。美味しいご飯、ふかふかな寝床。そして、クロン。今までとは全く違っていた。
でも、そんな幸せな時間は長く続かなかった。
ある日、スライブ王国の工作員がこの家を捜索した。そう、私を探しに来たのだ。
クロンのお母さん
アネモ
クロンのお母さん
私は迷っていられず、クロンの手を取って走り出した。
クロンはただ私に着いてくるだけだった。何も疑問を持たずに。
行くあてもなく、ただ放浪した。私の村に戻ろうかと考えたが、私のせいで周りに迷惑がかかる。
私は追われている身であり、スライブ王国の秘密を握っている者だから。
私は、前から噂になっていた西の魔王の船へ乗り込んだ。
クロンを守るために。そして、スライブ王国を…壊してやるために。
シュウ
クロン
アネモ
天使ちゃん
ルーノ
アイン
シュウ
シュウ
ルーノ
アイン
シュウ
…私はどうすればいいんだ…
スライブ王国が何かを隠しているというのか…?
颯
颯
クロン
ルーノ
アネモ
クロン
クロン
アネモ
クロンはまた、ビームを放とうとするが、天使ちゃんのバリアで防いだ。
天使ちゃん
クロン
アネモ
颯
颯
アネモ
シュウ
アネモ
シュウ
アネモ
アネモ
クロン
颯
アネモ
アネモ
アネモ
シュウ
アネモ
アネモ
言葉を繋ごうとしたアネモの肺はもう剣によって貫かれていた。
ルーノによって。
クロン
シュウ
ルーノ
ルーノは冷酷に指示をした。
アイン
クロン
アネモ
クロン
クロン
クロン
だが、もうアネモからの返答はなかった。
颯
ルーノ
ルーノ
ルーノ
シュウ
ルーノ
ルーノ
ルーノ
ルーノは背を向けて移動を始めた。
シュウ
アイン
アイン
颯
アイン
シュウ
シュウ
クロン
シュウ
クロン
クロン
クロン
シュウ
シュウ
シュウ
シュウ
クロン
クロン
クロンは大粒の涙を流す。
初めて直面する現実は苦しいものだった。
シュウ
アイン
シュウ
アイン
シュウ
アイン
シュウ
アイン
颯
シュウ
シュウ
シュウ
シュウ
アイン
アイン
アイン
颯
天使ちゃん
中央へ近づく度に、俺の刀は風の力を帯びていく。