私は今、屋上に立っている。
朝の屋上は、風が冷たい。
詩音
あ……
誰かが来てしまった。
その生徒は、私を見るなり走っていった。
そう、私はいじめられているから。
散々の言葉や暴力を受けてきた。
親にも相談できず、相談する友達もいない。
それでも私は生きてきた。
17年間、ずっと。
でももう限界。
私は今、死のうと思う。
さよなら、私─────
ガシッ
誰かに手首を掴まれた。
田辺
先輩!!
詩音
田辺……君…?
田辺
だめです!死んだら……
詩音
嫌だよ…どうせいじめたいから止めてるんでしょ?
田辺
違います…!!
詩音
でも、私はもうこの世から居なくなりたいの!!
田辺
っ……
詩音
手首、離して……
田辺
分かり…ました……
田辺
今までありがとうございました、先輩────
君は、涙を浮かべて、手首を離した。
私の頬に、涙が蔦る。
どうして……こんなに涙が止まらないの?
嬉しいはずなのに……
田辺
先輩、僕は──────
「好きでしたよ。」