午前五時
隣の部屋から聞こえてくる目覚ましの音
いつものようにその音で目が覚める
母ちゃんを助けると決めてから
どんな方法で助けるかをずっと考えていた
このままだと母ちゃんは事故に遭ってしまうし
そうなったら意識のない中で俺を出産して
それからずっと眠ったままになってしまう
そうなる前に止めたくて
なんとしても阻止したくて
タイムマシーンでこっそり過去を変えようと思った
いつものように過去に飛んで母ちゃんに事情を話して
事故当日に事故現場に行かないようにしてもらう
そうすれば助けられると思った
ルール違反だと言うことはわかっていたけど
他の方法なんて思い付かなかった
だけど……
じいちゃん
明日夢
じいちゃん
じいちゃん
明日夢
じいちゃん
じいちゃん
じいちゃんに全てを見透かされて
地下室に行けなくなってしまった
何とか地下室に侵入してタイムマシーンを使う
そこから先は時の運に任せて進むしかない
父ちゃんの朝はいつも早く
毎朝五時に目覚まし時計が鳴り響く
独身の頃から使っていると言う爆音目覚まし
父ちゃんの寝室から聞こえてくるその音で俺も目を覚まし
そのまま一階の洗面所に直行
顔を洗いつつ洗濯機のスイッチを入れる
台所では父ちゃんが朝食の準備をしていて
その朝食を食べ終えて少ししたら父ちゃんは出勤していく
丈太郎
明日夢
それでも時間はまだ六時前
そこから俺が登校するまでにはまだまだ時間があるため
食べ終えた食器を洗って洗濯物を干し掃除機を掛ける
それでも時間が余ってしまうことが多く
テレビを見て暇を潰しつつ制服に着替えて家を出る
放課後は直ぐに帰宅してじいちゃんのところに行き
帰宅して夕飯を食べ終えてから宿題などの勉強をして
入浴後に就寝
そんな毎日を過ごしていた
週末は母ちゃんに会いに病院に行くことが多かったため
友達と遊びに行ったりゲームをする時間なんてほとんど無くて
学校でその手の話題になってもついていけなかった
事情を知っている友達は理解してくれていたけど
クラスの中にからかってくる奴がいて少し面倒だった
おばあちゃん
明日夢
明日夢
おばあちゃん
いつものようにおばあちゃんに挨拶をして学校へ
最初のミッションは明後日の水曜日
その日はじいちゃんが用事で出掛けていることになっている
だからその隙に地下室の鍵を持ち出して複製する
それまでは回りに怪しまれないようにしたくて
いつものように早く起きていつも通りに学校へ
授業もちゃんと最後まで出席する
水曜日も本当は早退したいけど
何の用事もないのに早退すれば怪しまれるし
体調不良を装えばおばあちゃんが心配して
直ぐに父ちゃんの耳に入ってしまう
自由に動き回ることもできなくなるから
鍵を拝借できなくなってしまうかもしれない
だから最後まできちんと出席して
終わったら直ぐに家に帰ることにした
徒歩圏内の学校を選んでいてよかった
うちから学校までは徒歩で九分
帰りは上り坂だけど10分もあれば辿り着ける
みなみ
みなみ
みなみさんにも悟られてはいけない
これは俺だけの秘密
明日夢
動揺を見せず
いつもと変わらない自分でいればいい
みなみ
明日夢
みなみ
明日夢
明日夢
明日夢
みなみ
みなみ
みなみ
明日夢
やっぱり俺はみなみさんが好きだ
だからうまくいったら
この気持ちにもちゃんとけりをつけたい
本当は隠し事なんてしたくなかった
みなみさんにだけは……
何度もそう思ったけど
これ以上、迷惑や心配を掛けたくなくて
言いたい気持ちをグッと堪えた
まずは明後日
計画通りに鍵を拝借して複製する
その鍵で地下室に侵入してタイムマシーンを起動させて
過去に飛んで母ちゃんを助けるんだ
明日夢
尾上
三村
笠井
遅刻常習犯の笠井が珍しく早く登校している
でもそれ以外はいつもと変わらない日常
明日夢
気を抜くと頭の中は母ちゃんの事でいっぱいになってしまう
とにかく今はこっちに集中しよう
鍵の複製もきっとうまく行く
うまくできたら週末に決行だ
そう思っていたのに
運命の神様はそう易々と
俺に微笑んではくれなかった
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