短編集

突然の激痛で目が覚める

どうやらベッドの上で寝ていたらしい

辺りを見渡すとローテーブルには幾つか蓋の空いたワインボトルが見られる

気分が優れないので一度トイレに行き 自分の体調を整える

まずは彼女が居そうな所を当たってみる

〜リビング〜

物置の鍵を手に取りポケットに入れる

リビングを後にして廊下に出た時階段を下る一人の女性の姿を見た

見えた彼女の後を追うとベッドルームが少し空いていた

見てみないことには始まらないので扉を開けて中を確認する

しかしそこに彼女の姿はなかった

ベッドルームをある程度探すもそれらしいものは見つからない

〜物置部屋〜

そう諦めかけた時ふとある異変に気がつく

浮き上がった疑問をすぐにかき消し玄関にと向かう

結局彼女を見つけられなかったので諦めて寝ることにしたのだが…

どうやら鍵を無くしてしまったのでそれを探すことにした

その時であった突然家の電気が落ちたのだ

玄関に戻り懐中電灯を手に取りブレーカのある物置にと戻る

するとすぐに電気がパッとついた

物置部屋を出るとまた彼女の姿を見た

彼女は階段を駆け上がっていく

少し呆れがちになった時ふと足元を見ると鍵が落ちていた

その鍵は確かに一馬の部屋の鍵であった

〜2階一馬の部屋〜

自分の部屋に着き扉を開けるととても殺風景な部屋が目に飛び込んできた

机に本棚そして何かで散らかった床

物自体とても少ないがその散らかった何かで少ない分汚く見えるのだろう

そのちらかったなにかのうち1つを手に取りそれを見てみる

そこに映っていたのは浴衣を着ている女性がそこにいた

可愛らしくしかし大人のような魅力がそこには確かにあった

散らばる一つ一つの写真を手に取り片付けていく

その写真の中に気になるものを見つけた

首輪を繋がれ殴れた痕がいくつも見え彼女の表情も気が触れたかのように泣きながら笑っているそんな写真だ

鍵を戻し浴室にと向かう

向かう途中何度も頭痛に襲われる

あの衝撃的な写真が頭から離れないのだ

あの写真は自分自身が撮っていたものだ

けれどあんないたぶってる写真は撮ってないし第一彼女に手を挙げたことはない

そのはずなのに……

何故かそれを完全否定する度に頭痛が彼を襲い正常な判断を鈍らす

何とか浴室に付きその扉を開ける

しかし開けた先の光景はいつもの光景とは大きく異なっていた

いつもは白のタイルで規則的な配列をした至ってシンプルな浴室だが

目の前に広がるのは赤い床に壁に天井…

ただ赤いだけではなくところどころ黒ずんでいたりする

そして妙に鉄臭いのだ

それは明らかにこの赤い何かが原因だというのは一目瞭然である

そして浴槽内は赤黒く染まっておりそれほど深い訳でもない浴槽だというのに

底は見えることはなくただ赤黒い液体がゆらゆらと怪しく蠢いている

浴槽のすぐ横には刃先が真っ赤に染った斧もあった

恐らくこれは物置部屋から無くなった斧で間違いはないだろう

この全ての光景を目にし心が不安定になっていく

本来これほどの惨状を目にした時人は声を上げるのが正常だろう

しかし彼はその全てを上回りただ呆然とするしか無かった

頭がこれらの惨状を認識したくない…

現実を受け止められず拒んでいるのだ

そしてようやく呆然とした意識を振り払いゆっくりと浴槽に近寄る

歩む足は小刻みに震えけれども確実に前に前にと歩を進める

そして浴槽の前にたどり着いたその時

赤黒く変色した浴槽から腕が伸び彼の腕を掴む

その出来事によって全ての感情が生まれ恐怖を覚え悲鳴をあげる

そしてパニックになった彼は逃げ帰るように浴室を後にした

正常な判断ができないそんな中彼はまた彼女の姿を見る

彼女はゆっくりと奥の部屋…

客間にと入っていった

もう彼には意識と言えるほどの意識はなくただ彼女に導かれるように足を運ぶ

客間につき部屋にと入ると飛んだ荒れ具合であった

家具は倒れベッドなども破れたりしており何より空のボトルもいくつも見られた

ベッドをよく見ると破れるだけでなく赤い何かも着いていた

そして写真で見た首輪もそこにはあった

そのベッドのすぐ隣には真っ黒なビニール袋が数個転がっている

全てを悟ったがそれでもなおこの出来事が夢であって欲しいと願う彼は

そのうちの一つの袋を開ける

中にあったのは朱里の首であった

苦痛に悶え最後まで助けを求めていたそんな表情で彼女の首はこちらを見ていた

自分の頭が処理できない量の出来事が起こり一馬は逃げるようにしてこの家を出た

それから30分くらい外で蹲り落ち着きを取り戻していた時

瞬間急に冷静になれた

※続いてのニュースです。2週間ほど前から行方不明となっている【東 朱里】さんですが昨日遺体となって発見されました

※彼女はどうやら黒いビニール袋の中に体をバラバラにされた状態で入っていたとのこと

※行方不明になる数日前から朱里さんは警察にストーカー被害について話していたそうですが

※実害がない以上対処は難しいとお話を受けていたとの事です

※その後行方不明になり現在の形になったとされます

※警察側も朱里さんの親族に深く謝罪をしこの事件についてより力を入れ犯人を特定するとしています

※では、続いてのニュースです………