コメント
1件
すっと終わる短編です 次でなんなら終わります
古の時代…
世界を神が統治していたその時代の話
神を統べる神
大王ヴァイアス
彼の元には優秀な配下が幾人もいた
その中からより優れたもの達をヴァイアスの四騎士と言われる
うち1人ルウスという神は特に戦技に長けていた
そのルウスにあるひとつの使命が課せられた
世界を脅かす可能性がある【深淵】その主を討伐すること
王からの信頼だけでなく他の仲間たちからも厚かった
その期待に応えるべくルウスはたった一人で深淵に挑むのであった
神の都を降りて薄暗い森の中にとやって来た
深淵の居場所は詳しくわかっていない
知り得るのはただ地下にと続くということのみ
途方もない旅となるのは覚悟の上である
どれほど旅路が辛く苦しきものだとしても彼の主たるヴァイアスの頼みである
その辛みなど大したものでは無い
道中襲い来る魔物も蚊をはらいのけるように軽くあしらい進んでいく
彼の歩みを止められるものはいない
明確な目的はあるがその道のりは誰も知らない
そのためただただ彼は宛もなく歩く
その途中珍しき生物を見た
羊の頭に人の体をしたなにか
それはこちらに敵意を向けて歩み寄る
手には刃こぼれを起こし赤黒く染った手斧が握られている
相手は確実に自分をやる気だ
今まで襲ってきた輩とはまるで違う
自分の身の丈ほどの大剣を片手に持ち
もう片手には魔を払う印をつけられた盾を構え攻撃に備える
振るわれたその手斧の一撃は一度盾に弾き返される
よろめいたその隙をついてルウスは大剣を横に振り払う
しかし身軽な相手はすんでのところで後ろに下がりその攻撃をかわす
明らかに知能ある生物だということは判明したがそれが何なのかは掴めないまま
再度攻撃に備え構える
今度は武器を振るう訳ではなく大きな咆哮をあげだす
瞬間あたりの木々のざわめきが不穏なものに感じれた
そしてその嫌な予感は的中する
同じような見た目をした奴が複数人現れたのだ
ルウスは戦技に長けているこれは事実だが
彼の真価を発揮するのは一対一の場合
複数人を相手にするのは少し苦手の部類にはいりその上一人一人がそれなりの実力者
こうなるといくらルウスと言えど分が悪いことこの上ない
この状況を打破するには自分が得意な環境下に持っていくことそれのみ
幸い今いる場所は森林
木々を上手く使い意図的に一対一の状況を作り出すことが可能
地形を利用し何とか一対一の状況を作り出そうとするも
相手はそれを拒むように連携をとる
1人がヘイトを買って1人は奇襲
また1人はリカバー要員
即席とは思えぬほど上手い立ち回りをされ防戦一方となる
最悪1人でも欠けさせればこちらにも勝機はある
が、ルウスの振るう剣と相手の使う手斧の相性があまり良くない
機動性に優れている手斧に一撃の重い大剣とではジリ貧で負ける
相手の攻撃をいなしつつ他の手段を考える
その時1匹のオオカミが現れうち1人の足に噛み付く
噛まれた者は突然の出来事に動揺し動きに大きな隙が生まれた
他のふたりもその出来事にペースを乱されたのか
少し動きに鈍さが見られた
それを見逃さずルウスはまずオオカミに噛み付かれた1人の首を切り落とす
そして流れのまま奇襲を仕掛けてくる1人にカウンターを決めて腹を一刺し
負けが確定しているのに諦めず攻めくる最後の一人はあの狼に翻弄され
人体の急所を的確に攻撃されついにはこと切れた
争いが落ち着き剣の血を払い鞘に収める
そして助太刀に来た狼を見つめる
不思議とその狼は警戒する訳でもなく
ただその場でこちらを見て座るのみ
ルウスはその狼に近づき手を差し出してみる
するとその手に近づき己の体をその手に擦り付け出した
どうやら敵対する気はなくむしろその逆
友好的な存在にとなってくれるようだった
ルウスはこの旅路にかけがえのない1匹の仲間を得ることになる
助けて貰った恩を忘れることなくそれを今簡単な形で1度返すとすれば
それはこのオオカミに名を与えることだ
白い毛並みをしたその狼はどこか神聖みを感じられ
しかし高貴な存在という貫禄すらも受けられる
その容姿を見たルウスは高潔という意味合いを込めて
【エヴィエニス】と名付けた
それから先しばらくは頼れる”相棒”となる
暗がりの森林をぬけて見えてくるはとある王国跡
どうやらこの国は何者かによって滅んだ
いや、滅ぼされる運命であったのかもしれない
王都に入り道を行く
形こそ保てているようだが明らかに崩壊するのは時間の問題なのは見て取れる
少し慎重になりながら歩いていると
異型なものにであった
人型なのだが手足のバランスが良くなく
異様に手が長く顔に当たる部分は赤い点のようなものがいくつも見える
人と蜘蛛の頭部を合体させたようなそれが適当な回答だろうか
相手はこちらに気がつくと奇声をあげて指を指しこちらに近づいてくる
明らかな敵意がある
すぐに武器を構え戦闘態勢に入る
近づくや否やすぐに相手はその拳を振るう
即座にその攻撃を盾で弾き隙をついて腹部に剣を一刺し
引き抜き少し離れ様子を見る
異型なものは苦しみながら助けを求めるような仕草をしながら死んで行った
明らかにあれは知性もあり自我のようなものがあった
途中で襲われたあの羊頭の相手はいわゆるデーモンというものに違いないだろう
しかし今回の相手は明らかに人のような姿をしていた
そんな違和感を抱えながら国の中を歩き回る
途中図書館のようなものを見た
その中に入り様子を伺う
館内は荒れており本棚も倒れてその衝撃で飛び散らかった本も見受けられる
その中から1つ手に取り本の内容を見る
書かれていのは人の歴史であった
つまりこの国は確実に人の子が建国し生まれた国であることがわかった
そして先程会ったあの異型なものはやはり元人間ということで間違いはなかった
この本に記されている特徴とルウスが先程みた人間では特徴が異なるのだ
あの見た目がデフォルトならそれは別に問題は無い
その形で生きることを目指したという生物の進化の過程の話だからだ
だが、進化の過程ではなく明らかに何かしらの力が動いた結果
あの姿になったのだ
この国にはもしかすると深淵にまつわる何かがあるのだろう
少なくとも無関係では無いのは確かなはず
この憶測を事実にするためルウスは廃墟と化した城にと足を運ぶことにする