「あっちに行ったぞ!」
「そっちに行ったぞ!」
「大人しく捕まれ!!」
「逃げるな!!」
クジ引きの店主
クジ引きの店主
クジ引きの店主
クジ引きの店主
クジ引きの店主
狼はその姿を立派な龍に変え
建物を壊しながら
たかる妖怪を蹴散らしながら
上昇する。
が、
クジ引きの店主
その尾に絡みつく
頑丈な白い糸。
手繰り寄せるのは
怒りの表情を浮かべる
緋灯組の女性たち。
クジ引きの店主
しかし、
どんなに身をよじっても
絡みついた糸は解けなかった。
煌緋(こうひ)
クジ引きの店主
クジ引きの店主
さらに身をよじった瞬間、
女の子を縛っていた縄が解けた。
クジ引きの店主
クジ引きの店主
それは
呪をかけたヒトにしか
解けないはずだった。
ほぼ反射的に伸ばされた短い龍の手が
女の子に触れるよりも先に
白凌が彼女を抱きとめた。
白凌
”みあ”
白凌
白凌
白凌
”みあ”
”みあ”
白凌
”みあ”
円らな瞳に涙が浮かぶ。
クジ引きの店主
龍が真っ赤な火を吐けば、
周りにいる妖怪も巻き込まれる。
白凌
白凌
白凌
白凌
白凌
”みあ”
女の子─”みあ”はギュッと白凌に抱きつく。
緋灯組の子①
煌緋(こうひ)
煌緋(こうひ)
飛んでくる白い糸。
それが白凌に触れると
真っ赤な炎に包まれた。
緋灯組の子①
白凌
白凌
白凌
背後から飛んでくる白い糸、
金に目がくらんだ酔っ払いの妖怪たちの攻撃、
龍に化けた妖怪もそこに混ざる。
祭りで賑わっていたはずの都(みやこ)は
白凌と”みあ”を中心に欲望が渦巻く。
反撃に打って出たいとは思うものの、
幼い子供を背負ってのそれは難しく、
結果、逃げるという選択肢しかないのだが、
それだとどうにも妖力の消費が激しい。
白凌
白凌
欲に目がくらんだ妖怪たち
欲に目がくらんだ妖怪たち
ここぞとばかりに
妖怪たちが一斉に飛びかかってきた
のだが、
突然雨が降ってきて、
それから
凍てつく様な冷たい風が巻き起こり、
欲に目がくらんだ妖怪たちが
一瞬にして凍りついた。
雨女の雨天奈
雪女の雪冴
白凌
白凌
白凌は足を止め、
肩で息をする。
雨女の雨天奈
雨女の雨天奈
雨女の雨天奈
白凌
白凌
白凌
雨女の雨天奈
白凌
雪女の雪冴
雪女の雪冴
雪女の雪冴
白凌
煌緋(こうひ)
煌緋(こうひ)
雨女の雨天奈
強い妖力がぶつかり合い、
衝撃波が辺りを襲う。
小豆洗いの平八
白凌
小豆洗いの平八
平八は持っていた刀を投げ渡した。
白凌
後ろで轟く爆音を聞きながら
白凌は神社を目指して再び走り出した。
・
・
春太
春太
春太は月世見(つきよみ)神社の境内から
轟音が響く方向を見つめる。
春太
”のあ”
”のあ”
春太
”のあ”
振り返ると、
大鳥居の前の橋を渡る
白凌の姿が見えた。
春太
春太
嬉しそうに言った春太の目に、
白凌の背後から近づくモノが映った。
春太
春太
白凌が声を聞いて振り返るのと、
白い糸が”みあ”の足に絡みつくのが
ほぼ同時だった。
白凌
後ろにいたのは
煌緋だった。
煌緋(こうひ)
煌緋(こうひ)
煌緋(こうひ)
煌緋(こうひ)
煌緋(こうひ)
口調こそ強いものの、
体のあちこちに擦り傷や切り傷があり、
満身創痍なのは火を見るよりも明らかだった。
”のあ”
”みあ”
煌緋(こうひ)
煌緋(こうひ)
煌緋(こうひ)
白凌
白凌
白凌はゆっくりと刀を抜く。
煌緋(こうひ)
煌緋(こうひ)
白凌
白凌
煌緋(こうひ)
目にも止まらぬ一閃。
それは”みあ”の足に絡みついていた糸を、
そして、
煌緋の腹部をあっさり切り裂いた。
煌緋(こうひ)
白凌
白凌
白凌
煌緋(こうひ)
白凌
白凌
白凌
煌緋(こうひ)
煌緋(こうひ)
煌緋は歯痒そうに言うと、
踵を返して引き上げていった。
白凌
春太
白凌
白凌は刀を鞘に収める。
白凌
白凌
白凌
春太
白凌
春太
春太
白凌
白凌
春太
春太
そう言って春太が視線を向けた先には、
幼い姉妹がしっかりと抱き締め合っている姿だった。
白凌
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