児童相談所に保護されてから二回目の日曜日
この日も二人は会いに来てくれた
先週よりも早い時間に来てくれて
お庭の片隅で座って話をした
拓郎
郁美
二人と一緒にいられることが本当に嬉しくて
ずっと二人の間に座って
二人の手をぎゅっと握った
たっくんは何度も頭を撫でてくれて
拓郎
たっくんがそう言って笑うと
郁美
郁美
いっちゃんもにっこり笑って
優しく頭を撫でてくれた
嬉しくてまた涙が溢れて
郁美
拓郎
もっと一緒にいたい
一緒にご飯を食べてお風呂に入って
怖くて眠れない夜には
楽しいお話をしてほしい
病院のベッドにいた時に話してくれたような
楽しい楽しいおとぎ話
あの時からずっと思っていた
いっちゃんがママだったら……
三人でずっと一緒にいられたら
たくさんの思いがどんどん溢れて
でもなかなか言葉にできなくて
美結
郁美
美結
郁美
美結
郁美
美結
拓郎
美結
拓郎
美結
美結
美結
私の言葉にたっくんは泣いてしまい
必死に涙を拭いながら
拓郎
拓郎
郁美
美結
美結
拓郎
昔から涙もろい性格だったたっくんは
涙をこらえきれなかったようで
私のことを抱き締めてずっと泣いていた
拓郎
拓郎
拓郎
拓郎
拓郎
郁美
亡くなった父の記憶は殆んどない
薄ぼんやりと残っているのは
篤郎
篤郎
そう言って私の頭をポンポンってして
出掛けていく後ろ姿
どんな顔だったかも思い出せないし
それ以外の記憶は全くない
私の中に残っているのはもう
優香里
泣き叫ぶ母の言葉だけ
だから今の私にとって
心の底から信じられるのは
私のこと優しく抱き締めてくれる
いっちゃんとたっくんだけだった
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