児童相談所に保護されてから三回目の日曜日
私はいっちゃん達と外出できることになった
初めて乗るたっくんの車には
私がちゃんと乗れるように
後部座席にチャイルドシートが取り付けてあって
嬉しい気持ちいっぱいで車に乗り込んだ
本当は三人だけでお出掛けしたかったけど
児童相談所の決まりでできなくて
職員さんが同行しなければいけなかった
職員さんはたっくんの車に一人と
別の車に一人が乗って行動することになっていた
美結
郁美
拓郎
運転席にたっくんが座り
助手席に職員さんが一人
私のとなりにいっちゃんが座った
どこに行くのかワクワクしながらも
どこか不安が抜けなくて
ずっといっちゃんの手を握っていた
相談所を出発したのが午前9時
そこから車で約一時間ほど走ったところに
大きな動物園があった
美結
恐らく人生初の動物園
私は興奮して今にも走り出しそうになっていたが
いっちゃんとたっくんが私の手を握り
郁美
拓郎
そう言って歩き出した
私達の後ろから
一定の距離を保ったまま着いてくる職員さん達
たくさんの動物達を目にした私は
とにかく興奮が治まらなくて
何度も走りそうになっては
郁美
拓郎
二人に止められて
でもそれが嬉しくて
美結
美結
そんな言葉が自然と出ていた
私の楽しそうな姿を見た職員さん達は
私達の邪魔をしないように
一定の距離を保って着いてきてくれた
何よりも嬉しかったのは
美結
いっちゃんが早起きして作ってくれた
愛情たっぷりのお弁当
私のために作ってくれたことが嬉しくて
食べてしまうのがもったいない
そんな風に思ったりもして
郁美
拓郎
たっくんの問いに大きく首を横に振る
嫌いなものなんてない
むしろここにあるのは大好きなものばかり
からあげとポテトサラダ
タコさんウインナーと卵焼き
ヒヨコみたいになったちくわ
犬の形をしたサンドイッチ
美結
美結
郁美
郁美
美結
郁美
拓郎
たっくんが紙皿にからあげを載せてくれた
美結
郁美
拓郎
どれもおいしいものばかりで
本当に楽しい時間だった
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