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虹花 ありさ @て い ふ
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国大好きマン
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りんは教室の扉を開けると いつものように自分の席へと 向かった
席に着くなり ちらりと周囲を見渡す 窓際。教室の後ろ。廊下側。 視線を動かし ある人物の姿を探す
鈴瀬りん
姿がないことを確認すると りんは椅子を引き ぽつんと腰を下ろした。
教室の中には 既にいくつもの輪ができていた
机を寄せ合って笑う人たち。 昨日の出来事を楽しそうに話す人達。 誰かの話に相づちを打ちながら 自然と笑顔を浮かべる人たち。
そこには、当たり前のように 誰かと一緒にいる人たちがいた。
りんは そんな光景を横目で眺めた。
鈴瀬りん
視線を落とし、スマホを取り出す 画面を操作してイヤホンを 耳につけると、流れてきた音に 意識を向けた。
周囲の声が 少しずつ遠ざかっていく。 笑い声も、話し声も、椅子を引く音も
さっきまで気になっていたものが ひとつずつ意識の外へと 追いやられていく。
スマホの画面を指でなぞりながら りんは机に伏せた。
こうしていれば 誰とも話さなくていい。 誰かに話しかける必要もない。 誰かに話しかけられることも、ない。
朝のホームルームが始まる五分前 教室の扉が開き 寧々が入ってきた。
寧々は自分の席へ向かう途中 隣の席に座るりんの姿を見た。 机に伏せたままイヤホンを つけて寝たフリをしている。
寧々
その姿を見た瞬間 寧々はまたか── とでも言いたげな顔をした。
そして りんの隣までやってくる。
鈴瀬りん
声に気づいたりんは イヤホンから流れる音を聞きながら うつ伏せの姿勢のまま顔を上げた。
寧々
そう言いながら 寧々は自分の席に腰を下ろした。
グサリ
鈴瀬りん
たった一言なのに── りんの胸に、鋭い矢が突き刺さった
寧々
寧々
鈴瀬りん
追い打ちだった
そんなこと 自分が一番よくわかっている。 けれど、わかっていることと 他人から言われることは違うのだ。
寧々はそんなりんの反応を 気にする様子もなく 荷物を片付け始めた。
それから 少し乱れた髪に手を伸ばす 結んでいた髪ゴムを解くと ボサボサになった髪が肩へと落ちた
鈴瀬りん
鈴瀬りん
自分でも苦しいと思う 言い訳が──
口からぺらぺらと 飛び出していく
観察── そう、観察だ
誰が話しかけやすそうか。 どんな人なら自分と合いそうか。 どういう話題なら自然に会話を 始められるのか。
考えることなら、いくらでもできる ──考えるだけなら。
寧々は手を止め りんのほうを向いた。
寧々
りんの言葉が止まった。 冷たい視線が、容赦なく突き刺さる。
出来るなら そんな目で見ないで欲しい
自分でも、何を言っているのか わからなくなっているのだから。
りんは気まずさに耐えきれず 慌てて話題を変えた。
鈴瀬りん
鈴瀬りん
寧々
寧々
寧々はそう答えると 机の上に置いた櫛を手に取り 髪をとかし始めた。
鈴瀬りん
口を尖らせながら りんは寧々を見た。
本当は、そんなことを 言いたいわけではなかった。
ただ、一緒に登校したかったのだ 朝、寧々と一緒に歩いて 他愛もない話をして 教室に着いたら 隣の席に座る寧々と話をする。 それだけで、朝の時間が 少しだけ楽しくなる。
寧々
寧々
鈴瀬りん
不貞腐れた顔のまま りんは中学時代のことを思い出した あの頃も、寧々はよく部活の 助っ人に駆り出されていた。
廊下を走り回る寧々。 その後ろを、必死になって 追いかける各部活の代表たち。 ひとりを捕まえようと 廊下を右へ左へと駆け回る集団。
今思い返してみても なかなかの騒ぎだった。
寧々本人にとっては 笑い話ではなかったのかも しれないけれど──
鈴瀬りん
寧々
そんなことを考えているうちに 教室にチャイムが鳴り響いた。
コメント
1件
第2話、読み終えました。タイトルの「一人ぼっちの朝」がそのまま胸に刺さりますね…。りんがイヤホンで周囲をシャットアウトする描写と、寧々の「まだそんなことしてんの?」の一言がすごくリアルで、思わず「ぐはっ」と一緒になりました(笑)。観察って言い訳にしてるけど、本当は一緒に登校したかったんだよなあ…という本音の部分が切ない。寧々のクールな距離感と、りんの不器用さの対比が丁寧で、この二人の関係がどう変わっていくのか続きが気になります。